東大塾長の山田です。
この記事は、
- 「化学基礎問題精講」を使おうか検討している
- 「化学基礎問題精講」の効率的な勉強方法を探している
という方のためのものです。
「化学基礎問題精講って、実際どうなの?」
「一応やっているけど、本当に理解できているんだろうか…?」
など、いろいろな疑問に答える記事を作成しました。
私の塾生には、この「化学基礎問題精講」を全員必修で取り組ませています。マスターすれば、盤石な基礎が完成するからです。センター試験レベルやMARCHなどの有名私大、中堅国公立大のレベルの演習にスムーズに入っていけます。なので、「化学基礎問題精講」を使って授業もしています。
この記事では、優秀な受験化学参考書である「化学基礎問題精講」について、徹底解剖しています。レベルや内部構成、効率的な勉強方法、そして次にやるべき参考書の情報まで網羅しています。
ぜひ参考にしてください。
1 「化学基礎問題精講」とは
まずは「化学基礎問題精講」の基本データを紹介します。
1.1 難易度やレベル感について
化学基礎問題精講の難易度やレベル感ですが、「化学初心者~センター試験・有名私大や国公立大の基礎レベル」と考えてください。
後で中身の説明をしますが、この参考書には「精講」という部分があります。ここを読めば化学をまだ勉強したことのない人でも理解できるように構成されています。実際、私の塾の生徒にはこの「化学基礎問題精講」から化学の勉強をスタートさせています。
また、「化学基礎問題精講」を仕上げた上でセンター対策本などをやれば、センター満点レベルまで到達できます。この流れについても、後半で説明します。
1.2 「化学基礎問題精講」に取り組むべき人とは?
目安として、既にセンター試験で9割を超えている人はやる必要は無いですが、それ以外の人は全員取り組んだ方が良いです!
もっと具体的にいうと
- まだ化学を勉強したことがない人
- 学校で化学の授業が始まった高校1年生or2年生
などは、最初から化学基礎問題精講で勉強した方が効率よく最短で受験レベルに到達できます。
ただし、「学校の授業が理解できない場合」は、「はじめからていねいに」シリーズに取り組んだ方がスムーズに勉強できるでしょう。
2 「化学基礎問題精講」の内部構成
では次に、「化学基礎問題精講」の中身がどんなふうになっているのかを説明します。勉強するイメージを掴んでください。
2.1 参考書内部はこんな構成になっている
参考書の内部構成は以下のようになっています。
基本の流れは
「問題」⇒「精講」⇒「Point」⇒「解説」
となっています。
各部分の内容や特徴を説明します。
- 問題
- 「必修基礎問」と「実践基礎問」の2種類があります。
- 基礎事項や基礎知識を押さえつつ、入試での実践力・応用力も鍛えられる典型的な重要問題です。
- 「化学」or「化学基礎」も明示されて使いやすいです。
- 「実践基礎問」は少し応用的な問題ですが、必須でマスターするものです。欠かせない重要知識も多数含まれています。
- 精講
- 問題に関する知識が整理されています。未学習の範囲でも、この「精講」を読めば問題を理解できます。
- 必要に応じて、基礎知識を問題に応用するための実践手順を説明されています。
- 非常に簡潔で分かりやすい説明なので、これだけで独学もできます。
- もっと詳しい説明が欲しいときは「化学の新研究」を参照しましょう。
- Point
- 「精講」部分のまとめです。重要事項や暗記事項などがまとめられています。
- 解説
- 解答の手順を具体的にまとめてあります。
- 知識問題については、わかりやすく整理し直されています。
- 計算問題については「なぜその立式になるのか?」の根拠を明確に説明してくれています。
さすが王道と呼ばれる参考書だけあって、「これ読めばOKでしょ」といえる完成度を誇っています。
2.2 化学基礎問題精講の特徴とポイントまとめ
化学基礎問題精講の特徴やポイントを以下にまとめておきます。
- 掲載問題が素晴らしい良問である(知識に身に付き、応用範囲も広い)
- 基礎事項の整理である「精講」が秀逸である
- 問題解説も分かりやすいし、解法が適格である。
以上のように、非常に完成度の高い良書です。学校の授業についていけている人なら、迷わず「化学基礎問題精講」を使う人をおすすめします。
3 「化学基礎問題精講」の効率的な勉強法について
ここからは効率的に勉強するための事前知識をお話しします。
3.1 理解の基準は「人に説明できるかどうか」
よく生徒にも「ちゃんと理解できているのか不安です…」と質問を受けますが、「じゃあ○○を説明してみて。」と言います。
これで一発で理解できるかどうか、分かります。
「同級生に対して、説明できるか」、これは自分の頭の中でできる作業です。別に、実際に誰かに説明する必要はありませんので、この作業をやってみてください。
3.2 単元毎に区切ってループする(復習法)
単元ごとに区切って、その単元をマスターしてからまた次の単元へ行く、という流れでやると良いです。
例えば有機化学では「有機化合物の特徴と構造」、「脂肪族化合物」、「芳香族化合物」、「天然化合物と合成化合物」と4つの単元に分かれています。なので、例えば「脂肪族化合物」をマスターしてから「芳香族化合物」へ行く、という流れです。
こうすることで、適度な時間間隔があいて、復習が効果的になります。また、範囲を広げすぎると「前にやった範囲全然覚えていない…」となって2度手間になるのを避けられます。
3.3 問題の解き方はすべて書いてある!
演習問題をやり、解答を確認するときの話です。「解説分かんねぇ…」となってしまった時は、「精講」をもう一度しっかりと読み込みましょう。
解説では、基本的に「精講」の通りに解説、立式しているに過ぎません。しっかり読めば必ず理解できるようになります。
4 具体的な勉強スケジュールモデル
では、勉強法に前提知識を押さえたうえで、ここからは具体的な勉強スケジュールのモデルを紹介します。
実際の計画は一日何時間かけられるのかによって変わってきますし、他の科目との兼ね合いも個々人で違います。なので、ここで紹介するモデルを自分の状況に合わせて使ってみてください。
4.1単元内の勉強方法
まず、単元毎に区切って勉強を進めるのでしたね。
その単元毎の勉強の流れです。
■単元1周目:読む、理解する、写経する
- まずは「精講」の部分を読み、理解します。もし理解できない個所があれば、「化学の新研究」を参照しましょう。
- 理解できたら、「精講」の部分を写経します。「精講」の部分は口語になっているので、理論化学の場合は要約でもいいです。無機化学と有機化学に関しては全文写経です。
- 「精講」の写経が終わったら、例題の解説を読みます。化学の場合は結構問題が解けたりするかもしれません。解ける場合は解いていいですし、分からなければすぐに解答を見て理解します。
- 単元内のすべての本文と問題を読み、写経したら、また単元のはじめに戻って2周目に入ります。
■単元2周目:解けるかチェック
- 2周目では、例題と演習問題を解けるかどうかチェックしていきます。ここでのポイントは「何も見ずに」解けるかどうかです。
- この基準でチェックしていき、解けた問題には「○」、解けなかった問題には「×」をつけ、解答を理解し直しておきます。単元内の問題を一気にやりましょう
■単元3周目:×が○になるまで反復
- 3周目以降は「×」の問題が解けるかどうかのチェックです。
- 問題にもう一度取り組み、すぐに「知識が出てくるか」、「立式ができるか」を確認します。OKなら「○」をつけます。またダメだったら「××」と付け、もう一度理解し直しです。
こうして、単元内のすべての問題が「○」の状態になるまで繰り返します。
4.2次の単元へ、そして分野毎復習
1つの単元が終わったら、次の単元も同じ要領でこなしていきます。分野内の単元がすべて終わったら、その分野を丸ごと復習します。
具体的にいうと、例えば「理論化学の単元をすべて終えたら、理論化学の問題を1からすべて解いていく」ということです。こうして「理論化学」「無機化学」「有機化学」の3分野を準場にマスターしていきます。
5 「化学基礎問題精講」が終わったら次にやること
「化学基礎問題精講」で化学の基礎力を固めた後は、何をやっていけばいいのでしょうか?
ここでは目的別に合わせて、「化学基礎問題精講後のルート」を紹介します。
5.1 まずは「センター試験満点」を目指そう
志望大学によらず、全員共通でやっておきたいことが「センター試験を満点レベルに仕上げること」です。
というのも、センター化学は基本的に単問で構成されていて、各分野の典型問題や計算、知識を効率よくトレーニングすることができるからです。国立を受験する予定がない人でも、センター化学で実力を鍛えることをおすすめします。
具体的な勉強内容については、センター化学対策問題集を一通りこなせばOKです。「短期攻略!センター化学」がおすすめです。
その後、各予備校が題しているセンター模試の過去問で点数をチェックしましょう。
もし点数が良くなければ、再度「化学基礎問題精講」や「短期攻略!センター化学」に戻って弱い部分を復習し、再度模試に挑戦。これを繰り返していき、センター化学で満点を取る実力を蓄えてください。
5.2 MARCH/中堅国立志望者は「化学レベル別問題集3」
センター試験満点レベルに到達した後は、志望大学に合わせたトレーニングをしましょう。
MARCHや東京理科大、あるいは中堅国立大学を志望する場合は、「化学レベル別問題集3」をおすすめします。
この「化学レベル別問題集3」は、化学基礎問題精講と同じ著者が書いています。なので、公式や解法を参照する場合もスムーズで、解説の仕方も一貫性あります。要するに勉強しやすいということです。
5.3 さらなるレベルアップは「化学レベル別問題集4」
さらに上のレベルを目指す場合は「化学レベル別問題集4」をおすすめします。
この「化学レベル別問題集4」も化学基礎問題精講と同じ方が書いています。レベル別シリーズの最上位版です。東大の過去問ががっつり含まれていますが、難問ではなく良問揃いです。さほど難しさを感じずに勉強を進めていけるでしょう。
5.4 物理をマスターしたい人に推奨する別ルート
最後に、化学を超得意科目にしたい人への別ルートを紹介します。それが「化学標準問題精講」のマスターです。このシリーズの上位版ですね。
詳しくは別の記事「難関大合格を手中に収める化学勉強法」をご覧ください。
6 さいごに
6.1 「化学基礎問題精講」で必ず報われる
「化学基礎問題精講」をマスターすることで、化学の基礎が固まります。センター化学の攻略もとてもスムーズにいくことに驚くはずです。難関大化学の演習に入った段階でも、本質的な現象理解が出来ているかが非常に大切です。
ぜひ「化学基礎問題精講」を使って、あなたの勉強を加速させてください。
化学における問題集で質問があります。
今自分は化学における入門の問題集を丁度終えたところなのですが、次にやる入試基礎系参考書として『化学-基礎問題精巧』か『らくらくマスター化学基礎・化学』のどちらをやるか迷っています。一応先生にもどっちがいいのか訊いてみたのですが、先生の意見としては「どちらもほぼ一緒くらいのレベルだけど、より多くの入試基礎レベルの問題をやりたいなら『らくらくマスター化学基礎・化学』をやった方が絶対に良い」って言われました。
しかし自分の中では未だにどちらがより効果的なのか甲乙つけ損ねています。もし良ければで宜しいので、お力になって頂ければ幸甚に存じます。