東大塾長が超厳選した化学おすすめ参考書7選と勉強法

東大塾長の山田です。

受験で化学を使う人は、こんな不安や迷いが出てくるかもしれません。

「どの参考書を使ったらいいんだろう?」
「学校で配られたこの問題集でいいのかな…?」
「参考書の効率的なやり方を知っておきたい…」

化学の勉強を進める上で、参考書選びは超重要です。私の場合、化学は完全に独学でした。学校の授業は聞かずに先取り学習。予備校でも講座は取っていません。しかし最終的には東大模試でも最高30位くらい、東大本番でも化学は9割取ることができました。

この記事では、私自身が東大理一に合格するまでに使用したものや、実際に私の塾の現場で使ったり授業をしているものの中から厳選した参考書を紹介します。

さらに、

  • どんな参考書を選べばいいのか?
  • 参考書の効率的な勉強方法
  • 志望校合格のために参考書を何冊やればいいのか

についても説明しています。ぜひ参考にして下さい。

1 参考書の選び方について

まずは、自分に合った参考書を選ぶために知っておいてほしいことをお話しします。

1.1 化学の参考書は「講義型」と「問題集型」と「統合型」の3種類がある

化学の参考書には「講義型」と「問題集型」、「統合型」の3種類があります。

講義型参考書の特徴

  • 知識ゼロでも取り組めるような設計
  • 話し言葉で説明されている
  • 一つの問題に対して十分に紙面を割いて丁寧な解説がある
  • 説明や解説に紙面を割いている分、問題数はかなり少なめ

(例)「化学の新研究」「はじめからていねいに」シリーズ

 

問題集型参考書の特徴

  • まとめ知識はあるが、知識や化学現象の詳しい解説はなし
  • 講義型参考書に比べて、問題数は圧倒的に多い。
  • 問題の解説はしっかりしている

(例)「化学重要問題集」、「化学の新演習」、「セミナー化学」

 

統合型参考書の特徴

  • まとめ知識があり、知識や公式の詳しい解説もある
  • ページ数が多い
  • 講義型参考書に比べて、問題数は圧倒的に多い。
  • 問題の解説はしっかりしている

(例)「化学基礎問題精講」、「化学標準問題精講」

 

なので、使い分けは、以下のように考えてください。

【講義型】…化学の勉強をはじめたばかりの人
【問題集型】…基礎は出来て次のレベルアップを目指す人
【統合型】…上記どちらも場合もOK

1.2 基本はレベル別

参考書選びの基本は「自分の今レベル、実力に合わせること」です。

化学をこれから勉強し始めるのなら、入門レベルの講義型参考書を選びます。知識ゼロでもスムーズに学習ができるためです。まずは基礎を固めます。

「基礎が固まる」とは、具体的にはセンター物理で8割以上取れる状態のことです。ここまでレベルが上がれば、次は志望校に合わせたレベルの参考書を使ってOKです。

1.3 「参考書との相性」とは?

よく「この参考書、おれには合わないだよね~」なんて言葉を聞きます。「解説の仕方、スタイルが合うどうか」という意味で使われるこの言葉ですが、たいていの場合、そうなってしまう原因は「自分のレベルに合っていない」場合が多いです。

なので、まずは自分に合った適切なレベルの参考書を選ぶことが重要です。
それでも「わからない…」となってしまった場合は、基礎ができていないことが原因ですので、基礎固めをやり直してから取り組んでみましょう。

「合う合わない」の基準を間違えないようにしましょう。
「合う合わない」があるのは「自分のレベルに合うかどうか」で、「解説の口調やデザインなどの話ではない」ということです。

1.4 レベルごとに厳選して1冊に絞る!

「レベルごとに厳選して1冊に絞る」というのは、例えば、MARCHレベルを攻略するための参考書が世の中に10冊出ているとします。その中から1冊に絞る、ということです。

なぜそうするのかというと、これは化学の受験勉強を効率的に進めることができなくなるからです。

化学の受験勉強では、基礎固めのあとは志望校レベルの解法パターンを網羅的にやり込んでいきます。つまり「1冊に絞ってパターン学習をしておく」ということです。それをやった上で、志望校過去問などで実践演習を積む、という流れになります。

「志望校レベルに合わせた網羅型問題集」であれば、それ1冊に絞ってやり込んでおけばいいのです。解法パターン学習で何冊も取り組んでしまうと、そこで大幅に時間を消費します

すると、実践演習に入るまでの期間が遅くなってしまいます。結果的に全体の勉強が遅れ、受験に間に合わないという最悪の事態になってしまう可能性もあります。

だから、参考書はレベル毎に1冊に絞ります。

 

2 厳選した物理参考書の紹介

では、レベル毎に厳選した化学の参考書を紹介していきます。私自身が使って良かったと思う参考書、現在ウチの塾で授業に使っている参考書です。

また、レベル毎に参考書をやっていけば、その流れがそのまま化学の受験勉強の形になります。化学の受験勉強の全体像を知ることにもなるので、まずは説明に目を通してください。

選考基準は「程よい網羅性」です。

これまでお話ししたことを踏まえると、選ぶべき参考書は「学習レベルに合わせた、程よい網羅性のあるもの」です。この基準で、各レベルに応じた「最高の1冊」を選びました。

2.1 レベル共通:「化学の新研究」

高校化学のバイブル化学の新研究」は、レベル問わず全員必須です。化学の勉強を始めた高校生から、東大過去問演習に入っている人まで、この参考書(というより辞書)

 

【おすすめポイント】

  • 化学の知識や現象を根本から丁寧に説明した名著
  • 大学教養レベルまでカバーしていて、単なる暗記にとどまらない真の理解ができる
  • 700ページあるが全て読もうとしなくてよい
  • 分からない事があったときに“辞書”として使える

2.2 入門レベル:「はじめからていねいに」

入門レベルの講義型参考書でのおすすめは「はじめからていねいに」です。

 

【おすすめポイン

  • 化学が苦手な人でも取り組めるとっつきやすさ
  • 知識ゼロでも取り組めるかみ砕いた説明
  • ちょいちょい出てくる語呂合わせが結構覚えやすくて使える
  • この参考書を理解すれば、センター対策に入れる
  • 例題がオリジナルで、化学の本質を効率よくマスターできる

2.3 入門~センター試験レベル:「化学基礎問題精講」

同じく入門レベルでのおすすめは化学基礎問題精講です。この参考書は“統合型”で、講義と問題がセットになっています。
この参考書に取り組めそうな人は、「はじめからていねいに」を飛ばしてしまって構いません。

 

【おすすめポイント】

  • 「精講(基礎事項の説明部分)」が素晴らしい
  • 問題の難易度が絶妙に初心者向けで良い
  • 問題が解ければ基礎知識や用語も完璧になるような素晴らしい設計

2.4 センター対策:「短期攻略!センター化学」

入門書で基礎が固まったら、次はセンター対策です。

センター対策には「短期攻略センター化学」をおすすめします。センター化学で最低でも9割、というレベルまで導いてくれるでしょう。

【おすすめポイント】

  • センター試験で満点を取るための網羅型問題集
  • センター試験より難しめの問題あり(=マスターすれば無敵)
  • 1日1時間×約30日で完成
  • 解説がかなり詳しく、基礎知識の説明も豊富

2.5 MARCH/中堅国立レベル:「化学レベル別問題集3」

MARCH/中堅国立レベルの頻出問題網羅には、化学レベル別問題集3をおすすめします。問題数が少なめで、短期間で過去問演習に入ることができます。

 

【おすすめポイント】

  • 有名私大や中堅国公立大で頻出する良問がそろっている
  • 思考過程が分かる丁寧な解説
  • 暗記事項の整理が簡潔でよい
  • 解説はかなり丁寧で、十分独学できる

2.6 難関レベル:「化学レベル別問題集4」

上位国公立大の頻出問題網羅には、化学レベル別問題集4をおすすめします。こちらも問題数が少なめで、短期間で過去問演習に入ることができます。ただし、これだけでは東大・医学部はやや厳しいので注意。

【おすすめポイント】

  • 難関レベルの良問がそろっている
  • 思考過程が分かる丁寧な解説
  • 暗記事項の整理が簡潔でよい
  • 解説はかなり丁寧で、十分独学できる

2.7 最難関レベル:「化学標準問題精講」

最難関大学を目指す人は化学標準問題精講をマスターしてください。難関大で合否の分かれ目になる頻出問題を網羅することができます

【おすすめポイント】

  • 最難関レベルの良問がそろっている
  • 102題という少なさで頻出テーマを一通り網羅できる
  • 「精講」部分の知識整理が秀逸
  • 解説は“なるべく一般的で応用範囲の広いもの”となっており、秀逸

3 参考書の効率的な勉強法について

紹介した参考書を、どうやって勉強していけばいいのか?

ここでは、全ての参考書に共通する勉強方法をお伝えします。

3.1 講義型参考書の勉強方法

ここでは「化学基礎問題精講」の進め方を紹介します。

「はじめからていねいに」の場合もほとんど同じなのですが、読むのが中心になると思います。

「化学基礎問題精講」の勉強方法

  1. 基礎事項を確認し、写経する
    • まずは「精講」の部分を読み、理解します。もし理解できない個所があれば、「化学の新研究」を参照しましょう。理解できたら、「精講」の部分を写経します。
    • 「精講」の部分は口語になっているので、理論化学の場合は要約でもいいです。無機化学と有機化学は全文写経です。
  2. 例題の理解し、写経する
    • 「精講」の写経が終わったら、例題の解説を読みます。化学の場合は結構問題が解けたりするかもしれません。解ける場合は解いていいですし、分からなければすぐに解答を見て理解します。
    • 各章の中は「溶液の性質」や「酸と塩基」といった感じで単元に分かれています。なので、この単元毎に区切って例題をマスターしていきましょう。
  3. 「何も見ずに解ける」状態になるまで繰り返す
    • 単元毎に「精講の写経→問題理解」を済ませていき、単元内の問題がすべて終わったらテーマの初めの問題に戻ります。そして1問ずつ、解けるかどうかチェックしていきます。
    • ここでのポイントは「何も見ずに解けるかどうか」です。この基準でチェックしていき、OKなら○、ダメなら×印をつけていきましょう。2周目は×の問題について、再度チェックしていきます。
  4. 次の単元へ、そして分野毎復習
    • 1つの単元が終わったら、次の単元も同じ要領でこなしていきます。分野内の単元がすべて終わったら、その分野を丸ごと復習します。
    • 具体的には、例えば理論化学の単元をすべて終えたら、理論化学の演習問題を1からすべて解いていく」ということです。こうして「理論化学」「無機化学」「有機化学」の3分野をマスターしていきます。

 

もう一度すべての問題を解いてみて○×をつけていきましょう。×の問題については解き直します。

全ての問題が「○」になったら、基礎問題精講マスターです!

3.2 問題集型参考書の勉強方法

問題集型参考書についても、分野ごとに完成させていきます。物理でいう分野とはもちろん「理論化学」「無機化学」「有機化学」です。

  1. 【参考書1周目】まずは理解に徹する
    • 初めて取り組む1周目は、解こうとしていいんですが、解けない場合はすぐに解答を見てOKです。
    • 「きちんと考えなきゃ、実力つかないんじゃないの?」と不安になるかもしれませんが、大丈夫です。「知識のアウトプット」や「知識のブラッシュアップ」は過去問演習で行います。
    • 参考書をマスターする目的は、「典型問題を一通り押さえておき、難関大化学と格闘する基礎体力をつけること」です。解答を見て理解したら、解答を写経し、計算問題についてはきちんと手を動かしてきます。
  2. 【参考書2周目】解き直して○×チェック
    • 例えば、理論化学の問題を一通り理解し終えたら(=1周目が完了したら)、1番はじめに戻って問題を解き直していきます。
    • ばっちり解けた問題には「○」、ちょっとでもあいまいだったり計算ミスや勘違いをしたら「×」をつけておきます。「×」の問題に関しては解答を確認して、解き直します。
  3. 【参考書3周目以降】“瞬殺できる”まで反復せよ!
    • 3周目以降は、2周目で「×」だった問題を解き直していきます。「×」を「○」にしてOKな基準は「瞬殺できるかどうか」です。
    • 計算問題であれば、問題文を読んですぐさま立式ができるかどうかを確認します。
    • 知識問題は、直接問われていない周辺知識も合わせて出てくるかどうかも確認します。
    • 3周目でもダメだった問題は「××」にしておき、4周目でまた解き直します。
    • 全ての問題が「○」状態になったら、標問マスターは完了です!

4 さいごに

いかかでしたでしょうか?ここに紹介した参考書を順番通りにやっていけば、志望校に必ず到達できます。

あとはやるだけです。あなたの受験勉強を加速させる助けになれば幸いです。

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