東大塾長の山田です。
このページでは、電圧計の原理について詳しく説明しています。
電圧計の原理の説明から、つなぎ方、測定範囲の広げ方に至るまでを、問題演習を交え詳しく説明することで、しっかりとした理解が可能になっています。
ぜひ勉強の参考にしてください!
1. 電圧計について
学校の実験などで電圧計を使ったことのある人は多いと思いますが、そのときどのようにして電圧を測っているのか、そしてなぜ並列につないだのかをしっかりと理解していた人は少ないと思います。
ここではそれについての解説を行います。
また、基本原理については電流計のそれとほぼ変わらないので、電流計の記事もチェックすることをお勧めします。
1.1 電圧計の原理
電圧計は、電流が磁場から受ける力を受ける現象を応用した計測器で、電流計に抵抗値の大きな抵抗を接続したものです。電流計の仕組みは左図で、電圧計と電流計の関係は右図になっています。
電流計に\(I\)[A]の電流が流れているとき、計器両端の電圧降下\(V\)はオームの法則より、\(V=RI\)となるので、電流計の目盛り\(I\)を、電圧の目盛り\(V\)に置き換えてあげれば、それが電圧計になります。
電流が大きいほど、電流計(電圧計)の針を回転させる力が強く、針はより大きな目盛りを指します。電圧計は、導線をまいてコイルにしたものの中を電融が流れる仕組みなので、そこには必ず抵抗が生まれます。この抵抗のことを「内部抵抗」といいます。
1.2 つなぎ方
次に回路における電圧計のつなぎ方について考えていきましょう。
電流計では直列につなぎましたが、電圧計の場合は「並列」につなぎます。電圧計が測定したいのは二点間の電位差です。もし直列につないでしまったら、電圧計の内部抵抗により電圧降下が起こってしまい、正確に電位差を測定することができません。そのためにも並列につなぐことで、正確に二点間の電位差を測ってあげる必要があります。
最初に「抵抗値の大きな抵抗」といったのは、抵抗値が大きいと電圧計への電流の流入量がほとんどなくなるからです。
これは丸暗記でなく、道理で理解できるようにしましょう。
1.3 電圧計の測定範囲を広げるためには(倍率器の原理)
電流計同様、電圧計が測ることができる電圧の大きさにはもちろん制限があります。その上限以上の大きさの電圧の測定をしたい場合にはどのようにすればよいのでしょうか?
大きな電圧\(V\)を測るためには、電圧計に大きな電圧がかからないように、抵抗\(R\)と電圧計を直列につなぎ、そこに電圧を分散する必要があります。この抵抗のことを「倍率器」といいます。
内部抵抗\(r_v\)[Ω]で、\(V_0\)[V]まで測れる電圧計で、その\(n\)倍の\(nV_0\)[V]まで測りたい場合について考えていきましょう。
このとき、流れている電流\(I\)[A]に対して、\((n-1)V_0\)[V]の電圧降下を生じさせる抵抗(倍率器)を電圧計と直列につなげばよいです。
このとき、オームの法則より
\[
\begin{cases}
(r_v +R)I=nV_0\\
r_v I=V_0
\end{cases}
\]
\[∴R=(n-1)r_v\]
の倍率器を付ければよいことが分かります。
これも丸暗記するのではなく、考えて導出できるようにしましょう!
2. 練習問題
ここまでの内容が理解できたかどうか、問題を解くことでチェックしましょう。
今までの知識を総動員して解きましょう。
考えてみましたか?それでは解答です。
(1)つける抵抗の大きさを\(r\)[Ω]とします。
このとき、オームの法則より
\[(2+r)[Ω]\times10\times 10^{-3}[A]=10[V]\] \[r=998[Ω]\]
よって求める答えは、
998Ωの抵抗を直列に入れる。\(\cdots答\)
(2)まずは電圧計に流れうる最大電流\(I_max\)[A]を求めていきましょう。
オームの法則より、
\[I_{max}=\displaystyle\frac{10V}{5kΩ}=2mA\]
よって倍率器において
\[r[Ω]\times 2[mA]=90[V]\] \[∴r=45[kΩ]\]
よって求める答えは、
45Ωの抵抗を直列に入れる。\(\cdots答\)
3. まとめ
お疲れ様でした。最後に今回学んだことをまとめておくので、復習に役立ててください!
電圧計:電磁力を用いて電圧を測定する装置、電流計に抵抗値の大きい抵抗を入れることで作られる。
つなぎ方:並列
倍率器:\(R=(n-1)r_v\)
(1)内部抵抗\(2\)[Ω]で最大\(10\)[mA]まで測ることができる電流計がある。この電流計を\(10\)[V]まで測れる電圧計にするためには、何Ωの抵抗をどのようにつければよいか。
(2)内部抵抗\(5\)[kΩ]で最大\(10\)[V]まで測れる電圧計を\(100\)[V]まで測れるようにしたい。何kΩの抵抗をどのようにつければよいか。