東大塾長の山田です。
このページでは、「相加相乗平均の公式」について解説しています。
また、「なぜ公式が成り立つのか?」を理解するために、相加相乗平均の公式の証明や、
具体的に例題を解きながら「相加相乗平均をいつ使うのか?」のポイントも解説しています。
ぜひ、参考にしてください!
1. 相加相乗平均とは?
まず、相加相乗平均とは何か?について解説します。
1.1 相加平均と相乗平均の大小関係(公式)
2つの実数 \( a,b \) \((a≧0,b≧0)\)について、
\( \displaystyle \frac{a+b}{2} \) を相加平均といいます。
一方、\( \sqrt{ab} \) を相乗平均といいます。
このとき、相加平均と相乗平均には、以下の関係が成り立ちます。
まとめると、以下の通りです。
2つの実数\( a,b \) \((a≧0,b≧0)\)について
- 相加平均\( \cdots \)\( \displaystyle \frac{a+b}{2} \)
- 相乗平均\( \cdots \)\( \sqrt{ab} \)
- 相加平均と相乗平均の大小関係\( \cdots \)\( \displaystyle \large{ \color{red}{ \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab} } } \)
(等号が成り立つのは \( a = b \) のとき)
1.2 相加相乗平均の具体例
3と5を例にとってみましょう。
3と5の相加平均は、\( \displaystyle \frac{3+5}{2}=4 \)
3と5の相乗平均は、\( \sqrt{3\cdot5}=\sqrt{15} \)
よって、
(相加平均)≧(相乗平均)
\( \displaystyle 4 \ (=\sqrt{16})≧\sqrt{15} \)
が成り立っています。
1.3 相加相乗平均の大小関係の証明
なぜこのような関係が成り立つのか?証明をしていきます。
\( a≧0 \),\( b≧0 \)のとき、
\( \displaystyle \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab} \)
\( \Leftrightarrow \ a+b≧2\sqrt{ab} \)(両辺を2倍)
\( \Leftrightarrow \ a-2\sqrt{ab}+b≧0 \)(\( 2\sqrt{ab} \)を移行)
ここで、
\( (\sqrt{a}-\sqrt{b})^2= a-2\sqrt{ab}+b≧0 \)
よって、証明完了です。
また、最初の \( a ≧ 0 \),\( b ≧ 0 \) とはなんだったのかというと、
証明の最後の行の \( (\sqrt{a} – \sqrt{b})^2 \) で、\( \sqrt{ \ \ } \) の中は0未満はダメなので、
\( a≧0 \),\( b≧0 \) という条件がつきます。
また、等号成立は
\( (\sqrt{a}-\sqrt{b})^2=0 \)
∴ \( \sqrt{a}-\sqrt{b}=0 \)
∴ \( \sqrt{a}=\sqrt{b}\)
∴ \( a=b\)のとき
となります。
2. 相加相乗平均の使い方
では、この相加相乗平均はいつ使うのか?例題を使いながら、具体的に解説をしていきます。
\( x>0 \) において、\( \displaystyle x+\frac{3}{x} \) の最小値を求めよ。
【解答】
\( \displaystyle x+\frac{3}{x} ≧ 2\sqrt{x\cdot \frac{3}{x}} = 2\sqrt{3} \)
\( \displaystyle x+\frac{3}{x}≧2\sqrt{3} \)
等号成立は \( \displaystyle x=\frac{3}{x} \)
∴ \( x^2=3 \)
∴ \( x=\sqrt{3} \) のとき
よって \( \displaystyle x+\frac{3}{x} \) は \( x=\sqrt{3} \) のとき、最小値 \( 2\sqrt{3} \) をとる。\( \cdots 【答】 \)
最大値・最小値をの問題は、文系数学では超頻出問題です。
※ もちろん理系も出てきますよ。
特に文系数学は、今回の「相加相乗平均」を使って最小値を求める問題が、本当にめちゃめちゃ出ます。
また、\( \displaystyle \color{red}{ \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab} } \)を2倍した、
\( \large{ \color{red}{ a+b≧2\sqrt{ab} } } \)
もよく使うので、覚えておいてください!
3. 相加相乗平均まとめ
\( a≧0 \),\( b≧0 \)のとき、
\( \displaystyle \large{ \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab} } \)
\( \displaystyle \large{ \Leftrightarrow a+b≧2\sqrt{ab} } \)
(等号が成り立つのは \( a=b \) のとき)
以上が、相加相乗平均の解説です。相加相乗平均の公式や使い方は理解できましたか?
「相加相乗平均」を使って最小値を求める問題は超頻出なので、しっかりおさえておきましょう!
(相加平均)≧(相乗平均)
\( \displaystyle \large{ \color{red}{ \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab} } } \)