東大塾長の山田です。
このページでは、「ガウスの法則」について詳しく説明しています。
最初にガウスの法則を理解するために必須な電気力線について詳しく解説し、その後その知識を用いてガウスの法則を解説しているため、体系的な理解が可能になっています。
ぜひ勉強の参考にしてください!
1. 電気力線とガウスの法則
まずは電気力線について解説を行います。
1.1 なぜ電気力線が必要なのか?
電場は、空間の各点に電場ベクトルが分布したものです。
そして電場ベクトルは、点状の正電荷から外向きに放射状に広がって、負電荷には逆にその電化に向かって集中していきます(詳しくは電場の記事を参照)。
「電気力線」は、この電場の向きを視覚的に表現するために用いられます。
1.2 電気力線の性質とガウスの法則
電気力線には以下の性質があります。
この中で、④の「電荷Qから、\displaystyle\frac{\left|Q\right |}{ε_0}本出る。」がガウスの法則の意味の表れとなっています!
\displaystyle [閉曲面を貫く電気力線の全本数] = \frac{[内部の全電荷]}{ε_0}
これを一つ一つ詳しく説明していきます。
1.3 詳しい説明(電気力線)
まずは電気力線の大前提として
①正電荷からわきだし、負電荷に吸収される。
②接線の向き⇒電場の向き
を設定します。これは図に表すと下図のようになります(下図は正電荷の場合)。

このとき、電気力線はが交叉したり枝分かれしたりすることはありません。これも重要なので必ず頭に入れておきましょう。
次に、点電荷 Q \left( >0 \right) から湧き出す電気力線の本数について考えてみましょう。仮に、点電荷 Q から N 本の電気力線が湧き出すとしましょう。
電荷が作る電場は球対象なので、そこから湧き出した電気力線も球対象に広がります(∵②)。
そこで、下図のような電荷 Q を中心とする半径 r の球を考えてみましょう。

その曲面上での、単位面積当たり貫く電気力線の本数(電気力線の密度)は、 \displaystyle \frac{N}{4\pi r^2} (本)であり、②より電場は曲面に対して垂直でその強さは、
\displaystyle k \frac{Q}{r^2} = \frac{1}{4\pi ε_0} \frac{Q}{r^2}
となります。ここで
③垂直な面を単位面積あたりに貫く本数⇒電場の強さ
つまり、「強さ E の電場がある点で、その電場に垂直な面を単位あたりに貫く電気力線の本数は、 E 本」と約束すると、 Q を中心とする半径 r の球面上では、
\displaystyle \frac{N}{4\pi r^2} = \frac{1}{4\pi ε_0} \frac{Q}{r^2}
\displaystyle ∴ \ N = \frac{Q}{ε_0}
が成立します。これが上で述べた、
④電荷 Q から、 \displaystyle \frac{\left|Q\right |}{ε_0} 本出入りする。
になります。
1.4 詳しい説明(ガウスの法則)
④をさらに細かく考えていきましょう。
以下では、電気力線の向きを正電荷から負電荷に向かう向きとし、電気力線が閉曲面を内から外に貫く向きを正、外から内に貫く向きを負とします。
今までの議論より、正の電荷 Q を中に含む球面を貫く電気力線の本数は、 \displaystyle \frac{Q}{ε_0} 本(負電荷の場合 \displaystyle – \frac{Q}{ε_0} 本)で、これは電荷が内部のどこかにありさえすれば、どんな閉曲面においてもこれは成り立ちます。
逆に、閉曲面の外側に電荷がある場合、そこから出た電気力線がそのまま閉曲面を貫通し、結局は入り込んだ本数だけ出ていくので合計0本となり、曲面を貫く電気力線の本数には影響を与えません。
つまり、閉曲面の中にある電荷さえ考慮すればよく、以下のようにまとめることができます。
\displaystyle [閉曲面を貫く電気力線の全本数] = \frac{[内部の全電荷]}{ε_0}
これがガウスの法則です。特に、外部の電荷を考慮しなくても良いという点をしっかりと頭に入れておきましょう。

1.5 ガウスの法則の実用例と注意
ガウスの法則を使えば対称性のある電荷分布の作る電場を簡単に求めることができます。以下のモデルを用いて考えていきましょう。

面密度(単位面積当たりの電荷) \sigma の平面上における電場を考えてみます。
全体を考えることは無理なので、上図のように平面に垂直(上面と下面の面積は S )な円筒で平面の一部を包んだ時を考えてみます。
このとき、円筒内の電荷は\sigma Sだから、ガウスの法則より湧き出てくる電気力線の本数(電場の強さ)は、 \displaystyle \frac{\sigma S}{\varepsilon_0} 本です。
電気力線は平面と垂直に出ているので、円筒の側面から出てくる電気力線は0本であり、それゆえ、円筒の上面を半分の \displaystyle \frac{\sigma S}{2\varepsilon_0} 本が貫き、下面をもう半分の電気力線が貫くことになります。
以上から、面密度 \sigma の平面が作る電場の大きさは、
\begin{align} \displaystyle E & = [閉曲面を貫く電気力線の全本数] \\ \\ & = \frac{[内部の全電荷]}{ε_0} \\ \\ & = \frac{\sigma}{2\varepsilon_0} \end{align}
となります!
今回のように、対称性(この場合では上下)がある電荷分布を考える場合は、内部の全電荷を考えたうえで、対称性も考慮することがあることに注意してください!
2. 確認問題
それでは、今まで学んできたことが本当に理解できているか、実際に問題を解いて確かめてみましょう!
半径 R の球面上に、全電気量 Q の正電荷が一様に分布しているとする。このときの電場を、球の中心からの距離を r として求めよ。
上の実用例に似た問題です。同じように考えていくと良いでしょう!
簡単な図を書くと状況がイメージしやすいでしょう。
また、球の内部と外部で電気力線の様子が異なることに注意しましょう。様子が違うということは場合分けをする必要があります。
・・・・・・・・・・
考えてみましたか?以下解答です!
対称性より、問題の球面と同じ中心で、半径 r の球面を単位面積あたりに貫く電気力線の本数 n は、球面上で一様で、 q(r) を半径 r の球面の内部の電荷とすると、ガウスの法則より、
\displaystyle n \times 4 \pi r^2 = \frac{q(r)}{\varepsilon_0}
が成立します。
ここで q(r) については以下が成り立ちます。
\displaystyle \left\{\begin{array}{ll}{r \geq R} & {q(r)=Q} \\ {r<R} & {q(r)=0}\end{array}\right.

電気力線の性質を考えると、電場も球面上では強さ E(r) が一様で、球面に垂直だから、 E(R)=n であり、
\displaystyle \left\{\begin{array}{l}{ \displaystyle r \geq R \quad E(r) = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_{0} r^{2}}} \\ {F<R \quad E(r)=0}\end{array} \right.
となることが分かります。
3. まとめ
お疲れ様でした。最後に今回学んだことをまとめておくので、復習に役立ててください!
電気力線の性質
①正電荷からわきだし、負電荷に吸収される。
②接線の向き⇒電場の向き
③垂直な面を単位面積あたりに貫く本数⇒電場の強さ
④電荷Qから、 \displaystyle \frac{\left|Q\right |}{ε_0} 本出入りする。
* ε_0 とクーロン則における比例定数 k との間には、 \displaystyle k = \frac{1}{4\pi ε_0} が成立する。
ガウスの法則
\displaystyle [閉曲面を貫く電気力線の全本数] = \frac{[内部の全電荷]}{ε_0}
①正電荷からわきだし、負電荷に吸収される。
②接線の向き⇒電場の向き
③垂直な面を単位面積あたりに貫く本数⇒電場の強さ
④電荷 Q から、 \displaystyle \frac{\left|Q\right |}{ε_0} 本出入りする。
* ε_0 とクーロン則における比例定数kとの間には、 \displaystyle k = \frac{1}{4\pi ε_0} が成立する。