東大塾長の山田です。
このページでは、「積分と面積」について解説します。
数学Ⅱで扱う「積分で面積を求める方法」と,「なぜ積分で面積が求まるのか?」という原理から解説をしています。
ぜひ勉強の参考にしてください!
1. 積分の面積の公式
まずは積分での面積の求め方を解説します。
1.1 曲線と\( x \) 軸の間の面積の公式
区間 \( a≦x≦b \) において,\( f(x) ≧ 0 \) のとき,
曲線 \( y = f(x) \) と \( x \) 軸,および2直線 \( x = a \),\( x = b \) で囲まれた図形の面積 \( S \) は
\( \displaystyle \color{red}{ S = \int_a^b f(x) dx } \)
【例】
放物線 \( y = x^2 – 2x + 3 \) と \( x \) 軸および2直線 \( x = 1 \),\( x = 3 \) で囲まれた図形の面積 \( S \)
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ S } & = \int_1^3 \left( x^2 – 2x + 3 \right) dx \\
\\
\displaystyle & = \left[ \frac{1}{3}x^3 – x^2 + 3x \right]_1^3 \\
\\
\displaystyle & \color{red}{ = \frac{20}{3} }
\end{align} \)
1.2 2曲線間の面積の公式
区間 \( a≦x≦b \) において,\( f(x) ≧ g(x) \) のとき,
曲線 \( y = f(x) \),\( y = g(x) \) と2直線 \( x = a \),\( x = b \) で囲まれた図形の面積 \( S \) は
\( \displaystyle \color{red}{ S = \int_a^b \left\{ f(x) – g(x) \right\} dx } \)
【例】
2曲線 \( y = 2x^2 + 3x + 1 \),\( y = -x^2 – 2x + 3 \) で囲まれた図形の面積 \( S \) を求めてみる。
放物線 \( y = 2x^2 + 3x + 1 \) と \( y = -x^2 – 2x + 3 \) の交点の \( x \) 座標は,
\( 2x^2 + 3x + 1 = -x^2 – 2x + 3 \)
\( 3x^2 + 5x – 2 = 0 \)
\( (x+2) (3x-1) = 0 \)
\( \displaystyle ∴ \ \color{red}{ x = -2, \ \frac{1}{3} } \)
上の図のようになるから,求める面積 \( S \) は
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ S } & = \int_{-2}^{\frac{1}{3}} \left\{ \left( -x^2 – 2x + 3 \right) – \left( 2x^2 + 3x + 1 \right) \right\} dx \\
\\
\displaystyle & = \int_{-2}^{\frac{1}{3}} \left( -3x^2 – 5x + 2 \right) dx \\
\\
\displaystyle & = \ – \int_{-2}^{\frac{1}{3}} (x+2) (3x-1) dx \\
\\
\displaystyle & = -3 \int_{-2}^{\frac{1}{3}} (x+2) \left( x-\frac{1}{3} \right) dx \\
\\
\displaystyle & = \color{blue}{ -3 \cdot \left( – \frac{1}{6} \right) \left\{ \frac{1}{3} – (-2) \right\}^3 } \\
\\
\displaystyle & \color{red}{ = \frac{343}{54} }
\end{align} \)
下から3行目から2行目への変形(青字の部分の変形)は,「放物線と面積の6分の1公式」を使っています。6分の1公式については「積分の面積公式と証明(6分の1公式・接線など)」の記事で詳しく解説しているので,公式を知らない人や曖昧な人はチェックしておきましょう。
以上が,基本的な積分による面積の求め方の解説です。
2. 定積分で面積が求まる理由(証明)
では、そもそもなぜ積分で面積が求まるのでしょうか?この理由を解説していきます。
\( y = f(x) \) と \( x \) 軸の間にある図形の,\( x \) 座標が \( a \) から \( x \) までの部分の面積を \( S(x) \) とします。
この \( x \) を \( h \) だけ変化させると,\( S(x) \) は
\( S(x+h) – S(x) \)
だけ変化します(図の青い斜線部分)。
この面積 \( S(x+h) – S(x) \) は,下の図の
- オレンジ色の長方形の面積 \( h \times f(x) \) より大きい
- 赤い太枠の長方形の面積 \( h \times f(x+h) \) より小さい
ですよね。
これを不等式に表すと
\( \color{orange}{ hf(x) } < \color{blue}{ S(x+h) – S(x) } < \color{red}{ hf(x+h) } \)
両辺を \( h \) で割ると
\( \displaystyle f(x) < \frac{ S(x+h) – S(x)}{h} < f(x+h) \)
両辺を極限 \( \displaystyle \lim_{h \to 0} \) をとると
\( \displaystyle f(x) < \lim_{h \to 0} \frac{ S(x+h) – S(x)}{h} < \lim_{h \to 0} f(x+h) \)
すると、不等式の右側が
\( \displaystyle \lim_{h \to 0} f(x+h) = f(x) \)
となるので,不等式は
\( \displaystyle f(x) < \lim_{h \to 0} \frac{ S(x+h) – S(x)}{h} < f(x) \)
不等式の左側も右側も \( f(x) \) なので,真ん中も
\( \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{ S(x+h) – S(x)}{h} = f(x) \cdots ① \)
となります(これを「はさみうちの原理」といいます)。
導関数の定義より
\( \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{ S(x+h) – S(x)}{h} = S’(x) \)
なので,①は
\( \displaystyle \color{red}{ S’(x) = f(x) } \)
\( S(x) \) を微分すると \( f(x) \) になるということは,\( S(x) \) は \( f(x) \) の不定積分の1つであるといえます。
ここで,\( f(x) \) の任意の不定積分を \( F(x) \) とすると
\( \color{red}{ S(x) = F(x) + C } \cdots ② \) (\( C \) は定数)
②に \( x = a \) を代入すると,\( S(x) \) の意味により
\( S(a) = 0 \)
よって \( S(a) = F(a) + C = 0 \)
∴ \( \color{red}{ C = -F(a) } \)
これを②に代入すると
\( S(x) = F(x) – F(a) \)
この式に \( x = b \) を代入すると
\( \displaystyle \color{red}{ S(b) = F(b) – F(a) = \left[ F(x) \right]_a^b = \int_a^b f(x) dx } \)
以上より
\( S(b) \),つまり \( y = f(x) \) と \( x \) 軸の間にある図形の,\( x \) 座標が \( a \) から \( b \) までの部分の面積
は,定積分
\( \displaystyle \int_a^b f(x) dx \)
と一致することが証明できました!
これが、「積分が面積になる理由」です。
3. 積分と面積まとめ
さいごに今回の内容をもう一度整理します。
- [定積分]=[面積を求めること]
- 積分による面積の求め方\( \cdots \)
区間 \( a≦x≦b \) において,\( f(x) ≧ g(x) \) のとき,
曲線 \( y = f(x) \),\( y = g(x) \) と2直線 \( x = a \),\( x = b \) で囲まれた図形の面積 \( S \) は
\( \displaystyle \color{red}{ S = \int_a^b \left\{ f(x) – g(x) \right\} dx } \)
※ 曲線でも直線でも、「[上]-[下]」で定積分すれば面積!
以上が積分と面積の解説です。
面積の求め方と,積分が面積を表す理由は理解できましたか?
今回は基礎的な面積の求め方を解説しましたが,「積分の面積公式と証明(6分の1公式・接線など)」の記事でもう少し発展的(入試レベル)の面積公式を解説しています。ぜひこちらも参考にしてください!
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読んでて、内容がすらすら頭に入ってきました、ありがとう!