東大塾長の山田です。
このページでは、「3次方程式の解き方」と「3次方程式の解と係数の関係」についてまとめています。
ぜひ勉強の参考にしてください!(この記事は、以下の記事の内容をまとめたものです)
1. 3次方程式の解き方まとめ
まずは「3次方程式の解き方」をまとめます。
1.1 3次方程式の解き方の流れ
3次方程式を解くには、基本的に因数分解をする必要があります。
2次以下の式に因数分解をして,それぞれの因数を解いていきます。
因数分解のやり方は、基本的に次の2パターンに分けられます。
- 3次式の因数分解の公式利用
- 因数定理を利用して因数分解
それぞれのパターンを、具体的に次の例題で解説していきます。
1.2 因数分解の公式を利用するパターン
まずは「因数分解の公式利用」で解くパターンの問題です。
3次式の因数分解の公式が曖昧な人は「3乗の因数分解(展開)公式」の記事でぜひ復習してください。
【解答】
(1) \( x^3 = 8 \)
与式から \( x^3 – 8 = 0 \)
左辺を因数分解すると
\( (x-2) (x^2 + 2x + 4) = 0 \)
よって \( x-2=0 \)
または \( x^2+2x+4=0 \)
\( x-2=0 \) より \( \color{red}{ x=2 } \)
\( x^2+2x+4=0 \) より \( \displaystyle \color{red}{ x = -1 \pm \sqrt{3}i } \)
したがって
\( \displaystyle \color{red}{ x=2, \ -1 \pm \sqrt{3}i \ \cdots 【答】 } \)
(2) \( x^3 – 9x^2 + 27x – 27 = 0 \)
与式の左辺を因数分解すると
\( (x-3)^3 = 0 \)
よって \( \color{red}{ x=3 \ \cdots 【答】 } \)
\( \begin{cases}
a^3 + b^3 = (a+b)(a^2 – ab + b^2) \\
\\
a^3 – b^3 = (a-b)(a^2 + ab + b^2)
\end{cases} \)
\( \begin{cases}
a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = (a+b)^3 \\
\\
a^3 – 3a^2b + 3ab^2 – b^3 = (a-b)^3
\end{cases} \)
1.3 因数定理を利用して因数分解するパターン
次は因数定理を利用して因数分解するパターンの問題です。
方程式 \( x^3 – 3x^2 – 8x – 4 = 0 \) を解け。
【解答】
\( P(x) = x^3 – 3x^2 – 8x – 4 \) とすると
\( \begin{align}
P(-1) & = (-1)^3 – 3 \cdot (-1)^2 – 8 \cdot (-1) – 4 \\
& = 0
\end{align} \)
よって、\( P(x) \) は \( x+1 \) を因数にもつ。
ゆえに
\( P(x) = (x+1) (x^2 – 4x – 4) \)
\( P(x) = 0 \) から \( x+1=0 \) または \( x^2 – 4x – 4=0 \)
\( x+1=0 \) から \( \color{red}{ x=-1 } \)
\( x^2 – 4x – 4=0 \) から \( \color{red}{ x= 2 \pm 2 \sqrt{2} } \)
したがって
\( \color{red}{ x= -1 , \ 2 \pm 2 \sqrt{2} \ \cdots 【答】 } \)
1.4 因数定理での因数の見つけ方
因数定理で因数分解をするときにネックになるのが、「\( P(\alpha) = 0 \) になる \( \alpha \)(因数)を見つけること」だと思います。
「因数の見つけ方」は次の通りです。
\( P(x) \) について,\( P(\alpha) = 0 \) となる \( \alpha \) の候補は
\( \displaystyle \large{ \color{red}{ \pm \frac{定数項の約数}{最高次の係数の約数} } } \)
例えば、\( P(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d = 0 \) であれば、\( P(\alpha) = 0 \) となる \( \alpha \) の候補は \( \displaystyle \color{red}{ \pm \frac{dの約数}{aの約数} } \) になります。
【証明】
\( P(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d = 0 \) とする。
\( \displaystyle P \left( \frac{q}{p} \right) = 0 \) のとき,\( P(x) \) は \( px-q \) で割り切れるから,商を \( lx^2 + mx + n \) とすると,
\( ax^3 + bx^2 + cx + d \\ = (px-q) (lx^2 + mx + n) \)
(係数はすべて整数)が成り立つ。
両辺の最高次(\( x^3 \))の項と定数項を比較すると
\( a=pl, \ d=-qn \)
よって,\( \alpha \) の候補は
\( \displaystyle \color{red}{ \frac{q}{p} = \pm \frac{dの約数}{aの約数} } \)
つまり、\( \displaystyle \color{red}{ \pm \frac{定数項の約数}{最高次の係数の約数} } \)
(最高次の係数が1のときは,\( \alpha \) の候補は 定数項の正負の約数 ということになる。)
先ほどの例題2を例に、具体的に解説します。
例題2では、\( P(x) = x^3 – 3x^2 – 8x – 4 \) でした。
\( x^3 – 3x^2 – 8x – 4 = (x- \alpha) (x^2 + px + q) \) とすると,\( -4 = – \alpha q \)
\( \alpha q \) が整数なら,\( \alpha \) は定数項「-4」の約数なので、\( P(\alpha) = 0 \) となる \( \alpha \) は、±1,±2,±4 のどれかになります。
同様に、\( P(x) = 2x^3 – 9x^2 + 2 \) の場合であれば、最高次(\( 2x^3 \))の係数は「2」、定数は「2」なので、\( P(\alpha) = 0 \) となる \( \alpha \) は、±1,±2,\( \displaystyle \pm \frac{1}{2} \) から探せばよいです。
この方法を知っていれば、闇雲に代入して探す必要がなくなります!
1.5 組み立て除法
次は、因数定理を利用して因数分解するときに使った、組み立て除法について詳しく解説していきます。
(多項式)÷(1次の多項式) を簡単に計算する方法が「組み立て除法」です。
\( a_0 x^3 + a_1 x^2 + a_2 x + a_3 \) を \( x- \alpha \) で割ったときの商を \( b_0 x^2 + b_1 x + b_2 \),余りを \( R \) とすると
\( \begin{align}
& a_0 x^3 + a_1 x^2 + a_2 x + a_3 \\
\\
= & (x- \alpha) (b_0 x^2 + b_1 x + b_2) + R \\
\\
= & b_0 x^3 + (b_1 – \alpha b_0)x^2 \\
& \ + (b_2 – \alpha b_1)x + (R – \alpha b_2)
\end{align} \)
よって、両辺の係数を比較すると
\( \begin{cases}
a_0 = b_0\\
a_1 = b_1 – \alpha b_0 \\
a_2 = b_2 – \alpha b_1 \\
a_3 = R – \alpha b_2
\end{cases} \)
したがって
\( \begin{cases}
b_0 = a_0 \\
b_1 = a_1 + \alpha b_0 \\
b_2 = a_2 + \alpha b_1 \\
R = a_3 + \alpha b_2
\end{cases} \)
この計算を下の図の形式で行うのが、組み立て除法です。
文字ばかりでわかりにくいと思うので、具体的に先ほどの例題2「\( (x^3 – 3x^2 – 8x – 4) \div (x+1) \)」をやってみましょう。
【例】 \( (x^3 – 3x^2 – 8x – 4) \div (x+1) \)
- 割る式 \( x+1 \)(\( =x-(-1) \)) の「-1」と,割られる式 \( x^3 – 3x^2 – 8x – 4 \) の係数1,-3,-8,-4を書く。
- 最初の1をそのまま下に下ろして1と書く。
- 下ろした 1×(-1)=-1 を -3 の下に書き,-3+(-1)=-4 を下に書く。
- さらに -4×(-1)=4 を -8 の下に書き,-8+4=-4 を下に書く。
- -4×(-1)=4 を-4の下に書き,-4+4=0 を下に書く。
- 結果より、商は \( x^2-4x-4 \),余り0 となる。
2. 3次方程式の解と係数の関係まとめ
次は、「3次方程式の解と係数の関係」についてまとめます。
2.1 3次方程式の解と係数の関係
3次方程式の解と係数の間には、次の関係が成り立ちます。
3次方程式 \( ax^3+bx^2+cx+d=0 \) の3つの解を \( \alpha, \ \beta, \ \gamma \) とすると
\( \color{red}{ \begin{align}
\displaystyle & \alpha + \beta + \gamma = -\frac{b}{a} \\
\\
\displaystyle & \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = \frac{c}{a} \\
\\
\displaystyle & \alpha \beta \gamma = -\frac{d}{a}
\end{align} } \)
2.2 3次方程式の解と係数の関係の証明
3次方程式の解と係数の関係の証明は、「因数定理+係数比較」で証明をすることができます。
【証明】
3次方程式
\( ax^3+bx^2+cx+d=0 \)
が3つの解を \( \alpha, \ \beta, \ \gamma \) をもつとき,因数定理より
\( ax^3+bx^2+cx+d = a (x- \alpha) (x- \beta) (x- \gamma) \ \cdots ① \)
が成り立つ。
①の両辺を \( a \ (a \neq 0) \) で割ると
\( \displaystyle x^3 + \frac{b}{a}x^2 + \frac{c}{a}x + \frac{d}{a} = (x- \alpha) (x- \beta) (x- \gamma) \ \cdots ② \)
②の右辺を展開して整理すると
\( \displaystyle x^3 + \frac{b}{a}x^2 + \frac{c}{a}x + \frac{d}{a} = x^3 – (\alpha + \beta + \gamma)x^2 + (\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha)x – \alpha \beta \gamma \ \cdots ③ \)
③の両辺の係数を比較すると
\( \color{red}{ \begin{align}
\displaystyle & \alpha + \beta + \gamma = -\frac{b}{a} \\
\\
\displaystyle & \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = \frac{c}{a} \\
\\
\displaystyle & \alpha \beta \gamma = -\frac{d}{a}
\end{align} } \)
以上が3次方程式のまとめです。
次の方程式を解け。
(1) \( x^3 = 8 \)
(2) \( x^3 – 9x^2 + 27x – 27 = 0 \)