東大塾長の山田です。
このページでは、「メネラウスの定理」について解説します。
メネラウスの定理とその証明、さらにメネラウスの定理の逆の証明を、イラスト付きで丁寧にわかりやすく解説していきます。
また、さいごにはメネラウスの定理を利用する練習問題も用意しているので、ぜひ最後まで読んで「メネラウスの定理」をマスターしてください!
1. メネラウスの定理とは?
まずはメネラウスの定理とは何か説明します。
\( \mathrm{ \triangle ABC } \)の辺\( \mathrm{ BC, CA, AB } \)またはその延長が、三角形の頂点を通らない直線\( l \)とそれぞれ点\( \mathrm{ P, Q, R } \)と交わるとき
\( \displaystyle \color{red}{ \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA} = 1 } \)
2. メネラウスの定理の覚え方!
メネラウスの定理はパッと見は分数が多くて複雑そうですが、本質を理解していればめちゃめちゃシンプルで覚えやすいです。
メネラウスの定理は、定義でも述べた通り「三角形と直線」からなる定理です。
「三角形の頂点→直線上の点(分点)→三角形の頂点→直線上の点(分点)→ \( \cdots \)」の順に、交互にたどっていき分数にすれば、メネラウスの定理の式になります!
上の図ではわかりやすいように、三角形の頂点を赤、直線上の点(分点)を青で表しています。
\( \color{red}{ \mathrm{ A } } \)からスタートして、「頂点→分点→頂点→分点→頂点→分点」の順で「分子→分母→分子→分母→分子→分母」と式を立てれば、メネラウスの定理 \( \displaystyle \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA} = 1 \) となります。
上の例では頂点の\( \mathrm{ A } \)からスタートしましたが、その他の頂点・分点(\( \mathrm{ B, C, P, Q, R } \))どこからでもOKですし、逆回りでもOKですよ!
頂点→分点の交互さえ守ればOKです!
3. メネラウスの定理の証明
それでは、なぜメネラウスの定理が成り立つのか?証明をしていきます。
下図のように、直線\( l \)が\( \mathrm{ \triangle ABC } \)の辺\( \mathrm{ BC, CA, AB } \)またはその延長と点\( \mathrm{ P, Q, R } \)と交わるとします。また、頂点\( \mathrm{ C } \)を通り直線\( l \)に平行な直線をひき、直線\( \mathrm{ AB } \)との交点を\( \mathrm{ D } \)とします。
※ 下図のように、直線\( l \)が\( \mathrm{ \triangle ABC } \)の2辺と交わるパターン(下図の左:図1)と、交わらないパターン(下図の左:図2)の2パターン考えられます。
\( \mathrm{ PR // CD, \ QR // CD } \)であるから、
\( \displaystyle \color{red}{ BP:PC = BR:RD } , \\
\color{blue}{ CQ:QA = DR:RA } \)
\( \displaystyle ∴ \ \color{red}{ \frac{BP}{PC} = \frac{BR}{RD} } , \ \color{blue}{ \frac{CQ}{QA} = \frac{DR}{RA} } \)
よって
\( \begin{align}
\displaystyle & \frac{AR}{RB} \cdot \color{red}{ \frac{BP}{PC} } \cdot \color{blue}{ \frac{CQ}{QA} } \\
\\
\displaystyle = & \frac{AR}{RB} \cdot \color{red}{ \frac{BR}{RD} } \cdot \color{blue}{ \frac{DR}{RA} } = 1
\end{align} \)
(右辺がすべて約分されて1になる)
したがって、メネラウスの定理
\( \displaystyle \color{red}{ \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA} = 1 } \)
が成り立つことが証明できました。
4. メネラウスの定理の逆とその証明
メネラウスの定理は、その逆も成り立ちます。
4.1 メネラウスの定理の逆
\( \mathrm{ \triangle ABC } \)の辺\( \mathrm{ BC, CA, AB } \)またはその延長上に,それぞれ点\( \mathrm{ P, Q, R } \)があり,この3点のうちの1個または3個が辺の延長上にあるとする。
このとき,\( \displaystyle \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA} = 1 \)が成り立つならば,\( \mathrm{ P, Q, R } \)は1つの直線上にある。
4.2 メネラウスの定理の逆の証明
2点\( \mathrm{ Q, R } \)がそれぞれ辺\( \mathrm{ CA, AB } \)上(下図の左:図3),あるいは辺\( \mathrm{ CA, AB } \)の延長上にあるとする(下図の右:図4)。
直線\( \mathrm{ QR } \)と辺\( \mathrm{ BC } \)との交点を\( P’ \)とします。
このとき、メネラウスの定理より
\( \displaystyle \frac{AR}{RB} \cdot \color{red}{ \frac{BP’}{P’C} } \cdot \frac{CQ}{QA} = 1 \ \cdots ① \)
また、条件の式より
\( \displaystyle \frac{AR}{RB} \cdot \color{red}{ \frac{BP}{PC} } \cdot \frac{CQ}{QA} = 1 \ \cdots ② \)
①,②より
\( \displaystyle \color{red}{ \frac{BP’}{P’C} = \frac{BP}{PC} } \)
\( P \)と\( P’ \)はともに辺\( \mathrm{ BC } \)の延長上にあるから、\( P \)と\( P’ \)は一致します。
したがって、3点\( P, Q, R \)は1つの直線上にあるといえます。
5. メネラウスの定理を利用する練習問題
それでは、メネラウスの定理を使う問題を実際に解いてみましょう!
\( \mathrm{ \triangle ABC } \)の辺\( \mathrm{ AB } \)を\( \mathrm{ 3:2 } \)に内分する点を\( \mathrm{ D } \)、辺\( \mathrm{ AC } \)を\( \mathrm{ 2:3 } \)に内分する点を\( \mathrm{ E } \)とし、\( \mathrm{ BE } \)と\( \mathrm{ CD } \)の交点を\( \mathrm{ O } \)とする。\( \mathrm{ AO } \)と\( BC \)の交点を\( \mathrm{ F } \)とするとき、\( AO:OF \)を求めよ。
メネラウスの定理で\( AO:OF \)を求めようとすると、比がわからずメネラウスの定理を適用できないことに気が付きます。
そこでまず、\( \mathrm{ \triangle ABC } \)に対してチェバの定理を使って\( BF, FC \)の比を求めます。
それから、\( \mathrm{ \triangle ABF } \)と直線\( \mathrm{ DC } \)に対してメネラウスの定理を使って\( AO:OF \)を求めていきます。
チェバの定理については「チェバの定理まとめ(証明・覚え方・逆・問題)」の記事で詳しく解説しています。チェバの定理を忘れてしまった人は確認しておきましょう。
もう一度解答の流れをまとめると
- \( \mathrm{ \triangle ABC } \)に対してチェバの定理を使って\( BF, FC \)の比を求める。
- \( \mathrm{ \triangle ABF } \)と直線\( \mathrm{ DC } \)に対してメネラウスの定理を使って\( AO:OF \)を求める。
それではいきましょう。
【解答】
まず、\( \mathrm{ \triangle ABC } \)に対してチェバの定理より
\( \displaystyle \color{red}{\frac{AD}{DB}} \cdot \color{blue}{\frac{BF}{FC}} \cdot \color{green}{\frac{CE}{EA}} = \color{red}{\frac{3}{2}} \cdot \color{blue}{\frac{BF}{FC}} \cdot \color{green}{\frac{3}{2}} = 1 \)
したがって \( \displaystyle \color{blue}{\frac{BF}{FC}} = \frac{4}{9} \)
∴ \( BF:FC = 4:9 \)
次に、\( \mathrm{ \triangle ABF } \)と直線\( \mathrm{ DC } \)に対してメネラウスの定理より
\( \displaystyle \color{red}{\frac{AD}{DB}} \cdot \color{blue}{\frac{BC}{CF}} \cdot \color{green}{\frac{FO}{OA}} = \color{red}{\frac{3}{2}} \cdot \color{blue}{\frac{13}{9}} \cdot \color{green}{\frac{FO}{OA}} = 1 \)
したがって \( \displaystyle \color{green}{\frac{FO}{OA}} = \frac{6}{13} \)
∴ \( AO:OF = \color{red}{ 13:6 \ \cdots 【答】 } \)
6. メネラウスの定理のまとめ
以上がメネラウスの定理の解説です。証明や使い方はしっかり理解できましたか?
メネラウスの定理はとても便利であり、超重要公式の1つです。
必ず覚えておきましょうね!
メネラウスの定理の逆の覚え方を教えて下さい。
メネラウスの定理の逆に対して、メネラウスの定理の公式が、図形は異なるのに、なぜ、文字通りそのまま当てはまるのか分かりません。メネラウスの定理と同じように図形を使って証明して欲しいのに、どの本を見ても図形の証明がありません。なぜでしょうか。メールに回答を送ってもらえませんか。お願いします。
メネラウスの定理の分数の計算(変形の形)がよくわかりません
無茶苦茶わかりやすかったです。ありがとうございました。
無茶苦茶わかりやすくて面白かったです。ありがとうございました。