東大塾長の山田です。
このページでは、「三角形の内心」について解説します。
三角形の内心の定理と、その証明を、イラスト付きで丁寧にわかりやすく解説していきます。
また、さいごには三角形の内心の定理を利用する練習問題も用意しているので、ぜひ最後まで読んで「三角形の内心」をマスターしてください!
1. 三角形の内心とは?
三角形の3つの内角の二等分線は1点で交わります。
この交点のことを、内心といいます。

2. 三角形の内心の定理
三角形の3つの内角の二等分線は1点で交わり、その点(内心)は3つの辺から等距離にある。
内心は3辺から等距離にあるから、内心を中心として、△ABCに接する円をかくことができる。この円を三角形の内接円という。

3. 三角形の内心の定理の証明
「三角形の3つの内角の二等分線は1点で交わり、その点(内心)は3つの辺から等距離にある」ことを証明していきます。
△ABCの\( \mathrm{ \angle B } \)と\( \mathrm{ \angle C } \)の二等分線の交点を\( I \)とし、\( I \)から辺BC,CA,ABに下ろした垂線を、それぞれ\( \mathrm{ ID, IE, IF } \)とします。
このとき \( \mathrm{ IF=ID, \ IE=ID } \)
(∵「点\( I \)が\( \mathrm{ \angle ABC } \)の二等分線上にある」\( \Leftrightarrow \)「点\( I \)が2辺OA,OBから等距離にある」)

よって \( \mathrm{ \color{red}{ IF=IE } } \)
\( \mathrm{ IF=IE } \)より、\( I \)は\( \mathrm{ \angle A } \)の二等分線上にあるといえます。
したがって、三角形の内角の二等分線は1点\( I \)で交わり、点\( I \)は3辺から等距離にあるといえます。
よって、三角形の内心の定理が成り立つことが証明できました。
4. 三角形の内心の定理を利用する練習問題
それでは、内心の定理を使って実際に問題を解いてみましょう!
△ABCの内心を\( I \)とし、直線AIと辺BCの交点をDとする。\( \mathrm{ AB=10, \ BC=12, \ AC=8 } \)のとき、\( \mathrm{ AI:ID } \)を求めよ。

【解答】
内心の定理より、直線ADは\( \angle A \)の二等分線となります

したがって、角の二等分線の性質より
\( \begin{align}
BD:DC & = AB:AC \\
& = 10:8 \\
& = 5:4
\end{align} \)
よって \( \displaystyle BD = \frac{5}{5+4} BC = \frac{5}{9} \times 12 = \frac{20}{3} \)
また、内心の定理より、直線BIは\( \angle B \)の二等分線なので、角の二等分線の性質より
\( \begin{align}
\color{red}{ AI:ID } & = BA:BD \\
\\
& = 10: \displaystyle \frac{20}{3} \\
\\
& = \color{red}{ 3:2 \ \cdots 【答】 }
\end{align} \)
下図のように、線分\( \mathrm{ AP } \)が\( \angle A \)を二等分するとき、
\[ \large{ \color{red}{ AB:AC = BP:CP } } \]
詳しい解説は「角の二等分線の性質(線分比の公式)に関する定理の証明」の記事で解説しています。
5. 三角形の内心まとめ
以上が、三角形の内心の解説です。しっかり理解できましたか?
三角形の内心の定理は、図形の基礎事項かつよく使う定理なので、必ず覚えておきましょうね!
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