積分の公式一覧(使い方・証明付き)【数学Ⅱ】

東大塾長の山田です。
このページでは、数学Ⅱで必要な「積分の公式」を一覧にしています

不定積分と定積分の定義もはじめから丁寧に解説しているので、ぜひ勉強の参考にしてください!

1. 不定積分の公式一覧

まずは不定積分の定義を確認してから,公式と公式の使い方の例を列挙していきます。

1.1 不定積分の定義

不定積分の定義

\( F’(x) = f(x) \) のとき

\( \displaystyle \color{red}{ \int f(x) dx = F(x) + C } \) (\( C \) は定数)

関数 \( f(x) \) に対して,微分すると \( f(x) \) になる関数,つまり

\( F’(x) = f(x) \)

となる関数 \( F(x) \) を,関数 \( f(x) \) の不定積分(または原始関数)といいます。

 

例えば,\( \left( x^2 \right)’ = 2x \) なので、\( x^2 \) は \( 2x \) の不定積分です。

\( \displaystyle x^2 + 1, \ x^2 – 3, \ x^2 + \frac{1}{2} \) なども,微分すると \( 2x \) になるので,\( 2x \) の不定積分となります。

このように,\( 2x \) の不定積分は無数にあり,「\( x^2 + (定数) \)」の形であればOKということになります。

 

同様に,関数 \( f(x) \) の不定積分の1つを \( F(x) \) とすると,\( f(x) \) の任意の不定積分は「\( F(x) + C \)(\( C \) は定数)」で表されます。

これを,記号 \( \displaystyle \int \)(インテグラル)を使って

\( \displaystyle \color{red}{ \int f(x) dx = F(x) + C } \) (\( C \) は定数)

と書きます。

 \( C \) は積分定数といい,関数 \( f(x) \) の不定積分を求めることを,「\( f(x) \) を積分する」といいます。

 

「積分は,微分の操作の逆」と覚えておきましょう。

 

1.2 \( x^n \) の不定積分の公式

べき関数の不定積分の公式

\( n \neq -1 \) のとき

\( \displaystyle \color{red}{ \int x^n dx = \frac{1}{n+1} x^{n+1} + C } \)

【例】

 ・\( \displaystyle \int x dx = \frac{1}{1+1} x^{1+1} + C = \frac{1}{2} x^2 + C \)

 ・\( \displaystyle \int x^2 dx = \frac{1}{2+1} x^{2+1} + C = \frac{1}{3} x^3 + C \)

 ・\( \displaystyle \int x^3 dx = \frac{1}{4} x^4 + C \)

 ・\( \displaystyle \int x^4 dx = \frac{1}{5} x^5 + C \)

 

1.3 定数倍,和・差の不定積分の公式

定数倍,和・差の不定積分の公式

\( k, \ l \) は定数として

\( \displaystyle \color{red}{ \int k f(x) dx = k \int f(x) dx } \)

\( \displaystyle \color{red}{ \int \left\{ f(x) + g(x) \right\} = \int f(x) dx + \int g(x) dx } \)

\( \displaystyle \color{red}{ \int \left\{ f(x) \ – g(x) \right\} = \int f(x) dx \ – \int g(x) dx } \)

【例】

\( \begin{align}
\displaystyle \bullet \ \int (2x+1) dx & = \int 2x dx + \int dx \\
\displaystyle & = 2 \int x dx + \int dx \\
\displaystyle & = 2 \cdot \frac{1}{2}x^2 + x + C \\
\displaystyle & = x^2 + x + C
\end{align} \)

 

\( \begin{align}
\displaystyle \bullet \ \int (x+1)(2x-3) dx & = \int (2x^2 – x – 3) dx \\
\displaystyle & = \frac{2}{3} x^3 – \frac{1}{2} x^2 – 3x + C
\end{align} \)

補足

・\( \displaystyle \int 1 dx \) は,\( \displaystyle \int  dx\) と書く。

・積分定数は1つにまとめて書けばよい。

 

2. 定積分の公式一覧

続いて定積分の定義と,公式と公式の使い方です。

2.1 定積分の定義

定積分の定義

関数 \( f(x) \) の不定積分の1つを \( F(x) \) とするとき

\( \displaystyle \color{red}{ \int_a^b f(x) dx = \left[ F(x) \right]_a^b = F(b) \ – F(a) } \)

不定積分 \( F(x) = \int f(x) dx \) の \( x \) に定数 \( a, \ b \) を代入して得られる2つの値の差 \( F(b) \ – F(a) \) を,\( f(x) \) の \( a \) から \( b \) までの定積分といい,

\( \displaystyle \int_a^b f(x) dx \)

で表します。

また,\( F(b) \ – F(a) \) を \( \displaystyle \left[ F(x) \right]_a^b \) で表します。

\( a \) をこの定積分の下端,\( b \) を上端といい,この定積分を求めることを,「\( f(x) \) を \( a \) から \( b \) まで積分する」といいます。

 

2.2 定数倍,和・差の定積分の公式

定積分についても,不定積分の場合と同様に,次の公式が成り立ちます。

定数倍,和・差の定積分の公式

\( k, \ l \) は定数として

\( \displaystyle \color{red}{ \int_a^b k f(x) dx = k \int_a^b f(x) dx } \)

\( \displaystyle \color{red}{ \int_a^b \left\{ f(x) + g(x) \right\} = \int_a^b f(x) dx + \int_a^b g(x) dx } \)

\( \displaystyle \color{red}{ \int_a^b \left\{ f(x) \ – g(x) \right\} = \int_a^b f(x) dx \ – \int_a^b g(x) dx } \)

【例】

\( \begin{align}
\displaystyle & \int_1^3 (x^2 – 2x) dx \\
\\
= & \int_1^3 x^2 dx \ – \int_1^3 2x dx \\
\\
\displaystyle = & \left[ \frac{1}{3} x^3 \right]_1^3 – 2 \left[ \frac{1}{2} x^2 \right]_1^3 \\
\\
\displaystyle = & \frac{1}{3} \times 3^3 – \frac{1}{3} \times 1^3 – 2 \left(\frac{1}{2} \times 3^2 – \frac{1}{2} \times 1^2 \right) \\
\\
\displaystyle = & \frac{2}{3}
\end{align} \)

 

2.3 定積分の性質

定積分の性質

\( \displaystyle \color{red}{ \int_a^a f(x) dx = 0 } \)

\( \displaystyle \color{red}{ \int_b^a f(x) dx = \ – \int_a^b f(x) dx } \)

\( \displaystyle \color{red}{ \int_a^c f(x) dx + \int_c^b f(x) dx = \int_a^b f(x) dx } \)

【証明】

\( \begin{align}
\displaystyle \bullet \ \color{red}{ \int_a^a f(x) dx } & = \left[ F(x) \right]_a^a \\
\\
\displaystyle & = F(a) – F(a) \\
\\
& \color{red}{ = 0 }
\end{align} \)

 

\( \begin{align}
\displaystyle \bullet \ \color{red}{ \int_b^a f(x) dx } & = \left[ F(x) \right]_b^a \\
\\
& = F(a) – F(b) \\
\\
& = – (F(b) – F(a)) \\
\\
\displaystyle & = – \left[ F(x) \right]_a^b \\
\\
\displaystyle & \color{red}{ = \ – \int_a^b f(x) dx }
\end{align} \)

 

\( \begin{align}
\displaystyle \bullet \ & \color{red}{ \int_a^c f(x) dx + \int_c^b f(x) dx } \\
\\
& = \left[ F(x) \right]_a^c + \left[ F(x) \right]_c^b \\
\\
\displaystyle & = \left\{ F(c) – F(a) \right\} + \left\{ F(b) – F(c) \right\} \\
\\
\displaystyle & = F(b) – F(a) \\
\\
\displaystyle & = \left[ F(x) \right]_a^b \\
\\
\displaystyle & \color{red}{ = \int_a^b f(x) dx }
\end{align} \)

【例】

\( \begin{align}
\displaystyle & \int_2^5 (2x+3) dx \ – \int_4^5 (2x+3) dx \\
\\
\displaystyle = & \int_2^5 (2x+3) dx + \int_5^4 (2x+3) dx \\
\\
\displaystyle = & \int_2^4 (2x+3) dx \\
\\
\displaystyle = & \left[ x^2 + 3x \right]_2^4 \\
\\
= & 18
\end{align} \)

 

以上が数学Ⅱの積分公式の解説のすべてです!

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