東大塾長の山田です。
このページでは、「トレミーの定理」について解説します。
トレミーの定理とその証明を、イラスト付きで丁寧にわかりやすく解説していきます。
ぜひ参考にしてください!
1. トレミーの定理とは?
まずはトレミーの定理とは何か説明します。
四角形\( \mathrm{ ABCD } \)が円に内接するとき
\( \displaystyle \color{red}{ AB \cdot CD + AD \cdot BC = AC \cdot BD } \)
2. トレミーの定理の覚え方!
トレミーの定理の覚え方はとても簡単です。
積の組み合わせをみてみると、
[対辺の積]+[対辺の積]=[対角線の積]
となっています。
図示すると上のような感じです。
記号で丸暗記をしても使いものにならないので、[対辺の積]+[対辺の積]=[対角線の積]と覚えておきましょう。
3. トレミーの定理の証明
それでは、なぜトレミーの定理が成り立つのか?証明をしていきます。
トレミーの定理の証明方法はいろいろありますが、今回は一番シンプルな「余弦定理」を使った証明方法を解説します。
まず
\( \mathrm{ AB=a, \ BC=b, \ CD=c, \ DA=d } \)
\( \mathrm{ AC=e, \ BD=f } \)
とおきます。
ここで、余弦定理より
\( \displaystyle \color{red}{ \cos B = \frac{a^2 + b^2 – e^2}{2ab} } \ \cdots ① \)
また、余弦定理より
\( \displaystyle \color{red}{ \cos D = \frac{c^2 + d^2 – e^2}{2cd} } \ \cdots ② \)
ここで、\( D = 180^\circ – B \)(円に内接する四角形の性質)なので、三角比の変換公式より
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ \cos D } & = \cos (180^\circ – B) \\
\\
& \color{red}{ = \ – \cos B } \ \cdots ③
\end{align} \)
①,②,③より
\( \cos B = \ – \cos D \)
\( \displaystyle \Leftrightarrow \ \displaystyle \color{red}{ \frac{a^2 + b^2 – e^2}{2ab} = \ – \frac{c^2 + d^2 – e^2}{2cd} } \)
この式を\( e \)について解いていくと
\( \displaystyle (a^2 + b^2 – e^2)cd = \ – (c^2 + d^2 – e^2)ab \)
\( \displaystyle e^2(ab+cd) = a^2 cd + b^2 cd +abc^2 + acd^2 \)
\( \displaystyle e^2(ab+cd) = (ac+bd) (ad+bc) \)
\( \displaystyle ∴ \color{red}{ e^2 = \frac{(ac+bd) (ad+bc)}{ ab+cd } } \ \cdots ④ \)
同様に考えると
\( \displaystyle \color{red}{ f^2 = \frac{(ac+bd) (ab+cd)}{ ad+bc } } \ \cdots ⑤ \)
④,⑤の辺々を掛け合わせると
\( \displaystyle e^2 f^2 = \frac{(ac+bd) (ad+bc)}{ ab+cd } \times \frac{(ac+bd) (ab+cd)}{ ad+bc } \)
\( \displaystyle (ef)^2 = (ac+bd)^2 \)
平方根をとると
\( \displaystyle \large{ \color{red}{ ef = (ac+bd) } } \)
つまり \( \displaystyle \large{ \color{red}{ AB \cdot CD + AD \cdot BC = AC \cdot BD } } \)
となり、トレミーの定理の定理を証明することができました!
4. トレミーの定理のまとめ
高校数学では、トレミーの定理を使う場面はあまりないかもしれませんが、「内接四角形と対角線」があったら、トレミーの法則を使うことで時間を短縮できることがあります。
ぜひ覚えておいてください!
①や④、eについて解くところの2行目の式で誤植があります。
図のeとfが逆になっています。