東大塾長の山田です。
このページでは、「余弦定理の公式・例題」について解説します。
余弦定理は、高校数学の平面図形の問題を解くうえで基礎知識であり、超重要×超頻出の公式です。
今回は具体的に問題を解きながら、余弦定理の使い方を解説します。
この記事を通して余弦定理の使い方をマスターしましょう!
1. 余弦定理
まずは余弦定理を確認しましょう。
\( \displaystyle ・ \ \large{ \color{red}{ a^2 = b^2 + c^2 – 2bc \cos A } } \)
\( \displaystyle ・ \ \large{ \color{red}{ b^2 = c^2 + a^2 – 2ca \cos B } } \)
\( \displaystyle ・ \ \large{ \color{red}{ c^2 = a^2 + b^2 -2ab \cos C } } \)
2. 余弦定理の証明
この記事では余弦定理を使った問題の解説をメインにします。
証明は少し長くなってしまうので、証明のやり方を知りたい方は「正弦定理と余弦定理の公式の証明」の記事を参考にしてください。
3. 余弦定理を使う問題と解説
センター試験などで超頻出のパターンの問題をやってみましょう。
(1) 線分AC
下図のように \( \triangle ABC \) に着目すると、余弦定理を使って \( AC \) が求まることが分かります。
\( \begin{align}
\displaystyle AC^2 & = AB^2 + BC^2 – 2 \cdot AB \cdot BC \cdot \cos \angle ABC\\
\\
& = 2^2 + 3^2 – 2 \cdot 2 \cdot 3 \cdot \cos 60^\circ \\
\\
& = 4 + 9 – 2 \cdot 2 \cdot 3 \cdot \frac{1}{2} \\
\\
& = 7 \\
\end{align} \)
\( \displaystyle ∴ \ AC = \sqrt{7} \cdots 【答】 \)
(2) 辺AD
(1)で \( AC = \sqrt{7} \) を得ました。
\( AD = x \) とおきます。
さらに、内接四角形の性質より
\( \begin{align}
\displaystyle \angle B + \angle D & = 180^\circ \\
\\
\angle D & = 120^\circ
\end{align} \)
これで準備完了です。
\( \triangle ADC \) に着目して余弦定理を適用すると、
\( \begin{align}
\displaystyle (\sqrt{7})^2 & = x^2 + 1^2 – 2 \cdot x \cdot 1 \cdot \cos 120^\circ \\
\\
∴ \ 7 & = x^2 + 1 – 2 \cdot x \cdot 1 \cdot \left( -\frac{1}{2} \right)
\end{align} \)
\( \begin{align}
\displaystyle ∴ \ x^2 + x – 6 & = 0 \\
\\
∴ \ (x+3) (x-2) & = 0 \\
\\
∴ \ x & = 2
\end{align} \)
よって \( \displaystyle AD=2 \cdots 【答】 \)
(3) 円Oの半径R
円Oは「\( \triangle ABC \) の外接円」とみなすことができるので、正弦定理が使えます。
\( \displaystyle \frac{\sqrt{7}}{\sin 60^\circ} = 2R \)
\( \begin{align}
\displaystyle ∴ \ R & = \frac{1}{2} \cdot \frac{\sqrt{7}}{\frac{\sqrt{3}}{2}} \\
\\
& = \frac{\sqrt{7}}{\sqrt{3}} \\
\\
& = \frac{\sqrt{21}}{3}
\end{align} \)
よって \( \displaystyle R = \frac{\sqrt{21}}{3} \cdots 【答】 \)
(4) 四角形ABCDの面積
四角形の面積を直接一発で計算するのではなく、三角比の三角形の面積公式
\[ \large{ S = \frac{1}{2} ab \sin \theta } \]
を使います。
上の図のように、四角形を三角形2つに分けて考えればよいです。
\( \begin{align}
\displaystyle & [四角形ABCDの面積] \\
\\
& = \triangle ABC + \triangle ADC \\
\\
& = \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot 3 \cdot \sin 60^\circ + \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot 1 \cdot \sin 120^\circ \\
\\
& = \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot 3 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot 1 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \\
\\
& = \frac{3\sqrt{3}}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \\
\\
& = 2\sqrt{3}
\end{align} \)
よって求める面積は \( \displaystyle 2\sqrt{3} \cdots 【答】 \)
4. 余弦定理まとめ
- 2辺とその間の角
- 3辺
がわかるときに、余弦定理を使うことでその他の辺・角を求めることができます。
余弦定理は本当に超重要公式なので、丸暗記でもいいのでとりあえず公式は覚えておきましょう。
そして、自分で導けるようになれば忘れることもなくなります。
また、入試問題で余弦定理の証明が出題されることもあるので、ぜひ証明もできるようにしておきましょう。
下図において、次を求めよ。
(1) 線分AC
(2) 辺AD
(3) 円Oの半径R
(4) 四角形ABCDの面積