バウムクーヘン積分について(証明・例題・意味合い)

東大塾長の山田です。

このページでは、バームクーヘン積分ついて詳しく説明しています。

計算方法については知っていても、その詳しい証明(高校範囲)や意味合いについて知らない人は多いのでないでしょうか?また、同じく便利な定理として有名な「パップス・ギュルタンの定理」との関りもあります。

奥の深いバウムクーヘン積分について、なかなか学ぶことができない面も含めて、一緒に考えていきましょう。

1. バウムクーヘン積分について

まずは公式の形を見ていきましょう。

1.1 バウムクーヘン積分の公式

バウムクーヘン分割

\(y=f(x)\)が連続関数で、\(x\)軸、\(y=f(x)\)、\(x=a, b\)で囲まれた部分(下図射線部)を\(y\)軸周りに一回転させた時の体積\(V\)は

\(V=\displaystyle\int_a^b 2\pi x f(x) dx\)

ただし、\(f(x)≧0\)と\(0≦a≦b\)が前提条件です。

これがバウムクーヘン積分の公式です。

\(y\)軸を対称とする回転体の体積を求めるのに大活躍します。通常回転体の面積を求める際には、「回してから切る」ことが基本ですが、バウムクーヘン積分の場合は、「切ってから回す」というイメージを持っておくことが大切です。

切ってから回すことで、立体がバウムクーヘンのようになるので、「バウムクーヘン積分」と呼ばれています。

なお、これを記述式の答案で証明なしに用いるのは少しリスキーです。あくまでも検算ツールとして使用しましょう。(c.f. ロピタルの定理

1.2 直感的には、、?(簡単な証明)

公式を覚えるためにも直感的なイメージを持っておきましょう。

先ほどの図の射線部のうち、\(x~x+\Delta x\)の部分(青斜線部)が回転してできる物体の体積\(\Delta V\)について考えましょう。

このときできる回転体をもう少し詳しく見ていきます。この回転体を切り開いてみると、右図のように、各辺の長さが\(f(x), \Delta x, 2\pi x\)の直方体が出てきます。

つまり、回転体の体積\(\Delta V\)はこの直方体の体積に近似でき、これの体積を求めてあげると

\(\Delta V ≒2\pi x f(x) \Delta x\cdots☆\)

となり、\(\Delta V\)を\(x:a\to b\)で積分してあげることで、バウムクーヘン積分の公式

\(V=\displaystyle\int_a^b 2\pi x f(x) dx\)

が導出できます。

注意:これはあくまでも近似の結果出た式なので、これをきちんとした証明ということはできません。

2. 使い方

実際にどのように用いていけば良いのか確認してみましょう。

2.1 計算例

【例】 \(f(x)=\sin x\)とします。\(y=f(x)\)のグラフの\(0≦x≦\pi\)の部分と\(x\)軸とで囲まれた図形を\(y\)軸の周りに回転させてできる立体の体積\(V\)を求めてみましょう。

【解答】

\(y\)軸対称の回転問題なので、バウムクーヘン積分を用いていきましょう。

\(\begin{aligned}V&=\displaystyle\int_0^{\pi} 2\pi x\sin x dx\\&=2\pi\left[-x\cos x+\sin x \right]_0^{\pi}\\&=2{\pi}^2\end{aligned}\)

このように面倒くさい求積問題が瞬殺できるのがバウムクーヘン積分の利点です。

2.2 注意点

それでは\(y\)軸回転の場合につねにバウムクーヘン積分を用いれば大丈夫なのでしょうか?

実はそうとも言い切れません。以下の例で確認してみましょう。

【例】下図射線部を\(y\)軸の周りに回転させてできる物体の体積\(V\)を求めましょう。

 

【方針1】バウムクーヘン積分を適用

バームクーヘン積分を用いると

\(\begin{aligned}V&=\displaystyle\int_0^1 2\pi x \cdot x\sqrt{1-x^2} dx\\&=2\pi\int_0^1 x\sqrt{1-x^2} dx\end{aligned}\)

\(x=\sin\theta\)と置換すると、\(dx=\cos \theta d\theta\)であり、\(x:0\to 1\)のとき、\(\theta:0\to \frac{\pi}{2}\)だから、

\(\begin{aligned}V&=2\pi\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2\theta \sqrt{1-\sin^2 \theta} \cos\theta d^theta\\&=2\pi\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^2\theta\cos^2 \theta d\theta\\&=2\pi\int_0^{\frac{\pi}{2}}(1-\cos^2\theta) \cos^2\theta d\theta\\&=2\pi\int_0^{\frac{\pi}{2}} \left(\cos^2\theta-\cos^4\theta\right)d\theta\\&=2\pi\left(\frac{1}{2}\cdot\frac{\pi}{2}-\frac{3}{4}\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{\pi}{2}\right)\\&=\frac{{\pi}^2}{8}\end{aligned}\)

途中ウォリスの公式を用いて計算を短縮しました。(公式の解説と導出はこちら

 

次に、正攻法で積分を行いましょう。

【方針2】正攻法

\(y=x\sqrt{1-x^2}\)より、\(y^2=x^2(1-x^2)\)であり、これを解くと

\(x^2=\displaystyle\frac{1±\sqrt{1-4y^2}}{2}\)

よって求める体積は

\(\begin{eqnarray}&&V=\displaystyle\int_0^{\frac{1}{2}} \pi\left( \frac{1+\sqrt{1-4y^2}}{2}-\frac{1-\sqrt{1-4y^2}}{2}\right) dy\\&=&\pi\int_0^{\frac{1}{2}} \sqrt{1-4y^2} dy\end{eqnarray}\)

\(2y=t\)と置くと、\(2dy=dt\)で、\(y:0\to \frac{1}{2}\)のとき、\(t:0\to 1\)だから

\(\begin{aligned}V&=\displaystyle\frac{\pi}{2}\int_0^1 \sqrt{1-t^2} dt\\&=\frac{\pi}{2}\cdot\frac{\pi}{4}\\&=\frac{{\pi}^2}{8}\end{aligned}\)

となりました。

どちらも場合も計算量にあまり大きな差はありません。となれば、バウムクーヘン積分が記述式の答案で使うのがリスキーである以上は、バウムクーヘン積分にこだわりすぎないことが大事です。

必ずしも計算が楽になるわけではないことを頭に入れておくと良いでしょう。

3. 証明

先ほどイメージをつかむために大雑把な証明はしました。次は、もちろん高校範囲の知識でしっかりと証明を行っていきましょう。

2.1 方針

回転体の微小体積\(\Delta V\)を評価する方針で証明を行います。

下図のように、図形の体積を評価するために、閉区間\([x,\quad x+\Delta x]\)における、\(f(x)\)の最小値\(m_x\)と最大値\(M_x\)をそれぞれ用意します。

\(\Delta V\)を評価したのちは、関数\(f(x)\)が連続かつ積分可能なことを考えて「はさみうちの原理」が使えないか考えていきましょう。

2.2 証明

それでは証明です。上の方針を基に行っていきます。

【証明】

\(\Delta V\)を\(\Delta x\)で一次近似して、\(x\)の微小区間\([x,\quad \Delta x]\)における\(f(x)\)の最大値・最小値

最大値:\(M_x\), 最小値:\(m_x\)

とすると、この区間に対応する回転体の微小体積\(\Delta V\)は、

\(\pi\{(x+\Delta x)^2 -x^2\}m_x≦\Delta V≦\pi\{(x+\Delta x)^2 -x^2\}M_x\)

と評価できます。各辺を\(\Delta x\)(\(>0\))で割ると

\(2\pi\{x+\displaystyle\frac{\Delta x}{2}\}m_x≦\frac{\Delta V}{\Delta x}≦2\pi\{x+\displaystyle\frac{\Delta x}{2}\}M_x\cdots (*)\)

となり、\(f(x)\)は連続なので、

\(\Delta x\to 0\)のとき、\(m_x\to f(x),\quad M_x\to f(x)\)

であることを考えると、

\(\Delta x\to 0\)のとき、\([(*)の両辺]\to 2\pi x f(x)\)

となります。よって「はさみうちの原理」より

\(\displaystyle\frac{\Delta V}{\Delta x}\to 2\pi xf(x),\quad ∴\frac{dV}{dx}=2\pi xf(x)\cdots♡\)

\(\Delta x<0\)の時は、上の証明で\(\Delta x\)を\(-\Delta x\)に置き換えればよく、やはり♡を得ます。したがって、回転体の体積は

\(V=\displaystyle\int 2\pi x f(x) dx\)

で与えられます。

このように、体積(面積)を評価して、はさみうちの原理から求めるタイプの問題は数多く存在するので、そのうちの一つとして自分で証明ができるようにしておきましょう。

4. 意味付け

ここで、今まで何回も出てきた微小部分の体積

\(\Delta V=2\pi f(x) \Delta x\cdots☆\)

について考えていきましょう。☆式にはどのような意味があるでしょうか?これは以下の二通の捉え方をすることが可能です。

4.1 表面積×厚み

一つ目の見方として、\(\Delta V\)を

\(\Delta V≒\{2\pi x f(x)\}\cdot \Delta x\)

とみなすものがあります。この場合、\(2\pi x f(x)\)が表面積で、\( \Delta x\)が厚みです。表面積を厚みに対して積分することで体積を求めることができるというのがこの式の意味です。

【例】球の体積

\(V=\displaystyle\frac{4}{3}\pi r^3 =\int_0^r 4\pi r^2 dr\)

4.2 重心の移動量×面積(パップス・ギュルダンの定理)

二つ目の見方として

\(\Delta V≒(2\pi x)\{f(x) \Delta x\}\)

とみなすものがあります。この場合、\(2\pi x\)が重心の移動量で、\(f(x)\Delta x\)が面積になります。これを一般化したものが以下の「パップス・ギュルダンの定理」です。

【比較】パップス・ギュルダンの定理

\(V=2\pi RS\)

 

このように、様々な角度からとらえることも可能です!ここまでの内容を頭に入れておくと、、また違った面からバームクーヘン積分についえ考えることができるでしょう。

 

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