複素数平面の公式まとめ(極形式・回転・ドモアブルの定理)

東大塾長の山田です。
このページでは、数学Ⅲの複素数平面」について解説します

今回は複素数の基礎的なこと(共役複素数や計算方法・絶対値)から,極形式,ド・モアブルの定理まで完全網羅して解説していきます
ぜひ勉強の参考にしてください!

1. 複素数平面

まずは複素数の復習からしていきましょう。

1.1 複素数と実数・虚数(復習)

「\( i^2 = -1 \)」となる数 \( i \) を 虚数単位 といいます。

さらに,\( a + bi \)(\( a, \ b \) は実数)の形で表される数を 複素数 といいます。

【例】

 ・ \( -1 + 2i \) (虚数)
 ・\( 8 \ – \ i \) (虚数)
 ・\( \sqrt{3} i \) (純虚数)

複素数 \( a + bi \) は,\( b = 0 \) のとき \( a + 0i \) となり,これは実数 \( a \) となります。

実数でない複素数を 虚数 といいます。
とくに,\( a = 0 \) のとき \( 0 + bi \),つまり \( bi \) を 純虚数 といいます。

 

1.2 複素数平面とは?

複素数 \( \alpha = a + bi \) を,座標平面上の点 \( A(a, \ b) \) で表すと,下の図のようになり,この平面を 複素数平面 といいます。

複素数平面上では、\( x \) 軸は実軸,\( y \) 軸を虚軸といいます。

また,上図のように,複素数平面の複素数 \( \alpha = a + bi \) を表す点を \( A(\alpha) \),\( A(a + bi) \) または単に \( \alpha \) といいます。

 

2. 複素数の実数倍・加法・減法

次は複素数の基本事項について解説していきます。

2.1 複素数の実数倍

複素数の実数倍

\( \alpha \neq 0 \) のとき,

3点 \( 0, \ \alpha , \ \beta \) が一直線上にある

\( \Leftrightarrow \ \beta = k \alpha \)(\( k \) は実数)

【証明】

複素数 \( \alpha = a + bi \) の \( k \) 倍を考えると,\( k \alpha = ka + kbi \) と表せる。

図に表すと,下図のようになる。

よって,点 \( k \alpha \) は直線 \( l \) 上にある。

また,この直線 \( l \) は,\( \alpha \) の実数倍の複素数を表しているので,上記の公式が成り立つ。

 

2.2 複素数の加法・減法

複素数の加法・減法

\( \alpha = a + bi \),\( \beta = c + di \) として,

【加法】\( \alpha + \beta = (a+c) + (b+d)i \)

【減法】\( \alpha – \beta = (a-c) + (b-d)i \)

上の図のように,

・\( \alpha + \beta \) は,\( \alpha \) を実軸方向に \( c \),虚軸方向に \( d \)

・\( \alpha – \beta \) は,\( \alpha \) を実軸方向に \( -c \),虚軸方向に \( -d \)

だけ平行移動した点だとわかります。

複素数の和・差を表す点を図示する問題では,図のように平行四辺形と関連付けて考えると問題を解きやすいです。

(「複素数の実数倍・加法・減法」は,ベクトルと同様の考え方です!)

 

3. 共役な複素数

続いて共役な複素数について解説していきます。共役な複素数自体は数Ⅱで一度学習済みですが,復習から入りましょう。

3.1 共役な複素数とは?

複素数 \( \alpha = a + bi \) に対し,\( \overline{ \alpha } = a – bi \) を \( \alpha \) に 共役な複素数 といいます。

また,\( – \alpha = -a – bi \),\( – \overline{ \alpha } = -a + bi \) を用いて図示すると,次のようになります。

上の図から,次のことが成り立ちます。

点 \( \overline{ \alpha } \) は点 \( \alpha \) と実軸に関して対称

点 \( – \alpha \) は点 \( \alpha \) と原点に関して対称

点 \( – \overline{ \alpha } \) は点 \( \alpha \) と虚軸に関して対称

 

3.2 共役な複素数の性質6つ

共役な複素数には,次のような性質があります。

共役な複素数の性質

\( \alpha \),\( \beta \) は複素数とする。

[1]\( \alpha + \overline{ \alpha } \) は実数

[2]\( \overline{ \alpha + \beta } = \overline{ \alpha } + \overline{ \beta } \)

[3]\( \overline{ \alpha – \beta } = \overline{ \alpha } – \overline{ \beta } \)

[4]\( \overline{ \alpha \beta } = \overline{ \alpha } \overline{ \beta } \)

[5]\( \displaystyle \overline{ \left( \frac{\alpha}{\beta} \right) } = \frac{ \overline{ \alpha } }{ \overline{ \beta } } \)(\( \beta \neq 0 \))

[6]\( \overline{ \overline{ \alpha } } = \alpha \)

簡単に導出をしておきます。

\( \alpha = a + bi \),\( \beta = c + di \) とおくと,\( \overline{ \alpha } = a – bi \),\( \overline{ \beta } = c – di \) であるから,

\( \begin{align}
\overline{ \alpha } \overline{ \beta } & = ( a – bi ) ( c – di ) \\
& = ac – adi – bci – bd \\
& = ac – bd – ( ad + bc ) i
\end{align} \)

また

\( \begin{align}
\alpha \beta & = ( a + bi ) ( c + di ) \\
& = ac + adi + bci – bd \\
& = ac – bd + ( ad + bc ) i
\end{align} \)

\( ∴ \ \overline{ \alpha \beta } = ac – bd – ( ad + bc ) i \)

よって,[4]\( \overline{ \alpha } \overline{ \beta } = \overline{ \alpha \beta } \) が成り立ちます。

同様の計算を行うと,複素数の性質[1]~[6]が成り立ちます。

共役な複素数を表す「\( \overline{\ \ \ } \) は,分けたり,つなげたりできる」と覚えておけばOKです!

 

4. 複素数の絶対値と2点間の距離

次は複素数の絶対値について解説していきます。

4.1 複素数の絶対値

点 \( \alpha \) と原点 \( O \) の距離を,複素数 \( \alpha \) の 絶対値 といい,\( |\alpha| \) で表します。

よって,複素数の絶対値は次のようになります。

複素数の絶対値

\( \alpha = a + bi \) とすると

\( \displaystyle \color{red}{ |\alpha| = |a + bi| = \sqrt{a^2 + b^2} } \)

 

4.2 複素数の絶対値の性質

絶対値の定義から,次のことが成り立ちます。

複素数の絶対値の性質

[1]\( |z| = 0 \ \Longleftrightarrow \ z = 0 \)

[2]\( |z| = |-z| = |\overline{z}| \),
   \( \displaystyle \color{red}{ z \overline{z} = |z|^2 }  \)(←重要よく使う!!

[3]\( |\alpha \beta| = |\alpha| |\beta| \)

[4]\( \displaystyle \left| \frac{\alpha}{\beta} \right| = \frac{|\alpha|}{|\beta|} \) (\( \beta \neq 0 \))

【証明】

\( z = a + bi \) とすると

\( \color{red}{ z \overline{z} } = (a+bi) (a-bi) = a^2 + b^2 \color{red}{ = |z|^2 } \)

また,絶対値は原点と点 \( z \) との距離であることを考えると,[1]と[2]が成り立つことは明らか。

 

[2]を用いると

\( |\alpha \beta |^2 = \alpha \beta \overline{ \alpha \beta } = \alpha \overline{\alpha} \beta \overline{\beta} = \left( |\alpha| |\beta| \right)^2 \)

\( |\alpha \beta| ≧ 0 \),\( |\alpha| |\beta| ≧ 0 \) なので,

\( \color{red}{ |\alpha \beta| = |\alpha| |\beta| } \) (←[3])

 

さらに,\( \beta \neq 0 \) のとき,\( \displaystyle \beta \cdot \frac{\alpha}{\beta} = \alpha \) であるから,[3]を用いて

\( \displaystyle \left| \beta \cdot \frac{\alpha}{\beta} \right| = |\beta| \cdot \left| \frac{\alpha}{\beta} \right| = |\alpha| \)

\( \displaystyle ∴ \ \color{red}{ \left| \frac{\alpha}{\beta} \right| = \frac{|\alpha|}{|\beta|} } \) (←[4])

 

4.3 複素数平面上の2点間の距離

複素数平面上の2点間の距離

2点 \( \alpha, \ \beta \) 間の距離は \( \color{red}{ |\beta \ – \alpha| } \)

【証明】

上の図から,2点 \( \alpha, \ \beta \) 間の距離は

\( \displaystyle \sqrt{(c-a)^2 + (d-b)^2} \)

また,\( \beta – \alpha = (c-a) + (d-b)i \) であるから,絶対値の定義より,2点 \( \alpha, \ \beta \) 間の距離は \( \color{red}{ |\beta \ – \alpha| } \) となる。

 

5. 複素数の極形式

\( z = a + bi \) とする点をPとします。

上図のように,\( OP = r \),半直線OPを動径として,動径の表す角を \( \theta \) とすると,

\( a = r \cos \theta , \ \ b = r \sin \theta \)

であるから

\( \displaystyle \color{red}{ z = r ( \cos \theta + i \sin \theta ) } \)

と表すことができます。

このような表し方を,複素数 \( z \) の 極形式 といいます(\( r = |z| , \ z \neq 0 \))。

また,\( \theta \) を \( z \) の 偏角 といい,「\( \color{red}{ \theta = \arg z } \)」で表します。

\( \theta \) は基本的に \( 0 ≦ \theta < 2 \pi \) または \( – \pi ≦ \theta < \pi \) の範囲で考えます。

複素数の極形式

\( \color{red}{ z = a + bi = r (\cos \theta + i \sin \theta ) } \)

(\( \displaystyle r = \sqrt{a^2 + b^2}, \ \ \theta = \arg z \))

 

6. 複素数の乗法と除法

次は,複素数の乗法と除法について解説していきます。複素数の乗法・除法は,前述の極形式を用いて考えます。

6.1 複素数の乗法・除法(極形式)

複素数の乗法・除法

\( z_1 = r_1 (\cos \theta_1 + i \sin \theta_1) \),\( z_2 = r_2 (\cos \theta_2 + i \sin \theta_2) \) として

【積の極形式】

\( \displaystyle \color{red}{ z_1 z_2 = r_1 r_2 \left\{ \cos(\theta_1 + \theta_2) + i \sin (\theta_1 + \theta_2) \right\} } \)

\( \displaystyle |z_1 z_2| = |z_1| |z_2| \),\( \displaystyle \arg (z_1 z_2) = \arg z_1 + \arg z_2 \)

【商の極形式】

\( \displaystyle \color{red}{ \frac{z_1}{z_2} = \frac{r_1}{r_2} \left\{ \cos(\theta_1 – \theta_2) + i \sin (\theta_1 – \theta_2) \right\} } \)

\( \displaystyle \left| \frac{z_1}{z_2} \right| = \frac{|z_1|}{|z_2|} \),\( \displaystyle \arg \left( \frac{z_1}{z_2} \right) = \arg z_1 – \arg z_2 \)

上の公式は,数Ⅱの加法定理

\( \color{red}{ \sin (\theta_1 + \theta_2) = \sin \theta_1 \cos \theta_2 + \cos \theta_1 \sin \theta_2 } \)

\( \color{red}{ \cos (\theta_1 + \theta_2) = \cos \theta_1 \cos \theta_2 – \sin \theta_1 \sin \theta_2 } \)

を用いて,次のように導出できます。

【積の極形式の証明】

\( \begin{align}
& z_1 z_2 \\
\\
& = r_1 (\cos \theta_1 + i \sin \theta_1) \cdot r_2 (\cos \theta_2 + i \sin \theta_2) \\
\\
& = r_1 r_2 \left\{ ( \cos \theta_1 \cos \theta_2 + i^2 \sin \theta_1 \sin \theta_2 ) + i ( \cos \theta_1 \sin \theta_2 + \sin \theta_1 \cos \theta_2 ) \right\} \\
\\
& = r_1 r_2 \left\{ ( \color{blue}{ \cos \theta_1 \cos \theta_2 – \sin \theta_1 \sin \theta_2 } ) + i ( \color{magenta}{ \sin \theta_1 \cos \theta_2 + \cos \theta_1 \sin \theta_2 } ) \right\} \\
\\
& = r_1 r_2 \left\{ \color{blue}{ \cos ( \theta_1 + \theta_2 ) } + i \color{magenta}{ \sin (\theta_1 + \theta_2 ) } \right\}
\end{align} \)
(色付き文字部分は加法定理による変形です。)

\( \displaystyle ∴ \ \color{red}{ z_1 z_2 = r_1 r_2 \left\{ \cos(\theta_1 + \theta_2) + i \sin (\theta_1 + \theta_2) \right\} } \)

また

\( \displaystyle |z_1 z_2| = r_1 r_2 = |z_1| |z_2| \)

\( \displaystyle \arg (z_1 z_2) = \theta_1 + \theta_2 = \arg z_1 + \arg z_2 \)

【商の極形式の証明】

\( \begin{align}
\displaystyle & \frac{z_1}{z_2} \\
\\
& = \frac{ r_1 (\cos \theta_1 + i \sin \theta_1) }{ r_2 (\cos \theta_2 + i \sin \theta_2) } \\
\\
& = \frac{ r_1 (\cos \theta_1 + i \sin \theta_1) }{ r_2 (\cos \theta_2 + i \sin \theta_2) } \color{green}{ \times \frac{\cos \theta_2 – i \sin \theta_2}{\cos \theta_2 – i \sin \theta_2} } \\
\\
& = \frac{r_1}{r_2} \cdot \frac{ \left\{ ( \cos \theta_1 \cos \theta_2 – i^2 \sin \theta_1 \sin \theta_2 ) + i ( \sin \theta_1 \cos \theta_2 – \cos \theta_1 \sin \theta_2 ) \right\} }{ \cos ^2 \theta_2 + \sin ^2 \theta_2 } \\
\\
& = \frac{r_1}{r_2} \cdot \frac{ \left\{ ( \color{blue}{ \cos \theta_1 \cos \theta_2 + \sin \theta_1 \sin \theta_2 } ) + i ( \color{magenta}{ \sin \theta_1 \cos \theta_2 – \cos \theta_1 \sin \theta_2 } ) \right\} }{ 1 } \\
\\
& = \frac{r_1}{r_2} \left\{ \color{blue}{ \cos(\theta_1 – \theta_2) } + i \color{magenta}{ \sin (\theta_1 – \theta_2) } \right\}
\end{align} \)
(3行目緑文字の変形は有理化,色付き文字部分は加法定理による変形です。)

\( \displaystyle ∴ \ \color{red}{ \frac{z_1}{z_2} = \frac{r_1}{r_2} \left\{ \cos(\theta_1 – \theta_2) + i \sin (\theta_1 – \theta_2) \right\} } \)

また

\( \displaystyle \left| \frac{z_1}{z_2} \right| = \frac{r_1}{r_2} = \frac{|z_1|}{|z_2|} \)

\( \displaystyle \arg \left( \frac{z_1}{z_2} \right) = \theta_1 – \theta_2 = \arg z_1 – \arg z_2 \)

 

6.2 複素数の乗法・除法と回転(乗除の図形的意味)

複素数の乗法を図形的に考えてみましょう。

複素数平面上で,2つの複素数 \( z_1, \ z_2 \) を表す点をそれぞれ \( P_1, \ P_2 \) とします。
このとき,積 \( z_1 z_2 \) を表す点 \( P \) がどの位置にあるか考えます。

\( |z_1| = r_1, \ \arg z_1 = \theta_1 \)

\( |z_2| = r_2, \ \arg z_2 = \theta_2 \)

とすると

\( |z_1 z_2| = r_1 r_2 \)

\( \arg (z_1 z_2) = \theta_1 + \theta_2 \)

であるから,点 \( P \) は下の図のようになります。

したがって,点 \( P \) は点 \( P_1 \) を原点からの距離 \( r_1 \) を \( r_2 \) 倍し,原点を中心に \( \theta_2 \) だけ回転移動させた点となります。

 

これと同様に,商 \( \displaystyle \frac{z_1}{z_2} \) を表す点は,原点からの距離 \( r_1 \) を \( \displaystyle \frac{1}{r_2} \) 倍し,原点を中心に \( -\theta_2 \) だけ回転移動させた点となります。

 

とくに,\( iz \) は,

\( \displaystyle iz = \left( \cos \frac{\pi}{2} + i \sin \frac{\pi}{2} \right) \cdot z \)

と表されるので,点 \( z \) を原点を中心に \( \displaystyle \frac{\pi}{2} \) だけ回転した点になります。

 

7. ド・モアブルの定理

続いて,ド・モアブルの定理について解説していきます。

7.1 ド・モアブルの定理と証明

ド・モアブルの定理

\( n \) が整数のとき

\( \displaystyle \color{red}{ ( \cos \theta + i \sin \theta )^n = \cos n \theta + i \sin n \theta } \)

【証明】

\( z = \cos \theta + i \sin \theta \) を掛けると,絶対値は1のままで,偏角は \( \theta \) だけ回転する。よって

\( \begin{align}
(\cos \theta + i \sin \theta )^2 & = \cos (\theta + \theta) + i \sin (\theta + \theta) \\
& = \cos 2 \theta + i \sin 2 \theta
\end{align} \)

\( \begin{align}
(\cos \theta + i \sin \theta )^3 & = (\cos \theta + i \sin \theta )^2 (\cos \theta + i \sin \theta ) \\
& = (\cos 2 \theta + i \sin 2 \theta ) (\cos \theta + i \sin \theta ) \\
& = \cos (2 \theta + \theta) + i \sin (2 \theta + \theta) \\
& = \cos 3 \theta + i \sin 3 \theta
\end{align} \)

となり,一般に,自然数 \( n \) について次の等式が成り立つ。

\( \displaystyle \color{red}{ ( \cos \theta + i \sin \theta )^n = \cos n \theta + i \sin n \theta } \cdots ① \)

0でない複素数 \( z \) に対して \( z^0 = 1 \) と定めると,①は \( n = 0 \) のときも成り立つ。

 

さらに,\( \displaystyle z^{-n} = \frac{1}{z^n} \) と定めると,①より

\( \begin{align}
\displaystyle (\cos \theta + i \sin \theta )^{-n} & = \frac{1}{(\cos \theta + i \sin \theta )^n} \\
\\
& = \frac{1}{\cos n \theta + i \sin n \theta } \\
\\
& = \cos ( n \cdot (-\theta) ) + i \sin ( n \cdot (-\theta) ) \\
\\
& = \cos (-n \theta) + i \sin (-n \theta)
\end{align} \)

よって,ド・モアブルの定理が成り立つ。

 

7.2 ド・モアブルの定理の使い方(1のn乗根)

方程式 \( z^n – 1 = 0 \) の解を1の \( n \) 乗根といい,一般に次のことが成り立ちます。

1のn乗根

1の \( n \) 乗根は,次の \( n \) 個の複素数である。

\( \displaystyle \color{red}{ z_k = \cos \left( \frac{2 \pi}{n} \times k \right) + i \sin \left( \frac{2 \pi}{n} \times k \right) } \)

(\( k = 0, 1, 2, \cdots , n-1\))

【証明】

\( z^n = 1 \) から \( |z|^n = 1 \)

よって \( |z| = 1 \)

\( z = \cos \theta + i \sin \theta \) とおくと

\( z^n = (\cos \theta + i \sin \theta )^n = \cos n \theta + i \sin n \theta \)

したがって

\( \cos n \theta + i \sin n \theta = 1 \)

実部と虚部を比較して,

\( \cos n \theta = 1, \ \sin n \theta = 0 \)

よって \( n \theta = 2 \pi \times k \)

すなわち \( \displaystyle \theta = \frac{2 k \pi}{n} \) (\( k \) は整数)

\( \displaystyle z_k = \cos \frac{2k \pi}{n} + i \sin \frac{2k \pi}{n} \)

とおくと,\( (z_k)^n = 1 \) が成り立ち,\( z_k \) は1の \( n \) 乗根となる。

また,\( z_{n+k} \) と \( z_k \) の偏角は \( 2 \pi \) だけ異なり,絶対値はともに1なので,\( z_{n+k} = z_k \) が成り立つ。

\( z_k \) のうち互いに異なるものは \( z_0, z_1, z_2, \cdots , z_{n-1} \) の \( n \) 個である。

とくに,\( n ≧ 3 \) のときは,下の図のように複素数平面上で,\( z_k \) を表す点は点1を1つの頂点として,単位円に内接する正 \( n \) 角形の各頂点になります。

 

以上が複素数の解説です!

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10件のコメント

※私は開発したものではありません。
いや、これ見てわかるでしょ。
確かに複素数の全てを物語ってるから復讐として使うのがいいかもしれない。

東大法卒です。非常にわかりやすくてためになりました。4月からは数3Cを塾で教えないといけないので良い予習になりました。ありがとうございました。

とても分かりやすかったです
そして面白かったです
ド・モアブルの定理で
方程式 z^n–1 の解を → z^n-1=0の解 =0が抜けているのではないでしょうか
k=1,2,…,n-1 ではなくて k=0,1,2,…,n-1 0が必要ではないでしょうか

高校以来60年ぶりでそれ以来一度も使わなかったのですっかり忘れていました。一生使わないと思っていましたが、フーリエ変換の理解のために大変役に立ちました。有難うございます。一度理解しておけば忘れてもこの記事がわかりやすく簡単に思い出しました。

わかりやすくて感動!授業ちょうど休んでたから助かります。

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