回折格子の原理と式(単スリットについても説明)

【勉強法はこちら】

東大塾長の山田です。

このページでは、回折格子について詳しく説明しています。
回折格子についての基本的知識の説明はもちろん、単スリットと回折格子の関係など、なかなか詳しい説明がなされない分野についても、丁寧な解説を付けています。

ぜひ勉強の参考にしてください!

また、この分野はヤングの実験と深く関わりのある分野です、ぜひヤングの実験のページも見て深い理解につなげてください。

1. 回折格子について

1.1 回折格子とは

平面ガラスの片面に、1cmあたり数百本から数千本の割合で細い溝を等間隔に掘ったものを、「回折格子」といいます。溝の部分は、ギザギザしていて光を透過せず、溝の間のガラス部分が、スリットの役割を果たし、光を透過させます。

また、溝と溝の間を格子定数といい、通常\(d\)を用いて表されます。

1.2 回折格子と干渉縞

回折格子に単色光を当てると、各スリットで回折した光の波長が同じになる方向で光が強め合うので、ヤングの実験同様、スクリーン上に干渉縞ができます。

二スリットで行ったヤングの実験と異なるのは、スリットの数がとても多いので、スクリーン上には完全な線スペクトルが現れる点です。一つの縞に様々な色があらわれていたヤングの実験とは少しだけ異なることに注意です。(縞ごとの色の様子は変わらないです。)

補足

・完全なる線スペクトルがあらわれることのもう少し詳しい説明

スリットの数が多くなると、明線条件

\[[光路差]=m\lambda\cdots☆\]

を満たす角\(\theta\)から少しでもずれると、光の振幅(明るさ)は位相が少しずつずれた多数の波の重ね合わせとなるので、その強度が☆の時の比べて十分に無視できるようになります。つまり、

「スリットの数が十分に多い場合は、☆を満たす\(\theta\)のみに波が来る」

としても良いことになります。これが回折格子の大事な性質でもあります。

以上を踏まえて、回折格子の様子を図に表すと以下のようになります。

1.3 明線条件とそこからわかること

次に回折格子での屈折光が強め合う条件について考えてみましょう!強め合う条件は、ヤングの実験の時と同様で、「隣り合ったスリットから出る光との光路差が波長の整数倍となるとき」となります。

それでは光路差はどのように表現できるでしょうか?上の図を拡大してみましょう。

格子定数\(d\)はかなり小さい量のため、任意のスリットと隣り合うスリットの回折光は平行に進むと考えることができます。(上図参照)そのため、二つの光の光路差は

\[[光路差]=d\sin\theta\]

とすることができ、これより回折光が強め合う条件は、

\[d\sin\theta=m\lambda\quad(m=0,1,2,\ldots)\]

と表記することができます!
また、回折格子からスクリーンまでの距離\(L\)と座標\(x\)が与えられている場合では、ヤングの実験と同様に考えてあげると、強め合いの条件は、\(\sin\theta≒\tan\theta\)の近似を用いて、

\[d\displaystyle\frac{x}{L}=m\lambda\]

と表記することもできます!これを式変形すると

\[x=m\displaystyle\frac{l\lambda}{L}≡x_m\]

となり、このときの明線間隔は

\[\Delta x=x_{m+1}-x_m=\displaystyle\frac{l\lambda}{L}\]

とわかり、この結果から「明線が等間隔でスクリーン上にあらわれる」ことが分かります!

どちらのパターンにも対応できるようにしておきましょう。

1.4 明線が最初に消えるのはいつ?(単スリットの暗線条件)

最後に、なかなか教科書・参考書には載っていない事項について扱って終わりにしましょう。載っていないといっても、これからの議論で登場する事項は、過去に入試問題のテーマとなったことがあるものなので、おざなりにはできません。

明線が等間隔で現れることは式からわかりますが、明線がスクリーン上ずっと同じ強度で現れるわけではありません。ここでは最初に明線が消えるときに成り立つ条件について考察してみましょう。

明線が消える原因ですが、ここでは

「明線の方向が、各スリットからの光がそれぞれのスリット内で打ち消しあう方向と一致した」

としてみます。

今回求めていくのは、\(m_0\)次の回折光が最初に消えたときの、スリット幅\(a\)です。

以下の図のような一つのスリットについて考えてみましょう。

スリットから出る光が弱めあうのは、上図のように

「\(AH間にn周期分の振動があるとき(上図はn=1)\cdots★\)」

となるときです。★を満たすとき、ある波に対して必ず逆位相の波があるために、すべての波を重ね合わせると結果的に弱めあうことになります。これを数式にすると、

\[a\sin\theta=n\lambda\]

最初に弱めあう点(\(n=1\))の座標を\(X\)とすると、上式は

\[a\sin\theta≒a\tan\theta=a\displaystyle\frac{X}{L}=\lambda\] \[∴X=\displaystyle\frac{L\lambda}{a}\]

となります。そして、この座標と\(m_0\)次の明線の座標が一致すれば良いので、

\[m_0 \displaystyle\frac{L\lambda}{d}=\displaystyle\frac{L\lambda}{a}\] \[a=\displaystyle\frac{d}{m_0}\]

これが求めるべき\(a\)の条件です!

上の議論の中で、特に★については「単スリットの暗線条件」となっているので必ず理解しましょう!
ヤングの実験における明線条件と混同しやすいので、暗記するのではなく理解することが大事です。

単スリットの暗線条件

\[a\sin\theta=n\lambda\]

2.まとめ

お疲れ様でした。最後の今回学んだことをまとめておくので、復習に役立ててください!

回折格子まとめ

回折格子の明線条件:\(d\sin\theta=m\lambda\quad(m=0,1,2,\ldots)\)

回折格子においては線スペクトル(明線)が等間隔で並ぶ!

単スリットの暗線条件:\(a\sin\theta=n\lambda\)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です