レンズの公式(証明・導出・使い方)

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東大塾長の山田です。
このページでは、凹レンズ・凸レンズの公式の形の紹介・証明、またそこからわかること」について詳しく説明しています

丸暗記で終わってしまいがちですが、紛らわしい形も多く、試験中に完璧に思い出せるとも限りません。そのようなときのために、導出方法をしっかりと理解することが重要です。
ぜひ勉強の参考にしてください!

1.基本的な知識の確認

まず凸レンズと凹レンズの違いについて確認してみましょう。

1.1 凸レンズと凹レンズの違い

凸レンズと凹レンズ、様々な違いがありますが集約すると以下のようになります。

凸レンズと凹レンズの違い

凸レンズ:光を集める
凹レンズ:光を分散する

また、凸レンズの場合光線が一つの点に集中します。この点のことを「焦点」といいます。
凹レンズの場合は、光線がレンズを通過した後の経路を逆にたどると、レンズ前方のある一点に集まります。この点ことも同様に「焦点」といいます。焦点は、レンズの前後に二つあります。

焦点は通常記号\(F\)で表されることが多く、レンズの中心から焦点までの距離\(f\)のことを「焦点距離」といいます。

1.2 像の作図方法(実像と虚像)

次に、凸レンズと凹レンズがどのように像を作るのか、確認してみましょう。

1.2.1 凸レンズについて

まずは凸レンズについてです。凸レンズを通過する光線には以下の三つの特徴があります。

①中心をとおる直線は直進する。
②軸に平行な光線は焦点を通る。
③焦点を進む光線は、軸に平行に進む。

これは必ず頭に入れておく必要があります。

この特徴を踏まえて、光源が焦点よりも内側にある場合と外側にある場合の二通りで作図してみます。

まずは外側にある場合です。

この場合、作られた像は実際に光が集まってできた像です。このような像のことを「実像」といいます。

次に光源が焦点よりも前にある場合を考えてみましょう。

作図をすると以下のようになります。

この場合、先ほどの場合とは異なりレンズを通過した光線は、結像せず発散してしまいます。しかし、レンズを屈折した光を左側に延長すれば、図の左側で交じり合い、レンズの右側から見ればあたかも光はレンズの左側から来たように見えます。

それゆえ、先ほどの場合と同様に、三種類の光線を書き、その延長線の交点を用いて作図された像のことを「虚像」といいます。

これまでの例を見れもらえばわかるように、三本の光線のうち最低二本を描けば像を作成することができます!

 

1.2.2 凹レンズについて

凹レンズの像を作成する際には、以下の三点を抑える必要があります。

①中心をとおる光線は直進する。
②軸に平行な直線は、焦点から出てくるように進む。
③焦点に向かって進む光線は、軸に平行に進む。

先ほどの凸レンズの場合と似ているようで少し違いますね。これを実際に作図することで確かめてみましょう。
また、凹レンズの場合は光源の位置に関わらず、出てくる像は必ず虚像になるので(後で示します)、今回は光源が焦点の外側にある場合についてのみ考えてみます。

実際に作図すると上図のようになります。

レンズの問題を考えるときに、実際に作図することができると、問題を把握する際に役立つこともあるので、ぜひ頭に入れておきましょう!

 

2. レンズの公式(証明・使い方)

レンズについての基本的知識は理解できたでしょうか?次はレンズの公式を理解していきましょう!

2.1 レンズの公式

まずは証明抜きにして形を把握してしまいましょう。

レンズの公式

光軸上の\(x=-a (a>0)\)から出た光のレンズによる像の位置を\(x=b\)とすると、

\( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} \)

が成り立つ。

ただし、

\( \begin{cases}
\displaystyle b>0:実像\\
\displaystyle b<0:虚像
\end{cases} \)

であり、\(f\)は

\( \displaystyle \left|f \right|=焦点距離 \)

であり、

\( \begin{cases}
\displaystyle 凸レンズ:f=\left|f \right|>0\\
\displaystyle 凹レンズ:f=-\left|f \right|<0
\end{cases} \)

である。また、このときのレンズの倍率 \(m\) は

\[m=\left|\displaystyle\frac{b}{a} \right|\]

と表記できる。

以上がレンズの公式です!

特に、凸レンズと凹レンズのときの違いや、実像・虚像になる条件は混合しやすいので、正確に覚えましょう。

 

2.2 証明

どのようにレンズの公式が証明できるのか確認していきましょう。

2.2.1 凸レンズ

光源が焦点の内側にある場合外側にある場合について証明します。

光源が外側にある場合

下図のように点に名前を付けます。このときレンズの右側には実像ができています。

三角形の相似について考えていきましょう。

まず\(\triangle A A’ O ∽\triangle B B’ O\)より、

\( \displaystyle1 AA’ : BB’ = AO : BO = a : b \cdots ① \)

また、\( \triangle POF_2 ∽ \triangle B’ BF_2 \) より

\( \displaystyle PO:BB’ = OF_2:BF_2 = f:b-f \cdots ② \)

が成り立ちます。ここで①,②と \(AA’=OP\) より

\( \displaystyle AO:BO = OF_2:BF_2 \)
\( \displaystyle ∴ \ a:b = f:b-f \)
\( \displaystyle ∴ \ a(b-f) = bf \cdots ③ \)

③の両辺を \( abf (≠0) \) で割って整理すると、

\( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} \)

が成立します。

また、倍率 \(m\) は、\( \displaystyle \triangle A A’ O ∽\triangle B B’ O \) より

\( \displaystyle m = \left| \frac{BB’}{AA’} \right| = \left| \frac{OB}{OA} \right| = \left| \frac{b}{a} \right| \)

となることが分かります。

続いて、光源が焦点の内側にある場合です。

光源が焦点の内側にある場合

下図のように点に名前を付けます。このときレンズの左側に虚像ができています。また、このとき\(b\)が負であることに気を付けましょう。

先ほどと同様に、三角形の相似について考えていきましょう。

まず\(\triangle A A’ O ∽\triangle B B’ O\)より、

\( \displaystyle AA’:BB’ = AO:BO = a:-b \cdots ④ \)

また、\( \triangle POF_2 ∽ \triangle B’BF_2 \) より

\( \displaystyle PO:B’B = OF_2:BF_2 = f:f-b \cdots ⑤ \)

が成り立ちます。ここで④,⑤と \( AA’ = OP \) より

\( \displaystyle AO:BO = OF_2:BF_2 \)
\( \displaystyle ∴ \ a:-b = f:f-b \)
\( \displaystyle ∴ \ a(f-b) = -bf \cdots ⑥ \)

⑥の両辺を \( abf (≠0) \) で割って整理すると、

\( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} \)

が成立します。

また、倍率 \( m \) は、\( \triangle A A’ O ∽ \triangle B B’ O \) より

\( \displaystyle m = \left| \frac{BB’}{AA’} \right| = \left| \frac{OB}{OA} \right| = \left| \frac{-b}{a} \right| = \left| \frac{b}{a} \right| \)

となることが分かります。

以上二つの証明により、凸レンズの場合のレンズの公式が証明されました!

 

2.2.2 凹レンズ

凹レンズの場合についても示します。凸レンズの場合の証明と同様、三角形の相似を用いて証明を行います。

凹レンズの場合

下図のように点に名前を付けていきます。このときレンズの左側に虚像ができています。

三角形の相似について考えていきましょう。

まず \( \triangle A A’ O ∽ \triangle B B’ O \) より、

\( \displaystyle AA’:BB’ = AO:BO = a:-b \cdots ⑦ \)

また、\( \triangle POF_1 ∽ \triangle B’BF_1 \) より

\( \displaystyle PO:B’B = OF_1:BF_1 = f:b+f \cdots ⑧ \)

が成り立ちます。ここで⑦,⑧と \( AA’ = OP \) より

\( \displaystyle AO:BO = OF_1:BF_1 \)
\( \displaystyle ∴ \ a:-b = f:b+f \)
\( \displaystyle ∴ \ a(b+f) = -bf \cdots ⑨ \)

⑨の両辺を \( abf (≠0) \) で割って整理すると、

\( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = – \frac{1}{f} \)

が成立します。

また、倍率 \( m \) は、\( \triangle A A’ O ∽ \triangle B B’ O \) より

\( \displaystyle m = \left| \frac{BB’}{AA’} \right| = \left| \frac{OB}{OA} \right| = \left| \frac{-b}{a} \right| = \left| \frac{b}{a} \right| \)

となることが分かります。

これでレンズの公式の証明が終わりました。しっかりと理解しましょう!

 

2.3 レンズの公式からわかること

公式について理解したところで、そこからわかることについて確認してみましょう!

ここでは、今まで事実として前提としてきて説明をしなかった「凸レンズの場合、光源が焦点の内側にある場合は虚像ができ、外側にある場合は実像ができる」「凹レンズの場合は虚像ができる」がなぜ成り立つのか、について説明します!

レンズの公式 \( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} \) を変形すると、

\( \displaystyle \frac{1}{b} = \frac{1}{f} – \frac{1}{a} = \frac{a-f}{af} \)

となり、さらに \( a≠f \) のとき

\( \displaystyle b = \frac{af}{a-f} \)

となります。このとき、像の位置 \( x=b \) の光源の位置 \( x=-a \) の前後関係は

\( \displaystyle \Delta x = b – (-a) \)

\( \displaystyle \qquad = \frac{af}{a-f} + a = \frac{a^2}{a-f} \)

となります。この関係式を用いて説明を行います。

①凸レンズ\((f>0)\)の場合

光源が焦点の外側にある場合(\(a>f\))と、内側にある場合(\(a<f\))について考えてみると次のようになります。

\( \begin{cases}
\displaystyle a>f ⇒ b>0, \Delta x>0 \cdots ㋐ \\
\displaystyle a<f⇒b<0, \Delta x<0 \cdots ㋑
\end{cases} \)

㋐より、光源が焦点の外側にある場合、光源の右側実像ができることが分かり、㋑より、光源が焦点の内側にある場合、光源の左側虚像ができることが分かります。

この時のそれぞれの光線の様子ですが、下図のようになります。ここでは光が逆向きに同じ経路をたどるときについても考えています。

光の向きを逆にしたとき、㋐’では㋐のときと同じレンズの公式が成立するので特に問題はないですが、㋑’については入り込む光が光軸上からの光ではないので、そのままではレンズの公式が使えません。

このようなときは、その逆の㋑を考えてレンズの公式を用いれば解決します!

②凹レンズ(\(f<0\))の場合

(\(f<0\))の場合、

\( \displaystyle b = \frac{af}{a-f} < 0, \quad \Delta x = \frac{a^2}{a-f}>0 \cdots ㋒ \)

が成立します。このことにより、光源と焦点の位置には関係なく、光源の右側に虚像ができることが分かります。

また、㋒のときの光線の様子について考えてみると以下のようになります。

㋒’については入り込む光が光軸上からの光ではないので、そのままではレンズの公式が使えません。

このようなときは、先ほどと同様にその逆の㋒を考えてレンズの公式を用いれば解決します!

このように、一見レンズの公式が成り立たなそうな場合でも、逆の場合を考えることで解決するパターンがあるということは、頭に入れておきましょう!

 

3. まとめ

レンズの公式についてしっかりと理解できたでしょうか?最後に今回学んだことをまとめておくので、復習に役立ててください!

まとめ

光軸上の\(x=-a (a>0)\)から出た光のレンズによる像の位置を\(x=b\)とすると、

\( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} \)

が成り立つ。

ただし、

\( \begin{cases}
\displaystyle b>0:実像\\
\displaystyle b<0:虚像
\end{cases} \)

であり、\( f \) は

\( \displaystyle \left| f \right| = 焦点距離 \)

であり、

\( \begin{cases}
\displaystyle 凸レンズ:f = \left| f \right|>0 \\
\displaystyle 凹レンズ:f = -\left| f \right|<0
\end{cases} \)

である。また、このときのレンズの倍率\(m\)は

\( \displaystyle m = \left| \frac{b}{a} \right| \)

と表記できる。

 

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