東大塾長の山田です。
このページでは、「三角形の内接円の半径の求め方の公式」について解説します。
内接円の半径を求める問題は、三角比(平面図形)の問題と絡めて出題される頻出問題です。
今回は具体的にそのような練習問題を解きながら、解説をしていきます。
この記事を最後まで読んで、内接円の半径の求め方をマスターしましょう!
1. 三角形の内接円の半径の公式
\( \triangle ABC \) の面積を \( S \) 、\( \triangle ABC \) の内接円の半径を \( r \) とすると、
\( \displaystyle \large{ r = \frac{2S}{a+b+c} } \)
2. 三角形の内接円の半径の公式の証明
なぜ、三角形の内接円の半径が
\( \displaystyle \large{ r = \frac{2S}{a+b+c} } \)
となるのか証明をしていきます。
\( \triangle ABC \) の面積を\( S \),\( \triangle ABC \) の内接円の中心を\( I \),半径を \( r \) とします。
そして、下図のように\( \triangle ABC \) を3つの三角形(\( \triangle IAB, \triangle IBC, \triangle ICA \))に分けて考えます。
面積について
\( \begin{align}
\displaystyle \triangle ABC & = \triangle IAB + \triangle IBC + \triangle ICA \\
\\
∴ \ S & = \frac{1}{2} cr + \frac{1}{2} ar + \frac{1}{2} br \\
\\
∴ \ S & = \frac{1}{2} r (a+b+c) \\
\\
∴ \ r & = \frac{2S}{a+b+c} \ \ (内接円の半径rの公式)
\end{align} \)
このように、内接円の半径の公式の証明ができます。
次は具体的に問題を解きながら公式を使ってみましょう。
3. 内接円の半径を求める例題
下図のような \( \triangle ABC \) の内接円の半径 \( r \) を求めよ。
【解答の指針】
内接円の半径の公式 \( \displaystyle r = \frac{2S}{a+b+c} \) を使って求めます。
しかし、\( \triangle ABC \) の面積 \( S \) がわかりません。
そこで \( \triangle ABC \) の面積 \( S \) を得るため、 \( \angle ABC = \theta \) として、
- 「余弦定理(\( \displaystyle \cos \theta = \frac{c^2 + a^2 – b^2}{2ca} \))」で \( \cos \theta \) を求める。
- 「三角比の相互関係の式(\( \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 \))」で \( \sin \theta \) を求める。
- 「三角比の面積公式(\( \displaystyle S = \frac{1}{2}ab \sin \theta \))」で面積 \( S \) を求める。
という手順を踏みます。
※ 上記の公式を忘れてしまった場合は、各リンクから解説記事をご覧ください。
そして最後に、半径の公式で解答を得られます。
それではやっていきましょう。
\( \angle ABC = \theta \) として、余弦定理より、
\( \begin{align}
\displaystyle \cos\theta & = \frac{5^2 + 7^2 – 3^2}{2 \cdot 5 \cdot 7} \\
\\
& = \frac{65}{2 \cdot 5 \cdot 7} \\
\\
& = \frac{13}{14}
\end{align} \)
よって
\( \begin{align}
\displaystyle \sin\theta & = \sqrt{1-\cos^2\theta} \\
\\
& = \sqrt{1-\left( \frac{13}{14} \right)^2} \\
\\
& = \frac{3\sqrt{3}}{14}
\end{align} \)
したがって、\( \triangle ABC \) の面積 \( S \) は
\( \begin{align}
\displaystyle S & = \frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 7 \cdot \sin \theta \\
\\
& = \frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 7 \cdot \frac{3\sqrt{3}}{14} \\
\\
& = \frac{15\sqrt{3}}{4}
\end{align} \)
よって、内接円の半径 \( r \) は
\( \begin{align}
\displaystyle r & = \frac{2 \cdot \frac{15\sqrt{3}}{4}}{7+3+5} \\
\\
& = \frac{\frac{15\sqrt{3}}{2}}{15} \\
\\
& = \frac{\sqrt{3}}{2}
\end{align} \)
以上のように、内接円の半径を求めることができます。
《別解》として、\( \triangle ABC \) の面積 \( S \) をヘロンの公式で求める方法もあります。
\( 2s = a+b+c \) とすると
\( \displaystyle \large { S = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} } \)
ヘロンの公式を使って三角形の面積を求めると、
\( \begin{align}
\displaystyle s & = \frac{a+b+c}{2} \\
\\
& = \frac{7+3+5}{2} \\
\\
& = \frac{15}{2}
\end{align} \)
より、
\( \begin{align}
\displaystyle S & = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \\
\\
& = \sqrt{\frac{15}{2} \left(\frac{15}{2} – 7 \right) \left(\frac{15}{2} – 3 \right) \left(\frac{15}{2} – 5 \right)} \\
\\
& = \sqrt{\frac{15}{2} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{9}{2} \cdot \frac{5}{2} } \\
\\
& = \sqrt{\frac{675}{16}} \\
\\
& = \frac{15\sqrt{3}}{4}
\end{align} \)
解答の値と同じになりました。
このあとの内接円の半径を求める手順は同様です。
ヘロンの公式は、今回の問題のように3辺の長さが整数のときに利用するとよいです。
4. 内接円の半径の求め方の公式まとめ
以上が、三角形の内接円の半径の求め方の公式の解説です。
内接円の半径を求める問題は、三角比(平面図形)の問題と絡めて出題される頻出問題ですので、必ずマスターしておきましょう!
△ABCにおいて、a=3,b=5,C=120°の時の内接円の半径の求め方を教えてくださいm(*_ _)m