東大塾長の山田です。
このページでは、「相反方程式の解き方」について解説します。
4次の相反方程式は大学入試では頻出です。
入試問題の解説もしているので、ぜひ勉強の参考にしてください!
1. 相反方程式とは?
\( ax^4 + bx^3 + cx^2 + bx + a = 0 \) のように、係数が左右対称な方程式を「相反方程式(そうはんほうていしき)」といいます。
【相反方程式の例】
・\( x^2 + 1 = 0 \)
・\( 3x^3 – 2x^2 – 2x + 3 = 0 \)
・\( x^4 + 5x^3 + 2x^2 + 5x + 1 = 0 \)
上記の例では、係数がそれぞれ
・\( (1, 1) \)
・\( (3, -2, -2, 3) \)
・\( (1, 5, 2, 5, 1) \)
となっていて、左右対称になっています。
また、0も係数とみなすので、\( x^4 + x^2 + x + 1 = 0 \) は相反方程式ではありません。
入試では4次の相反方程式が頻出です(その他はほぼなし)。
そのため、ここからは4次の相反方程式の解き方について解説をしていきます。
2. 相反方程式の解き方
4次相反方程式 \( ax^4 + bx^3 + cx^2 + bx + a = 0 \) では、中央の項 \( x^2 \) で両辺を割り、\( \displaystyle t = x + \frac{1}{x} \) と置き換えると、\( t \) に関する2次方程式に変形することができます。
\( ax^4 + bx^3 + cx^2 + bx + a = 0 \)
両辺を \( x^2 \) で割ると
\( \displaystyle ax^2 + bx + c + \frac{b}{x} + \frac{a}{x^2} = 0 \)
整理して
\( \displaystyle a \left( x^2 + \frac{1}{x^2} \right) + b \left( x + \frac{1}{x} \right) + c = 0 \)
ここで \( \displaystyle t = x + \frac{1}{x} \) とおくと
\( \displaystyle x^2 + \frac{1}{x^2} = \left(x + \frac{1}{x} \right)^2 – 2 = t^2 – 2 \)
であるから
\( a(t^2 – 2) + bt + c = 0 \)
\( t \) に関する2次方程式に変形できたので、これを解くと \( t \) が求まる。
求めた \( t \) を \( \displaystyle t = x + \frac{1}{x} \) に代入して、\( x \) を求める。
それでは、次は具体的に実際に入試問題を解いてみましょう!
3. 相反方程式の入試問題を解説
4次方程式 \( x^4 + 5x^3 + 2x^2 + 5x + 1 = 0 \) を解け。
【解答】
\( x=0 \) は解ではないから,方程式の両辺を \( x^2 \) で割ると
\( \displaystyle x^2 + 5x + 2 + \frac{5}{x} + \frac{1}{x^2} \)
よって
\( \displaystyle \left( x^2 + \frac{1}{x^2} \right) + 5 \left( x + \frac{1}{x} \right) + 2 = 0 \)
ここで \( \displaystyle t = x + \frac{1}{x} \) とおくと
\( \displaystyle x^2 + \frac{1}{x^2} = \left(x + \frac{1}{x} \right)^2 – 2 = t^2 – 2 \)
であるから
\( (t^2 – 2) + 5t + 2 = 0 \)
ゆえに \( t^2 + 5t = 0 \)
よって \( t (t+5) = 0 \)
したがって \( t=0, \ -5 \)
[1] \( t = 0 \) のとき
\( \displaystyle x + \frac{1}{x} = 0 \)
両辺に \( x \) を掛けて整理すると
\( x^2 = -1 \)
\( ∴ \ \color{red}{ x = \pm i } \)
[2] \( t = -5 \) のとき
\( \displaystyle x + \frac{1}{x} = -5 \)
両辺に \( x \) を掛けて整理すると
\( x^2 + 5x + 1 = 0 \)
\( \displaystyle ∴ \ \color{red}{ x = \frac{-5 \pm \sqrt{21}}{2} } \)
したがって,解は
\( \displaystyle \color{red}{ x = \pm i, \ \frac{-5 \pm \sqrt{21}}{2} \cdots 【答】 } \)
● 解答はじめの「\( x=0 \) は解ではないから」は必ず断ってから、両辺を \( x^2 \) で割りましょう。
(\( x=0 \) を方程式に代入すると、「(左辺)=1」となる。)
● \( \displaystyle x^2 + \frac{1}{x^2} = \left(x + \frac{1}{x} \right)^2 – 2 \) の変形は
\( \begin{align}
\displaystyle x^2 + \frac{1}{x^2} & = \left(x + \frac{1}{x} \right)^2 – 2 \cdot x \cdot \frac{1}{x} \\
\displaystyle & = \left(x + \frac{1}{x} \right)^2 – 2
\end{align} \)
4. 相反方程式のまとめ
さいごに今回の内容をもう一度整理します。
- 相反方程式\( \cdots \)係数が左右対称な方程式
- 相反方程式の解き方\( \cdots \)
- 「\( x=0 \) は解ではないから」と断ってから、方程式の両辺を \( x^2 \) で割る。
- \( \displaystyle t = x + \frac{1}{x} \) とおき、\( t \) に関する2次方程式に変形する。
- \( t \) を求める。
- 求めた \( t \) を \( \displaystyle t = x + \frac{1}{x} \) に代入して、\( x \) を求める。
以上が相反方程式の解き方の解説です。
相反方程式は入試では頻出なので、必ず解き方をマスターしておきましょう!
質問です。
四次の相反方程式をいくつか解いてみましたが、「積が1になるペア」が二組出て来る構造になっているように思います。(x=1の重根を含む)
これは相反方程式の性質から来るものなのでしょうか?
4次の相反方程式に対してt=x+1/xと置いた時のtの二次方程式の解をa,bと置くと、
もとの方程式の解はx^2-ax+1=0,x^2-bx+1=0の解になります。
それぞれの2次方程式の解は解と係数の関係から積が1になります。
ここから4次相反方程式の解は「積が1になるペア」が2組でてきます。
もっというと2n次の相反方程式は「積が1になるペア」がn組出てくるでしょうね