溶解度とは(溶解度曲線と公式)

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東大塾長の山田です。

このページでは溶解度について解説しています。

この分野は計算問題が多いので、ここでは例題を出題しながら解説しています。是非参考にしてください。

1. 溶解平衡

1.1 飽和溶液

一定量の液体(溶媒)に、固体(溶質)を少しずつ溶かしていくと、あるところから溶けきれずに固体が残るようになります。すなわち、ある一定温度のもとでは、一定量の液体に溶解する固体の量にはある一定の限度があります。その限度いっぱいまで溶質を溶かした溶液のことを飽和溶液といいます。

 

1.2 溶解平衡

飽和溶液中に、溶けきれずに残っている結晶が共存しているとき、溶解が止まっているわけではありません。溶解と同時に、その逆の析出も起こり、「溶解速度(単位時間内に結晶の表面から溶液中に溶けだす溶質の量)=析出速度(単位時間内に溶液中から結晶の表面に析出する溶質の量)」という関係になっています。このように、溶解や析出が実際には起こっているのに、見かけ上は停止している状態のことを溶解平衡といいます。

 

2. 固体の溶解度

\(100g\)の水を入れた容器を考えます。この容器に少しずつ塩化ナトリウム(固体)を加えていくと、一定量入れたところで塩化ナトリウムが溶けずに固体のまま残るようになります。

このように、物質にはそれぞれ\(100g\)の水に溶けることのできる限界の量(固体の溶け残りが発生しないぎりぎりの量)が決まっています。その量のことを溶解度といいます。

硫酸銅(II)五水和物\(CuSO_4・5H_2O\)のような水和物の水への溶解度は、無水物(無水塩)\(CuSO_4\)の質量で表されます。ちなみ、結晶水(水和水)\(5H_2O\)は、溶媒の一部となります。

 

水に対する溶解度を\(S〔g/水 100g〕\)とおくと、飽和溶液において次の関係式が成り立ちます。

溶解度の関係式

\[\frac{溶質の質量(g)}{飽和溶液の質量(g)}=\frac{S}{100+S}\]

または

\[\frac{溶質の質量(g)}{溶媒の質量(g)}=\frac{S}{100}\]

下で説明するような計算問題はこの関係式を用いて解きます。この関係式から導ける比を使って解く問題が多いです。この関係式はしっかり頭に入れておいてください。

 

3. 溶解度曲線

溶解度は、溶質や溶媒の種類によって異なり、また温度によって変化します。溶解度が温度によって変化していく様子を示した曲線のことを溶解度曲線といいます。下図が溶解度曲線の例です。

基本的に温度が高くなると溶解度が大きくなります。(温度が高いほどよく溶ける)

しかし、上図をみてわかるように固体の水への溶解における溶解度の温度依存性は、物質によって様々です。

硝酸カリウムは、溶解度の温度依存性が大きいため、温度が\(20℃\)から\(100℃\)まで上がると、溶解度は\(8倍\)近くも大きくなります。

また、塩化ナトリウムは、溶解度の温度依存性が小さいため、温度が\(20℃\)から\(100℃\)まで上がっても、溶解度は\(1割\)程度しか大きくなりません。

固体の溶解度は、一般に温度が高くなるほど大きくなります。しかし、硫酸リチウムや水酸化カルシウムのように温度が高くなるほど小さくなるものもあります。

 

4. 再結晶

上図を見てください。このグラフで、\(80℃\)において飽和状態にある溶液(つまり\(80℃\)で溶けることのできる最大である\(167g\)が溶けている溶液)を\(40℃\)まで冷却したとします。

\(40℃\)での溶解度は\(61.3g\)なので、\(40℃\)ではすべて溶けることのできていた\(167g\)の溶質のうち\(105.7g\)は固体として析出します。

このように、一度溶かした溶質を冷却によって再び固体として析出させることを再結晶といいます。

これは物質の精製法(混合物の分離法)の1つで、再結晶は溶解度の差を利用し、物質を精製する操作です。

4.1 温度に対する溶解度の差を利用する方法

1つには、温度に対する溶解度の差を利用する方法があります。例えば、温度による溶解度の差が大きい物質Aに不純物が少量混ざっているとしたとき、この混合物から不純物を取り除くのに再結晶を使います。高温の飽和溶液を作り、それを冷却すればよいのです。すると、不純物は少量で飽和に達しないから析出しないので、物質Aだけが析出し、不純物が取り除かれた高純度の物質Aが得られることになります。

塩化ナトリウムなどの温度による溶解度の差が小さい物質には、溶液を蒸発させることによって再結晶させる方法が適しています。

 

4.2 溶媒に対する溶解度の差を利用する方法

ほかには、溶媒に対する溶解度の差を利用する方法があります。例えば、水に対する溶解度は大きいけれどエタノールに対する溶解度は小さい物質Bに、不純物が少量混ざっているとしたとき、この混合物から不純物を取り除くのに再結晶を使います。このとき、濃厚な水溶液を作り、それにエタノールを加えれば、物質Bだけが析出し不純物が取り除かれることになります。

 

5. 溶解度を使った計算問題

ここでは、溶解度を使った計算問題の例を紹介したいと思います。以下の問題では答えはすべて整数で答えることとします。

問題1

塩化カリウムは水\(100g\)に対して、\(40℃\)で\(40g\)溶ける。以下の問いに答えよ。

(1)\(40℃\)で\(100g\)の水に塩化カリウム\(25g\)溶かした。この溶液にはあと\(何g\)の塩化カリウムを溶かすことができるか。

(2)\(40℃\)で水\(250g\)に溶かすことのできる塩化カリウムは最大で\(何g\)溶けるか。

(3)\(40℃\)で\(100g\)の塩化カリウム飽和水溶液に溶けている塩化カリウムは\(何g\)か。

解答1

(1) 問題文より、塩化カリウムの\(40℃\)での溶解度は\(40\)であるから、塩化カリウムは\(40℃\)で最大で\(40g\)まで溶かすことができます。今は\(25g\)の塩化カリウムが溶けているので、

\[40-25=15〔g〕\]

答‥15〔g〕

 

(2) 2で説明した溶解度の関係式から以下の関係式がわかります。

\[溶質の質量〔g〕:溶媒の質量〔g〕=S:100 ‥①\]

水\(250g\)に溶かすことのできる塩化カリウムが最大で\(x〔g〕\)であったとすると、\(40℃\)での塩化カリウムの溶解度は\(40\)であるから、①式に代入して

\[x:250=40:100\]

これを解くと、\(x=100〔g〕\)が求まります。

答‥100〔g〕

 

(3) \(100〔g〕\)の塩化カリウム飽和水溶液に溶けている塩化カリウムの質量を\(x〔g〕\)とします。

ここで、2で説明した溶解度の関係式から以下の関係式がわかります。

\[溶質の質量〔g〕:飽和溶液の質量〔g〕=S:100+S ‥②\]

塩化カリウムの\(40℃\)での溶解度は\(40\)であるから、②式に値を代入して

\[x:100=40:140\]

これを解くと、\[x=28.5‥\]が求まります。

答‥29〔g〕

 

問題2

\(60℃\)において水\(100g\)に\(40g\)溶かした。以下の問いに答えよ。ただし、塩化カリウムの溶解度は\(20℃\)で\(30\)、\(40℃\)で\(40\)、\(60℃\)で\(50\)とする。

(1)この溶液を冷却していくと、結晶が析出し始めた。この時の温度はいくつか。

(2)この溶液を\(40℃\)に保った状態で水を蒸発させた。この時析出した塩化カリウムは\(何g\)か。

解答2

(1) 塩化カリウムが析出し始めるということは、その温度で溶液が飽和状態になるということです。ここで、塩化カリウムの\(40℃\)での溶解度は\(40\)であることから、この温度で溶液が飽和状態になります。よって、析出し始める温度は\(40℃\)。

答‥40〔℃〕

 

(2) 飽和溶液から温度一定で水を蒸発させると、蒸発した分の水に含まれていた分の塩化カリウムがそのまま析出します。\(40℃\)で水\(20g\)に溶ける最大の塩化カリウムの質量を\(x〔g〕\)とすると、①式に代入して

\[x:20=40:100\]

これを解くと、\(x=8〔g〕\)が求まります。

答‥8〔g〕

 

問題3

\(80℃\)の硝酸カリウム飽和水溶液\(100g\)を\(40℃\)まで冷却したときに、析出する結晶は\(何g\)か。ただし、硝酸カリウムの溶解度は\(40℃\)で\(60\)、\(80℃\)で\(160\)とする。

解答3

まず、\(80℃\)のときに水に溶けている硝酸カリウムの質量を求めます。この質量を\(x〔g〕\)とすると、②式より

\[x:100=160:260\]

これを解くと、\(x=\frac{800}{13}〔g〕\)が求まります。(ここでは、分数のまま計算します。)これより、水の質量は

\[100-\frac{800}{13}=\frac{500}{13}〔g〕\]

となります。次に、\(40℃\)で水\(\frac{500}{13}〔g〕\)に溶ける硝酸カリウムの質量を求めます。この質量を\(y〔g〕\)とすると、①式より

\[y:\frac{500}{13}=60:100\]

これを解くと、\(y=\frac{300}{13}〔g〕\)が求まります。\(80℃\)のときに溶けていた硝酸カリウム\(\frac{800}{13}〔g〕\)のうち\(40℃\)では\(\frac{300}{13}〔g〕\)しか溶けることができず、残りの硝酸カリウムは結晶として析出します。よって、\(40℃\)まで冷却したときに析出する結晶の質量は

\[\frac{800}{13}-\frac{300}{13}=\frac{500}{13}=38.4‥\]

答‥38.4〔g〕

 

問題4

\(60℃\)の硫酸銅(II)飽和水溶液\(100〔g〕\)を\(20℃\)まで冷却すると、硫酸銅(II)五水和物の結晶が析出した。この結晶の質量は\(何g\)か。ただし、硫酸銅(II)の溶解度は\(20℃\)で\(20\)、\(60℃\)で\(40\)とする。また、\(CuSO_4\)の式量を\(160\)、\(H_2O\)の分子量を\(18\)とする。

解答4

まず、硫酸銅(II)飽和水溶液に溶けている\(CuSO_4\)の質量を求めます。\(x〔g〕\)の\(CuSO_4\)が溶けているとすると、②式より、

\[x:100=40:140\]

これを解くと、\(x≒29〔g〕\)がわかります。これより、水の質量は\(71〔g〕\)となります。

次に、析出した\(CuSO_4・5H_2O\)の質量を\(y〔g〕\)とします。ここで、\(CuSO_4・5H_2O\)の分子量は\(250\)となるから、析出した\(CuSO_4・5H_2O\)のうち\(CuSO_4\)の分の質量は\(\frac{160}{250}y\)。これより、②式に代入して

\[(29-\frac{160}{250}):(100-y)=20:120\]

これを解くと、\(y=26.0‥\)が求まります。

答‥26〔g〕

 

 

6. まとめ

最後に溶解度についてまとめておこうと思います。

  • 一定量の液体(溶媒)に、固体(溶質)を少しずつ溶かしていくと、あるところから溶けきれずに固体が残るようになる。すなわち、ある一定温度のもとでは、一定量の液体に溶解する固体の量にはある一定の限度がある。その限度いっぱいまで溶質を溶かした溶液のことを飽和溶液という。
  • 溶解や析出が実際には起こっているのに、見かけ上は停止している状態のことを溶解平衡という。
  • 物質にはそれぞれ\(100g\)の水に溶けることのできる限界の量(固体の溶け残りが発生しないぎりぎりの量)が決まっている。その量のことを溶解度という。
  • 溶解度の関係式、\(frac{溶質の質量(g)}{飽和溶液の質量(g)}=\frac{S}{100+S}\)、または、\(\frac{溶質の質量(g)}{溶媒の質量(g)}=\frac{S}{100}\)である。
  • 溶解度が温度によって変化していく様子を示した曲線のことを溶解度曲線という。
  • 一度溶かした溶質を冷却によって再び固体として析出させることを再結晶という。

 

溶解度の計算問題では、比を使うときにしっかり何と何を比較しているのか理解して解くように心がけてください。計算ミスや比べるものを間違えたりすることが起こりやすいので、何回も練習してミスをしないようにしましょう!

 

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