東大塾長の山田です。
このページでは活性化エネルギーについて解説しています。
活性化エネルギーの定義がしっかりわかるように説明しています。是非参考にしてください。
1. 活性化エネルギー
化学反応が起こるには、反応する粒子同士が衝突する必要があります。ただ、衝突した粒子のすべてが反応するわけではなく、ある一定以上のエネルギーをもった粒子同士がある特定の方向から衝突することによって、化学反応が起こります。
では、水素とヨウ素が反応しヨウ化水素が生成する反応を例に考えていきましょう。
\(H_2 + I_2 →2HI\)
化学反応はエネルギーの高い中間状態を経由して起こります。このようなエネルギーの高い中間状態のことを活性化状態といいます。
活性化状態では、原子の状態ではなく、複合的で不安定な状態の活性錯合体(活性錯体)が形成されています。このとき、水素とヨウ素は原子状態になっているのではなく、\(H-H\)と\(I-I\)のままで衝突すれば\(H-I\)になるだけのエネルギーを持った状態です。
つまり、\(H_2\)分子と\(I_2\)分子の反応では、それぞれの分子が\(H\)原子と\(I\)原子に解離しそれらが結合して\(HI\)分子になるわけではないのです。
また、化学反応を起こす粒子が、活性化状態になるために必要な最小のエネルギーを活性化エネルギーといいます。衝突した粒子が活性化エネルギー以上のエネルギーを持っていなかった場合、化学反応は起こりません。
活性化エネルギーは反応の種類によって違います。
また、活性化エネルギーが小さいほうが活性化エネルギーを超える粒子の数が増えるため、化学反応は起こりやすくなります。
その後、活性化状態からエネルギーを放出し安定した\(HI\)を生成します。最初の\(H_2\)と\(I_2\)の持つエネルギーと反応後の\(HI\)の持つエネルギーとの差を反応熱といい、ヨウ化水素の生成では反応後の方が安定でエネルギーが低くなるので、反応熱は正で発熱反応となります。
2. 活性化エネルギーの求め方
反応速度定数\(k\)について「反応速度の求め方(測定と式・定数の単位)」の記事で説明しました。この速度定数を絶対温度\(T\)と活性化エネルギー\(E_a\)を用いて表すことができ、次のような関係式になります。
\(\displaystyle k=Ae^{-\frac{E_a}{RT}}\)
このような関係式をアレニウスの式といいます。この式での\(A\)は頻度因子と呼ばれる定数、\(e\)は自然対数の底、\(R\)は気体定数です。
では、この式を式変形していきましょう。
アレニウスの式の両辺の自然対数をとって整理すると、次のようになります。
\(\displaystyle log_ek=-\frac{E_a}{RT}+log_eA\)
これをもとに、温度\(T_1\)、\(T_2\)における反応速度定数\(k_1\)、\(k_2\)とすると、
\(\displaystyle log_ek_1=-\frac{E_a}{RT_1}+log_eA\)
\(\displaystyle log_ek_2=-\frac{E_a}{RT_2}+log_eA\)
となります。これらの辺々を引き算すると次の式が得られます。
\(\displaystyle log_ek_1-log_ek_2=-\frac{E_a}{R}(\frac{1}{T_1}-\frac{1}{T_2})\)
この式は、横軸に\(\displaystyle \frac{1}{T}\)、縦軸に\(log_ek\)をとると、その両者には直線関係があることを示しています。この直線の傾きは\(\displaystyle -\frac{E_a}{R}\)であるので、ここから活性化エネルギー\(E_a\)を求めることができます。
また、常用対数を用いた場合は次のようになります。
\(\displaystyle log_{10}\frac{k_1}{k_2}=-\frac{E_a}{2.3R}(\frac{1}{T_1}-\frac{1}{T_2})\)
3. まとめ
最後に活性化エネルギーについてまとめておこうと思います。
活性化状態‥エネルギーの高い中間状態
活性化エネルギー‥化学反応を起こす粒子が、活性化状態になるために必要な最小のエネルギー
\(\displaystyle k=Ae^{-\frac{E_a}{RT}}\)
\(k\)は反応速度定数、\(E_a\)は活性化エネルギー、\(T\)は温度、\(A\)は頻度因子と呼ばれる定数、\(e\)は自然対数の底、\(R\)は気体定数。
活性化エネルギーは化学反応が起こるうえで大事な知識です。
しっかり定義を理解できるようにこの記事を何度も読み返してください!
Log10^K1/K2のところ間違えてますよね?