東大塾長の山田です。
このページでは、「必要条件と十分条件」と、その覚え方も含めて、わかりやすく解説していきます。
また、最後にはセンター試験の過去問を実際に解きながら、解説をしています。
「必要条件・十分条件」は、大学受験では頻出問題です。
実際、センター試験ではほぼ毎年「必要条件・十分条件か」を答える問題が出題されています。
このページを最後まで読んで、「必要条件・十分条件」の考え方をしっかりと理解して、必要条件・十分条件をマスターしましょう!
1. 必要条件と十分条件
「命題」や「真偽」などの用語の意味が曖昧な人は、まず「命題をわかりやすく説明」の記事から確認してください。
それでは、必要条件・十分条件・必要十分条件について、順を追って説明していきます。
1.1 必要条件と十分条件とは?
まずは必要条件と十分条件の定義を確認します。
\( p \Rightarrow q \)が真のとき
- \( p \) は \( q \) の十分条件
- \( q \) は \( p \) の必要条件
といいます。
- \( p \) は \( q \) が成り立つには十分な仮定 \( \longrightarrow \) \( p \) は \( q \) であるための十分条件
- \( q \) は \( p \) から必然的に導かれる結論 \( \longrightarrow \) \( q \) は \( p \) であるための必要条件
ということです。
例えば、
「新宿 \( \Rightarrow \) 東京」
という命題、これは真ですね。
「新宿」であることは「東京」であるための十分条件です。
↓ 砕いていうとこんな感じ ↓
一方、「東京」であることは「新宿」であるための必要条件です。
↓ 砕いていうとこんな感じ ↓
1.2 必要条件と十分条件の覚え方2パターン
ことばだけだと、「あれ?結局どっちがどっちだっけ?」となりかねませんよね。
必要条件と十分条件の覚え方があるので紹介しておきます。
覚え方①
\( p \Rightarrow q \)の「\( \large{ \Rightarrow } \)」に注目します。
「\( \large{ \Rightarrow } \)」の、左側の部分に十分の「十」を、右側の部分に必要の「必」を当てはめるイメージです。
左の「十」の方にある \( p \) が十分条件、右の「必」のほうにある \( q \) が必要条件となります。
覚え方②
「十分条件」\( \Rightarrow \)「必要条件」なので、単純に
矢印の向きに
じゅう(十)\( \longrightarrow \)よう(要)
と覚えることです。
しっくりくる方、覚えやすいほうで覚えてくださいね。
ただし、「1.1 必要条件と十分条件とは?」で解説したように、意味をしっかり理解をしておきましょう。
1.3 集合と必要条件・十分条件の関係
条件 \( p,q \) を満たすものの全体の集合をそれぞれ \( P,Q \) とします。
\( p \Rightarrow q \) が真のとき、\( P \subset Q \)となり、\( Q \) が \( P \) を包み込む包含関係になります。
「新宿 \( \Rightarrow \) 東京」の例をベン図にしてみると、わかりやすいと思います。
\( p \) の集合は「新宿」、\( q \) の集合は「新宿、渋谷、池袋、お台場、浅草、六本木、…」となり、ベン図が下のようになります。
「\( x \lt 1 \) ならば \( x \lt 3 \)」
のような、数式の真の命題でも確認してみましょう。
「\( x \lt 1 \)」を数直線で書くとこうなります。
そこに「\( x \lt 3 \)」を重ねてかくと、「\( x \lt 1 \)」を含むかたちになりますね。
1.4 必要十分条件と同値
必要十分条件とは、その名の通り「必要条件でもあり、十分条件でもあるもの」のことです。
つまり、「\( p \Rightarrow q \)」と「\( q \Rightarrow p \)」がともに真であるとき、「\( p \Leftrightarrow q \)」となり、
- \( p \) は \( q \) であるための必要十分条件であり、
- \( q \) は \( p \) であるための必要十分条件である
といいます。
また、このとき \( p \) と \( q \) は互いに同値といいます。
(「\( \Rightarrow \)」…同値)
2. 必要条件と十分条件の問題を解いてみよう
(2017 センター)
問①
\( q \) は \( p \) であるための……?
まず、条件を整理します。
- \( p:x=1 \)
- \( q:x^2=1 \Leftrightarrow x= \pm 1 \)
となります。
次に命題を調べます。
- 「\( p \Rightarrow q \)」…真(→ \( q \) は \( p \) の必要条件)
- 「\( q \Rightarrow p \)」…偽(→ \( q \) は \( p \) の十分条件でない)
したがって、答えは「a. 必要条件だが十分条件でない」となります。
こんがらがってしまいそうになったら
で確認しましょう。
問②
\( \overline{p} \) は \( q \) であるための……?
- \( \overline{p}:x \neq 1 \)
- \( q:x= \pm 1 \)
となるので
- 「\( \overline{p} \Rightarrow q \)」…偽(→ \( \overline{p} \) は \( q \) の十分条件でない)
- 「\( q \Rightarrow \overline{p} \)」…偽(→ \( \overline{p} \) は \( q \) の必要条件でない)
したがって、答えは「d. 必要条件でも十分条件でもない」となります。
問③
\( ( \ p \ または \ \overline{q} \ ) \) は \( q \) であるための……?
\[ \begin{align}
( p \ または \ \overline{q} \ ) & \Leftrightarrow (x=1 または x \neq \pm 1) \\
\\
& \Leftrightarrow x \neq -1
\end{align} \]
と整理することができるので
- 「\( p \ または \ \overline{q} \Rightarrow q \)」…偽(→ \( p \ または \ \overline{q} \) は \( q \) の十分条件でない)
- 「\( q \Rightarrow p \ または \ \overline{q} \)」…偽(→ \( p \ または \ \overline{q} \) は \( q \) の必要条件でない)
したがって、答えは「d. 必要条件でも十分条件でもない」となります。
問④
\( ( \ \overline{p} \ かつ \ q \ ) \) は \( q \) であるための……?
\[ \begin{align}
(\ \overline{p} \ かつ \ q \ ) & \Leftrightarrow (x \neq 1 かつ x= \pm 1) \\
\\
& \Leftrightarrow x=-1
\end{align} \]
と整理することができるので
- 「\(\overline{p} \ かつ \ q \Rightarrow q \)」…真(→ \( \overline{p} \ かつ \ q \) は \( q \) の十分条件)
- 「\(q \Rightarrow \overline{p} \ かつ \ q \)」…偽(→ \( q \) は \( \overline{p} \ かつ \ q \) の必要条件でない)
したがって、答えは「b. 十分条件だが必要条件でない」となります。
3. 必要条件・十分条件のまとめ
さいごに、必要条件・十分条件のまとめをします。
- 必要条件・十分条件…\( p \Rightarrow q \)が真のとき
- \( p \) は \( q \) の十分条件
- \( q \) は \( p \) の必要条件
- \( P \subset Q \)
- 覚え方①…
- 覚え方②…
矢印の向きに
じゅう(十)\( \longrightarrow \)よう(要)
- 必要十分条件…必要条件でもあり、十分条件でもあるもの。「\( p \Leftrightarrow q \)」と表し、\( p \) と \( q \) は互いに同値という。
以上が、「必要条件・十分条件」の解説です。
「必要条件・十分条件」はきちんと理解し、条件を整理できれば確実に解ける問題ばかりです。
どんどん練習を重ねて、必要条件・十分条件を得点源にしてください!