東大塾長の山田です。
このページでは、2次関数のグラフの書き方(頂点・軸の求め方)と、平行移動の問題の解き方をわかりやすく解説します。
具体的に例題を解きながらやってみせますので、解き方がしっかりとイメージできるようになるはずです。
2次関数の式変形や平行移動は、関数の基礎・基本となり、非常に重要です。
このページを最後まで読んで、2次関数の基礎をマスターしてください!
目次
1. 2次関数とは
最初に、簡単に2次関数とは何か?について解説をします。
¥( x ¥) の2次式で表される関数を、¥( x ¥) の2次関数といいます。
一般に、次の式で表されます。
\[ \large{ y=ax^2+bx+c } \\ (a,b,c \ は定数,a \neq 0) \]
例えば、次のような関数が2次関数です。
- \( y=2x^2 \)
- \( y=-3x^2+2 \)
- \( y=x^2-4x-1 \)
e.t.c…
2. 2次関数 \( y=ax^2+bx+c \) のグラフ
それでは、2次関数 \( y=ax^2+bx+c \) のグラフの書き方について、順を追って解説していきます。
2.1 2次関数 \( y=a(x-p)^2+q \) のグラフ
まず、「\( \large{ y=a(x-p)^2+q } \)」のグラフについて押さえておきましょう。
この式の形が、2次関数の基本となるからです。
\( \large{ y=a(x-p)^2+q } \) のグラフは、\( \large{ y=ax^2 } \) のグラフを
\( x \) 軸方向に \( p \)
\( y \) 軸方向に \( q \) だけ平行移動
したグラフです。
したがって、
\[ \large{ 頂点:(p, \ q) } \]
軸は頂点の \( x \) 座標と同じなので、
\[ \large{ 軸:x=p } \]
となります。

例えば
\[ \large{ y=2(x-3)^2+1 } \]
のグラフは、
\[ \large{ y=2x^2 } \]
のグラフを
\( x \) 軸方向に3、\( y \) 軸方向に1
だけ平行移動したグラフになります。
また、頂点は\( (3, \ 1) \)、軸は直線 \( x=3 \) となります。

ここで言いたいことは、「\( y=ax^2+bx+c \)」のグラフは「\( y=a(x-p)^2+q \)」の形に変形することで、軸と頂点がわかるということです。
ちなみに
- 「\( y=ax^2+bx+c \)」の形を一般形
- 「\( y=a(x-p)^2+q \)」の形を基本形
といいます。
「\( y=ax^2+bx+c \)」→「\( y=a(x-p)^2+q \)」の式変形のやり方は、この後解説します。
2次関数\( y=a(x-p)^2+q \) のグラフは、\( y=ax^2 \) のグラフを、\( x \) 軸方向に \( p \)、\( y \) 軸方向に \( q \) だけ平行移動したグラフになる。
- 頂点:\( (p, \ q) \)
- 軸: \( x=p \)

2.2 \( y=ax^2+bx+c \) のグラフの軸と頂点の公式
\( y=ax^2+bx+c \)のグラフは、\( y=ax^2 \) のグラフを平行移動した放物線で、
\[ \large{ 頂点:\left(-\frac{b}{2a}, \ \frac{-b^2+4ac}{4a} \right) } \]
\[ \large{ 軸:\ x=-\frac{b}{2a} } \]
となります。

2.3 \( y=ax^2+bx+c \) のグラフの軸・頂点の解説
\( y=ax^2+bx+c \) のグラフの軸と頂点の公式が成り立つ理由を説明します。
\( y=ax^2+bx+c \)を平方完成します。
\[ \begin{align}
y & = ax^2+bx+c \\
\\
& = a \left( x^2+\frac{b}{a}x \right) +c \ \ \ (←aでax^2+bxをくくる) \\
\\
& = a{ x^2 + 2 \cdot \frac{b}{2a}x + \left( \frac{b}{2a} \right)^2 – \left( \frac{b}{2a} \right)^2 } + c \ \ \ (←xの係数\frac{b}{a}の半分の平方 \left( \frac{b}{2a} \right)^2を加えて引く) \\
\\
& = a{ x^2 + 2 \cdot \frac{b}{2a}x + \left( \frac{b}{2a} \right)^2 } – a\left( \frac{b}{2a} \right)^2 + c \\
\\
& = a \left( x + \frac{b}{2a} \right)^2 – \frac{b^2}{4a} + c \\
\\
& = a \left( x + \frac{b}{2a} \right)^2 + \frac{-b^2+4ac}{4a}
\end{align} \]
よって、\( y=ax^2+bx+c \) のグラフは、\( y=ax^2 \)のグラフを
\[ x軸方向に-\frac{b}{2a},y軸方向に\frac{-b^2+4ac}{4a} \]
だけ平行移動したグラフとなります。
したがって、\( y=ax^2+bx+c \) のグラフは、
\[ \large{ 頂点:\left(-\frac{b}{2a}, \ \frac{-b^2+4ac}{4a} \right) } \]
軸は頂点の \( x \) 座標と同じなので、
\[ \large{ 軸:\ x=-\frac{b}{2a} } \]
となります。
次からは、具体的に問題をやっていきます。
3. 2次関数のグラフをかく問題
\( y=2x^2-8x+5 \) のグラフをかきなさい。
\( y=2x^2-8x+5 \)を平方完成して、頂点を求めます。
\[ \begin{align}
y & = 2x^2-8x+5 \\
\\
& = 2(x^2-4x)+5 \\
\\
& = 2(x^2-4x+4)-2 \cdot 4+5 \\
\\
& = 2(x-2)^2-3
\end{align} \]
よって、\( y=2x^2-8x+5 \) のグラフは、\( y=2x^2 \) のグラフを\( x \) 軸方向に2、\( y \) 軸方向に−3だけ平行移動したグラフになる。
したがって、\( y=2x^2-8x+5 \) のグラフは下の図のようになります。

4. 2次関数のグラフの平行移動の問題
次は平行移動の問題です。
放物線 \( y=-3x^2+6x-5 \) を\( x \) 軸方向に−3、\( y \) 軸方向に5だけ平行移動して得られる放物線の方程式を求めよ。
平行移動の問題の解き方は2パターンあるので、どちらも解説します。
4.1 2次関数の平行移動の解き方:パターン①
解法パターン①は、頂点を求めてから平行移動をして、式を求める方法です。
まずは平方完成をして、頂点を求めます。
\[ \begin{align}
y & = -3x^2+6x-5 \\
\\
& = -3(x^2-2x)-5 \\
\\
& = -3(x^2-2x+1)-(-3) \cdot 1-5 \\
\\
& = -3(x-1)^2-2
\end{align} \]
よって、\( y=-3x^2+6x-5 \) の頂点は\( (1, \ -2) \)
この頂点を\( x \) 軸方向に−3、\( y \) 軸方向に5だけ平行移動させると
\[ (1-3, \ -2+5) \]
すなわち \( (-2, \ 3) \)
が頂点となるから、求める放物線の式は
\[ \begin{align}
y & = -3\{x-(-2)\}^2+3 \\
\\
& = -3(x+2)^2+3 \\
\\
& = -3(x^2+4x+4)+3 \\
\\
& = -3x^2-12x-9
\end{align} \]
よって、求める放物線の方程式は
\[ y = -3x^2-12x-9 \]
4.2 2次関数の平行移動の解き方:パターン②
放物線 \( y=ax^2+bx+c \) を \( x \) 軸方向に \( p \)、\( y \) 軸方向に \( q \) だけ平行移動した放物線の方程式は
となります。
つまり、「\( x \)」を「\( x-p \)」に、「\( y \)」を「\( y-q \)」におき換えれば、平行移動後の式を得られます。
これでやってみましょう!
\( y=-3x^2+6x-5 \) の「\( x \)」を「\( x-(-3) \)」に、「\( y \)」を「\( y-5 \)」におき換えると、
\[ \begin{align}
y-5 & = -3{x-(-3)}^2 + 6{x-(-3)} -5 \\
\\
y & = -3(x+3)^2+6(x+3) \\
\\
y & =-3(x^2+6x+9)+6x+18 \\
\\
y & = -3x^2-18x-27+6x+18 \\
\\
y & = -3x^2-12x-9
\end{align} \]
よって、求める放物線の方程式は
\[ y = -3x^2-12x-9 \]
解法パターン①の答えとも一致しました。
5. 2次関数のグラフの書き方・平行移動まとめ
さいごに、2次関数のグラフの書き方と、平行移動の解き方のまとめをします。
- 2次関数の頂点と軸の求め方⋯「\( y=ax^2+bx+c \)」のグラフは「\( y=a(x-p)^2+q \)」の形に変形することで、軸と頂点がわかる。
- \( y=a(x-p)^2+q \) のグラフ⋯\( y=ax^2 \) のグラフを\( x \) 軸方向に \( p \)、\( y \) 軸方向に \( q \)だけ平行移動したグラフになる。
- 頂点:\( (p, \ q) \)
- 軸: \( x=p \)

- \( y=ax^2+bx+c \)のグラフ⋯\( y=ax^2 \) のグラフを平行移動した放物線である。
- \[ 頂点:\left(-\frac{b}{2a}, \ \frac{-b^2+4ac}{4a} \right) \]
- \[ 軸:x=-\frac{b}{2a} \]

- パターン①⋯頂点を求めてから移動させる(平方完成)
- 式を \( y=a(x-p)^2+q \) の形に直し、頂点の座標を求める。
- 平行移動させた後の頂点の座標を求める。
- ②で求めた頂点で計算をする。
- パターン②⋯「\( x \)」を「\( x-p \)」に、「\( y \)」を「\( y-q \)」におき換える
- 放物線 \( y=ax^2+bx+c \) を \( x \) 軸方向に \( p \)、\( y \) 軸方向に \( q \) だけ平行移動した放物線の方程式は、「\( x \)」を「\( x-p \)」に、「\( y \)」を「\( y-q \)」におき換えて計算すれば、平行移動後の式になる。
以上が2次関数のグラフの書き方と、平行移動のまとめです。
関数は入試では100%出題される、できなければいけない問題です。
2次関数の式変形や平行移動は、関数の基礎・基本となります。
すらすらできるようになるまで何度も練習をして、関数を得意単元にして下さい!
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