東大塾長の山田です。
このページでは、「たすきがけの因数分解のやり方」について解説します。
具体的に例題を使って、丁寧に解説しています。
また、「因数分解の問題が絶対に解けるようになる、因数分解の手順」と、「いつたすきがけを使えばいいか?」なども解説しています。
ぜひこの記事を最後まで読んで、たすきがけをマスターしてください!
1. たすきがけとは?
まず、因数分解のたすきがけとは何か?について解説します。
たすきがけとは、因数分解の解き方の1つです。
\[ acx^2+(ad+bc)x+bd \\= (ax+b)(cx+d) \]
復習として、因数分解の公式もまとめておきます。
2. たすきがけのやり方
それでは、例題を使って、たすきがけのやり方を解説していきます。
2.1 例題①【\( 3x^2+7x+2 \)】
\( 3x^2+7x+2 \)を因数分解せよ。
たすきがけでは、まず、\( x^2 \)の係数と、定数項に注目します。
次に
- 掛けて\( 3x^2\)になる2つの整数
- 掛けて\( +2 \)になる2つの整数
を考えます。
- \( 3x^2\)は、\( 3x \times x \)
- \( +2\)は、\( 1 \times 2 \)
ですね。
これらを、\( 3x^2+7x+2 \)の下に縦に書き、
これらの組み合わせを、斜めに掛け算をします。
次に、斜めに掛けたものを足してあげます。
足し算で出てきたものが、真ん中の項(\( x \)の1次の項)と同じになっていることを確かめます。
同じになっていれば、たすきがけ完了です。
たすきがけしたものに「( )」をつけてあげれば、因数分解の解になります。
このように、斜めに掛けてあげることから「たすきがけ」といいます。
(たすきは斜めに掛けるので。)
それでは、解答を整理しましょう。
下のたすきがけより、
\[ 3x^2+7x+2 = (3x+1)(x+2) \]
2.2 例題②【\( 3x^2-7x-6 \)】
\( 3x^2-7x-6 \)を因数分解せよ。
今回の問題も、例題①と同様です。
ただし、例題①と違う点は、「掛け算のペアが複数ある」という点です。
それでは考えていきます。
掛けて\( 3x^2,-6\)になるペアは
- \( 3x^2\)は、\( 3x \times x \)
- \( -6\)は、\( (1 \times -6), (-1 \times 6), (2 \times -3), (-2 \times 3) \)
です。
「ペアが複数ある場合はどうすればよいか?」というと、
「ひたすら試してみるのみ」です。
今回の問題でいえば、次の全8ペア考えられます。
試しに、「\( 3x \)と\( x \)」・「\( 1 \)と\( -6 \)」のペアでやってみましょう。
たすきがけの結果が、\( -7x \)になっていないので、この組み合わせではないということになります。
次は、「\( 3x \)と\( x \)」・「\( 2 \)と\( -3 \)」のペアでやってみましょう。
今度はうまくいったので、\( (3x+2)(x-3) \)が解になります。
それでは、解答を整理しましょう。
下のたすきがけより、
\[ 3x^2-7x-6 = (3x+2)(x-3) \]
たすきがけは、言ってしまえば「適当に当てはめてみて考える」という感じです。
適当と言っても、なるべく合うように、目星をつけて組み合わせを考えますけどね。
「なかなか組み合わせが見つからない」という場合でも、
何度も練習していると、検討がつくようになりますので、安心してください。
- \( x^2\)の係数と、定数項に注目。
- 掛けて①の係数になる整数のペアを探す。
- ②を斜めに掛け算をして、足す。
- ③が\( x\)の係数と一致していればOK。
3. 例題③【\( x^2+xy-6y^2+8x-y+15 \)】
それでは、もう少し難しい問題にいきます。
\( x^2+xy-6y^2+8x-y+15 \)を因数分解せよ。
3.1 因数分解の解き方の手順
例題③のように、文字が2つ以上ある式は、「次数の最も低い文字について整理する」のがセオリーです。
ここで、因数分解の解き方の手順をまとめておきます。
- 共通因数でくくる
- 最低次数文字で整理する
- 公式利用or たすきがけ
今回の例題③では、共通因数がないので、
「②最低次数文字で整理する」からスタートします。
3.2 例題③【\( x^2+xy-6y^2+8x-y+15 \)】の解き方
\( x^2+xy-6y^2+8x-y+15 \)を因数分解せよ。
今回の式では、\( x \)についても、\( y \)についても2次式です。
このような場合は、どちらの文字について整理しても構いません。
ここでは、\( x \)について整理します。
次に、\( -6y^2-y+15 \)をたすきがけで因数分解します。
最後に、全体をたすきがけします。
これで終了です。
解答を整理しておきます。
下のたすきがけより、
\[
\begin{align}
& \ x^{2}+xy-6y^{2}+8x-y+15 \\
= & \ x^{2}+(y+8)x + (-6y^2-y+15) \\
= & \ x^2+(y+8)x + (-2y+3)(3y+5) \\
= &\left\{x+(-2+3)\right\}\left\{x+(3y+5)\right\} \\
= &\ (x-2y+3)(x+3y+5)
\end{align}
\]
4. たすきがけの因数分解のやり方まとめ
- \( x^2\)の係数と、定数項に注目。
- 掛けて①の係数になる整数のペアを探す。
- ②を斜めに掛け算をして、足す。
- ③が\( x\)の係数と一致していればOK。
文字が2つ以上ある式の因数分解は、次の手順で解きます。
- 共通因数でくくる
- 最低次数文字で整理する
- 公式利用or たすきがけ
以上が、たすきがけの因数分解のやり方の解説です。
しっかりと理解できましたか?
たすきがけは、高校数学の因数分解の基本となります。
練習問題をどんどん解いて、慣れていきましょうね!
数学ⅡBの3次式の因数分解の公式
数学ⅡBででてくる因数分解の公式は「3乗の因数分解(展開)公式」の記事で解説しているので、こちらもぜひ勉強の参考にしてください!
\( \color{red}{ \begin{cases}
・ a^3 + b^3 = (a+b)(a^2 – ab + b^2) \\
\\
・ a^3 – b^3 = (a-b)(a^2 + ab + b^2)
\end{cases} } \)
\( \color{red}{ \begin{cases}
・ a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = (a+b)^3 \\
\\
・ a^3 – 3a^2b + 3ab^2 – b^3 = (a-b)^3
\end{cases} } \)
\( \color{red}{ \begin{align}
・ & a^3 + b^3 + c^3 – 3abc \\
= & (a+b+c)(a^2 + b^2 + c^2 – ab – bc – ca)
\end{align} } \)
\begin{align}
x^2+(a+b)x+ab \\
= (x+a)(x+b)
\end{align}
\]
\begin{align}
acx^2+(ad+bc)x+bd \\
= (ax+b)(cx+d)
\end{align}
\]