東大塾長の山田です。
このページでは、「高校物理の波動の公式」についてまとめてあります。
それぞれの公式について、詳しく解説した記事のリンクが貼ってあります。
詳しい解説記事を読んだ方がさらなる理解につながるので、ぜひそちらも参考にしてください!
波動公式まとめ
音の基本的知識
まずは以下のことを頭に入れておきましょう。
弦・気柱の振動公式まとめ
これらに関しては、実際に図を書いて丸暗記に終始しないように注意しましょう。
弦には、両端が節である定常波ができて、弦の固有振動数と同じ振動数の音を発生させる。このとき弦を伝わる横波の速さ\(v\)は、張力を\(S\)、線密度を\(ρ\)として、
\( \displaystyle v = \sqrt{\frac{S}{ρ}} \)
とできる。
また、長さ \( l \) の弦が \( n \) 倍振動しているとき、
\( \displaystyle \lambda_n = \frac{2l}{n}, \ \ f_n = \frac{nv}{2l} = \frac{n}{2l}\sqrt{\frac{S}{ρ}} \)
と表記することができる。
気柱内での振動は、閉じた口が節、開いた口(開口端)が腹となる。
①閉管の固有振動
\( \displaystyle \lambda_m = \frac{4l}{m}, \ \ f_m = \frac{mV}{4l} \)
ただし \( m \) は奇数。
②開管の固有振動
\( \displaystyle \lambda_n = \frac{2l}{n}, \ \ f_n = \frac{nV}{2l} \)
ただし \( n \) は自然数。
波の式の公式(作り方)
① まず、原点(\( x = 0 \))における、媒質の単振動の式 \( y_0 (t) \) を作る。
② 次に、\( \displaystyle y(x, t) = y \left( 0, t ± \frac{x}{v} \right) \) を用いておわり。
なぜそうなるかというと、
波の進行方向が \( ± x \) 方向のとき
「位置 \( x \) における時刻 \( t \) の変位は、位置 \( x=0 \) における時刻 \( \displaystyle t ∓ \frac{x}{v} \) の変位である」
が成り立つ。
これを式で表すと
\( \displaystyle y_P (t) = y_o \left( t ∓ \frac{x}{v} \right)(複合同順) \)
となるからである。
波の干渉の公式
波動分野の様々なところで出てくる考え方です。必ず頭に入れておきましょう。
波が重なると、干渉して強め合ったり弱めあったりします。
このとき、同位相の波源 \( S_1, \ S_2 \) による点 \( P \) における干渉条件は以下のようになる。
\( \displaystyle \left|S_{1} P-S_{2} P \right| = \lambda \times \left\{ \begin{array}{c}{m} \cdots 強め合う \\ {m + \frac{1}{2}} \cdots 弱め合う\end{array} \right. \)
(\( \displaystyle m=0,1,2, \ldots \))
逆位相の場合は、強め合いと弱めあいの条件が逆になる。
音速の公式
細かい数値を覚えておく必要はないですが、何となくの数値は覚えておくと便利です。
気温 \( t \left[ ℃ \right] \) のとき、音速 \( V \) は以下のように表記できる。
\( \displaystyle V = 331.5 + 0.6t \)
これより、気温が上がるほど音速が大きくなることが分かる。
ドップラー効果の公式
音源が動く場合のドップラー効果
\( \displaystyle \lambda^{*} = \frac{c-v_s}{f} = \frac{音源に対する音の速さ}{f} \)
観測者が動く場合のドップラー効果
\( \displaystyle f^{*} = \frac{c-v_o }{\lambda} = \frac{観測者に対する音の速さ}{\lambda} \)
どちらも動く場合のドップラー効果
\( \begin{align}
\displaystyle f^{*} & = \frac{c-v_o }{\lambda^{*}} = \frac{c-v_o }{c-v_s} f \\
& = \frac{観測者に対する音の速さ}{音源に対する音の速さ} f
\end{align} \)
風が吹いている場合
⇒ \( c → c+w \) としてドップラー効果の式を適用させればよい。
斜め方向の場合
⇒運動線に関する方向のみでドップラー効果を考えればよい。
ホイヘンスの原理
音や光のような波は、波面上(同位相面)上の各点が点波源となって、そこから出る球面波(素元波)が無数に発生し、それらに共通する面(包絡面)が次の瞬間の波面を形成する。
これにより、波の回折・屈折が説明できる!
反射・屈折の法則
反射の法則:\( i = j \)
屈折の法則:\( \displaystyle \frac{\sin i}{\sin n} = \frac{v_{1}}{v_{2}} = \frac{\lambda_{1}}{\lambda_{2}} = \frac{n_{2}}{n_{1}} \)
また、光の場合、屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ光が入射するとき、すべての光が反射される現象が起こる(全反射)。
このとき
\( \displaystyle \sin \theta_0 = \frac{n_2}{n_1} \)
が成立する。
ただし、\( \theta_0 \) は臨界角で、\( n_1 > n_2 \) が成立。
・反射による位相変化
屈折率 大⇒小:位相変化なし(自由端反射)
屈折率 小⇒大:位相は\(\pi\)変化する(固定端反射)
レンズの公式
光軸上の \( x = – a (a>0) \) から出た光のレンズによる像の位置を \( x=b \) とすると
\( \displaystyle \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} \)
が成り立つ。
ただし、
\( \begin{cases}
\displaystyle b>0:実像 \\
\displaystyle b<0:虚像
\end{cases} \)
であり、\( f \) は
\( \displaystyle \left| f \right| = 焦点距離 \)
であり、
\( \begin{cases}
\displaystyle 凸レンズ: f = \left| f \right| > 0 \\
\displaystyle 凹レンズ: f = -\left| f \right| < 0
\end{cases} \)
である。
また、このときのレンズの倍率 \( m \) は
\( \displaystyle m = \left| \frac{b}{a} \right| \)
と表記できる。
ヤングの実験
以下、\( m \) は整数とする。
\( \begin{align}
\displaystyle & [光の経路差(光路差)] \\
\\
& = \left| (S_0 S_2+S_{2} P) – (S_0 S_1+ S_{1} P) \right| \\
\\
& = \left| S_{2} P-S_{1} P \right| \\
\\
& = d \frac{\left|x \right|}{L} \\
\\
& = \lambda \times \left\{ \begin{array}{c}{m} \cdots 明線 \\ {m+\frac{1}{2} \cdots 暗線}\end{array}\right.
\end{align} \)
これを解くと、
\( \displaystyle x = \frac{Lm\lambda}{d} \)
明線同士の間隔は
\( \displaystyle \Delta x = x_{m+1} – x_m = \frac{L\lambda}{d} \)
また、この結果より明線の様子は下図のようになる。
回折格子の公式
回折格子の明線条件:\( \displaystyle d \sin \theta = m \lambda \ (m=0,1,2,\ldots) \)
回折格子においては線スペクトル(明線)が等間隔で並ぶ!
単スリットの暗線条件:\( a \sin \theta = n \lambda \)
以上です!
波動分野の公式は、紛らわしい形をしているものが多いので、実際に図を書くなどして、いつでも導出できるようにしておきましょう。
・音の高さは振動数の大きさで決まる。
・音の大きさは振幅の大きさで決まる。