内部エネルギーの公式と求め方

東大塾長の山田です。
このページでは、内部エネルギーの説明とその導出」を超わかりやすく詳しく解説しています

ぜひ勉強の参考にしてください!

1. 内部エネルギーについて

1.1 内部エネルギーとは

内部エネルギーとは、

「原子分子の並進運動や回転・振動のエネルギー、分子間力による位置エネルギーの和」

のことをいいます。

内部エネルギーは、運動エネルギー・位置エネルギーのように容易に観測・測定なエネルギー(マクロなエネルギー)とは違い知覚することが難しい、原子・分子の世界からしか捉えることができないエネルギー(ミクロなエネルギー)です。

内部エネルギーは、分子の運動によって決まるエネルギーで、外部の様子は式には関わってきません。

 

1.2 単原子分子理想気体の内部エネルギー

ここでは、原子分子理想気体の内部エネルギーの前提条件の解説を行います。

まず理想気体なので、分子自体の大きさは無視することができ、分子間力は無視できます。分子間力による位置エネルギーは、ここでは無視です。

さらに、単原子分子気体の場合、気体分子運動論の記事でも解説したように、並進・回転運動は無視できるので、この場合並進運動のみを考慮することになります。

結局、単原子分子理想気体の内部エネルギーを議論する際は、並進運動によるエネルギーを考慮することになります。

 

1.3 気体分子運動論を用いた導出

それでは、導出を行いましょう

気体分子運動論の帰結より、絶対温度 \( T \) [K]の単原子分子の理想気体一個当たりが持つ、並進運動エネルギー \( u \) [J]は、ボルツマン定数 \( \displaystyle k = \frac{R}{N_A} \) を用いて以下のように表記することができます。

\( \displaystyle u = \frac{1}{2} m \bar{v}^2 = \frac{3}{2}kT \)

したがって、\( n \) [mol]の気体分子における内部エネルギー \( U \) は、気体分子の個数が、\( n N_A \) 個であることを考慮すると、次のように計算することができます。

\( \begin{align}
\displaystyle U & = \sum_{i=1}^{nN_A} u \\
\\
& = n N_A \times \frac{3}{2} kT \\
\\
& = n N_A \times \frac{3}{2} \cdot \frac{R}{N_A}T \\
\\
& = \frac{3}{2} nRT
\end{align} \)

内部エネルギー

\( \displaystyle U = \frac{3}{2} nRT \)

これは必ず頭に入れておきましょう!

単原子分子理想気体の内部エネルギーは、分子数と絶対温度に比例し、気体の体積には依りません

また、絶対温度が反応の前後で \( \Delta T \) [K]だけ上昇したとき、内部エネルギーが \( \Delta U \) [J]上昇したとすると

\( \begin{align}
\displaystyle \Delta U &=\frac{3}{2} n R(T+\Delta T)-\frac{3}{2} n R T \\
\\
& = \frac{3}{2} n R \Delta T
\end{align} \)

とすることができます!

補足

\( \displaystyle U= \frac{3}{2} nRT \) は単原子分子理想気体の場合のみに成り立つ公式です。

例えば、二原子分子理想気体の場合は、並進運動の他に回転・振動運動を考慮する必要があり、同じように表記することができません。(ただし高温でないときは、振動運動は無視できる)二原子分子の場合は以下のように表記できます。

\( \displaystyle U = \frac{5}{2} nRT \)

これを用いる際は、必ず問題文で与えらえるので特に覚える必要はありません。

 

2.まとめ

以上です。最後に今回学んだことをまとめておくので、復習に役立ててください!

まとめ

単原子分子理想気体の内部エネルギー:\( \displaystyle U = \frac{3}{2} nRT \)

分子数と温度に比例することが分かる!

(cf.二原子分子の場合:\( \displaystyle U = \frac{5}{2} nRT \))

 

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