コロイド溶液とは(粒子・浸透圧)

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東大塾長の山田です。

このページではコロイドについて解説しています。

コロイドはほとんど知識問題で覚えているかが問われます。ここではコロイドについて覚えておくべきことをすべて説明しています。是非参考にしてください。

1. コロイド溶液

1.1 コロイド粒子

次の条件を満たす粒子のことをコロイド粒子といいます。

コロイド粒子

直径が\(10^{-9}m\)~\(10^{-7}m\)程度である。

正または負の電荷をもつ。

ただし、粒子が球状とは限りません。

 

1.2 コロイド

コロイド粒子が分散した状態ののことをコロイドといいます。

また、コロイド粒子として分散している物質を分散質コロイド粒子を分散させている物質を分散媒といいます。

分散質と分散媒には次のような組み合わせがあります。

例えば、牛乳は脂肪やタンパク質を分散質、水を分散媒とするコロイドです。

 

1.3 コロイド溶液

デンプンやせっけんやタンパク質などのコロイド粒子が溶液中に均一に分散した溶液のことをコロイド溶液といいます。また、食塩や水酸化ナトリウムなどの分子やイオンが液体中に均一に分散したものを真の溶液といいます。

溶液中の粒子の大きさによって、真の溶液<コロイド溶液<乳濁液(懸濁液)<濁り水と呼び名が変わります。

光が散乱しないくらいの大きさの粒子が溶けている溶液が真の溶液で、それより少し大きな粒子が散乱している溶液をコロイド溶液といいます。

 

コロイド溶液のことをゾルともいいます。流動性のあるコロイドのことをゾルといいます。

ゾルは、冷やされるなどとすると固まってゲルとなります。ゼリーのように流動性をなくしたコロイドのことをゲルというのです。(乾燥させたゲルは、キセロゲルといいます。)

気体を分散媒とするコロイドのことを、広い意味でのゾルに含めてエアロゾルということもあります。

 

2. コロイドの分類

コロイドは構造や性質によっていくつかの種類に分類することができます。

以下ではその分類について紹介していきます。

2.1 構造による分類

とても大きな分子がそれ1つでコロイド粒子として存在するものを分子コロイド小さな分子が多数組み合わさることによって形成されるものを会合コロイド水に溶けない固体がコロイド粒子になるものを分散コロイドといいます。

会合コロイドの例としてセッケンがありますが、セッケンを水に溶かすと、ある濃度以上でセッケンは親水基を外側、疎水基を内側にしてミセルと呼ばれるものを作ります。

  構造
分子コロイド 1つの巨大分子がコロイドとして存在

高分子(デンプン・タンパク質など)

会合コロイド 小さな分子が多数組み合わさって形成 セッケン・\(FeCl_3\)
分散コロイド

水に溶けない固体がコロイドとして存在

(分散法で作られたもの)

無機物(水酸化鉄・硫黄など)

 

2.2 性質による分類

次に性質による分類の仕方を説明します。

 

2.2.1 親水コロイドと疎水コロイド

タンパク質やデンプンのようなコロイド粒子は、水に対する親和性が強いです。このようなコロイド粒子のことを親水コロイドといいます。

親水コロイドは、その分子内に多くの親水基をもち水中でたくさんの水分子と水和しています。水和した水分子が、コロイド粒子同士の接触を妨げています。また、これらのコロイド粒子はそれぞれが同符号の電荷を帯びているので、お互いに反発し合い水溶液中で分散しています。

 

水酸化鉄や粘土のようなコロイド粒子は、水に対する親和性が弱いです。このようなコロイド粒子のことを疎水コロイドといいます。これらのコロイド粒子はそれぞれが同符号の電荷を帯びているので、お互いに反発し合い水溶液中で分散しています。

  親和性
親水コロイド 強い 有機物(デンプン・タンパク質など)
疎水コロイド 弱い 無機物(水酸化鉄・硫黄など)

 

2.2.2 保護コロイド

疎水コロイドの溶液にある一定以上の親水コロイドを加えると、少量の電解質を加えても凝析しなくなります。(凝析については3で説明します。)これは、疎水コロイドの表面に親水コロイドが付着することにより、コロイド粒子の集合を妨げるからです。このような用途で用いられる親水コロイドのことを保護コロイドといいます。例としてゼラチンや墨汁におけるにわかなどがあります。

 

3. コロイドに関する現象

3.1 透析

沸騰した水に塩化鉄\(\rm {FeCl_3}\)を加えると、次のような反応が起こり水酸化鉄(lll)\(\rm {Fe(OH)_3}\)のコロイド溶液が生成します。

\[FeCl_3+3H_2O→Fe(OH)_3+3HCl\]

このようにして得られたコロイド溶液は赤褐色で透明です。

上記のように得られた水酸化鉄(lll)のコロイド溶液には、\(\rm {Fe(OH_3)}\)以外の生成物\(\rm {HCl}\)が電離した\(\rm {H^+}\)や\(\rm {Cl^-}\)が含まれています。このような不純物を取り除き、コロイド溶液を分離・精製する操作のことを透析といいます。

透析は、分子やイオンなどの細かい物質は通すものの、コロイド粒子のように大きな粒子は通すことができない半透膜(セロハンなど)を利用した操作です。

透析の仕組みは下のようになっています。

まず、不純物を含むコロイド溶液を半透膜でできた袋に入れ、純水に浸します。

すると、不純物であるイオンは半透膜を通り袋から出ていきます。よって、純粋なコロイド粒子だけが袋の中に残ります。このようにして、不純物とコロイドを分離するのです。

透析は、人工腎臓(血液の人工透析)などの医療分野での利用をはじめとして、幅広い分野で活用されています。

 

3.2 塩析・凝析

親水コロイドを含む水溶液に多量の電解質を加えていくと、やがて沈殿が生成します。このような現象のことを塩析といいます。

親水コロイドは、水中で多くの水分子に支えられて安定化しています。(水和しています)

ここに、多量の電解質を加えると、電離して生じた陽イオンや陰イオンにコロイドの安定化に貢献していた水を奪われ、コロイド粒子が電気的な反発力を失い、親水コロイドは不安定となり沈殿します。この現象を塩析というのです。

この方法はセッケンや豆腐を作るのに利用されています。

 

また、疎水コロイドを含む水溶液に少量の電解質を加えただけで沈殿が生成します。このような現象のことを凝析といいます。

疎水コロイドは水との親和性が小さいコロイドであるので、水による安定化を受けず、コロイド同士で反発し分散しています。

この状態で少量の電解質を加えると、電解質が電離して生じた陽イオン(陰イオン)が疎水コロイドの表面の電荷に引き付けられ表面の電荷が打ち消されます。

表面の電荷を打ち消された疎水コロイドは、電気的な反発力を失い分散せずに固まって沈殿してしまいます。このような現象を凝析というのです。凝析には、コロイド粒子の持つ電荷と反対符号でより価数の大きいイオンほど有効です。

この方法は、河川水の浄化などに利用されています。

 

3.3 チンダル現象

コロイド溶液に横から強い光を当てると、光の通路が明るく光って見えます。この現象のことをチンダル現象といいます。この現象は、コロイド粒子が普通の分子やイオンより大きいため、光を強く散乱するために起こります。

真の溶液(スクロース水溶液、塩化ナトリウム水溶液など)では、溶質粒子は小さい粒子であるので光を散乱せず、チンダル現象は起こりません。

 

3.4 ブラウン運動

コロイド粒子は、動く方向が絶えず変化するなど、不規則な運動をしています。この運動のことをブラウン運動といいます。

激しく熱運動する多くの溶媒分子が、様々な方向から不規則にゆっくり熱運動するコロイド粒子に衝突するために起こる運動です。

コロイド粒子の動きは、普通の光学顕微鏡では観測できません。そこで、ブラウン運動は限外顕微鏡を用いて観察します。

 

3.5 電気泳動

コロイド粒子は正か負のどちらかに帯電しています。

例えば、水酸化アルミニウムや水酸化鉄(lll)などの金属の水酸化物のコロイド粒子は、正に帯電し、銀や硫黄、デンプン、粘土などは負に帯電しています。

これらの溶液に電極を差し込み、電極間に直流電圧をかけると、コロイド粒子は帯電している反対側の電極へ向かって移動します。このような現象のことを電気泳動といいます。

電気泳動は、生化学の分野でも、アミノ酸やタンパク質、DNAの分離・定性分析などに広く利用されています。

 

4. まとめ

最後にコロイドについてまとめておこうと思います。

  • ①直径が\(10^{-9}m\)~\(10^{-7}m\)程度である。②正または負の電荷をもつ。このような2つの条件を満たす粒子をコロイド粒子という。

  • コロイド粒子が分散した状態ののことをコロイドという。また、コロイド粒子として分散している物質を分散質、コロイド粒子を分散させている物質を分散媒という。

  • デンプンやせっけんやタンパク質などのコロイド粒子が溶液中に均一に分散した溶液のことをコロイド溶液という。
  • 流動性のあるコロイドのことをゾルという。ゼリーのように流動性をなくしたコロイドのことをゲルという。乾燥させたゲルは、キセロゲルという。
  • とても大きな分子がそれ1つでコロイド粒子として存在するものを分子コロイド、小さな分子が多数組み合わさることによって形成されるものを会合コロイド、水に溶けない固体がコロイド粒子になるものを分散コロイドという。
  • タンパク質やデンプンのようなコロイド粒子は、水に対する親和性が強い。このようなコロイド粒子のことを親水コロイドという。
  • 水酸化鉄や粘土のようなコロイド粒子は、水に対する親和性が弱い。このようなコロイド粒子のことを疎水コロイドという。
  • 疎水コロイドの溶液にある一定以上の親水コロイドを加えると、少量の電解質を加えても凝析しなくなる。これは、疎水コロイドの表面に親水コロイドが付着することにより、コロイド粒子の集合を妨げるからである。このような用途で用いられる親水コロイドのことを保護コロイドという。
  • 不純物を取り除き、コロイド溶液を分離・精製する操作のことを透析という。
  • 親水コロイドを含む水溶液に多量の電解質を加えていくと、やがて沈殿が生成する。このような現象のことを塩析という。また、疎水コロイドを含む水溶液に少量の電解質を加えただけで沈殿が生成する。このような現象のことを凝析という。
  • コロイド溶液に横から強い光を当てると、光の通路が明るく光って見える。この現象のことをチンダル現象という。
  • コロイド粒子は、動く方向が絶えず変化するなど、不規則な運動をしている。この運動のことをブラウン運動という。
  • コロイド粒子の溶液に電極を差し込み、電極間に直流電圧をかけると、コロイド粒子は帯電している反対側の電極へ向かって移動する。このような現象のことを電気泳動という。

 

この分野は暗記するものが多く、しっかり覚えていれば確実に点数が稼げるところです。

コロイドの問題を落とすのはすごくもったいないのでしっかり覚えて入試で得点源とできるように頑張ってください!

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