【数学Ⅲ】積分計算の型網羅part6(指数対数関数)

東大塾長の山田です。

このページでは、指数対数関数の積分について詳しく説明しています!

基本的な公式方針を組み合わせることで、ほとんどの積分問題に対応できるということを、豊富な計算例とともに紹介しています。

ぜひ勉強の参考にしてください!

1. 指数関数の積分について

まずは指数関数について扱っていきましょう。

1.1 公式

まずは暗記必須の積分公式です。といっても言っていることは微分の逆なので覚えるのは簡単だと思います。

指数関数積分公式

\(\displaystyle\int e^x dx =e^x +C\)

\(\displaystyle\int a^x dx=\frac{a^x}{\log a}+C\)

1.2 証明

証明は非常に簡単です。参考のため、そもそもの微分公式の導出も一緒に乗っけていきます。

まずは\(e^x\)の積分公式です。

【証明】 \(\displaystyle\int e^x dx =e^x +C\)について

\(\displaystyle\frac{d}{dx}e^x =e^x\)なので、上式が成立します。

 

【参考】\(\displaystyle\frac{d}{dx}e^x =e^x\)について

\[\displaystyle\lim_{x\to 0}\displaystyle\frac{e^h-1}{h}=1\]

を用いていきます。

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このとき

\(\begin{aligned}(e^x)’&=\displaystyle\lim_{h\to 0}\displaystyle\frac{e^{x+h}-e^x}{h}\\&=e^x\cdot\displaystyle\lim_{h\to 0}\displaystyle\frac{e^h-e}{h}\\&=e^x\cdot 1\\&=e^x\\\end{aligned}\)

次に、\(a^x\)の積分公式です。

【証明】 \(\displaystyle\int a^x dx=\frac{a^x}{\log a}+C\)について

\(\displaystyle\frac{d}{dx}a^x=a^x\log a\)だから、\(\displaystyle\frac{d}{dx}\left(\frac{a^x}{\log a}\right)=a^x\)です。よって上式が成立します。

 

【参考】 \(\displaystyle\frac{d}{dx}a^x=a^x\log a\)について

1.普通に微分

\(a^x\)の導関数について考えていきます。

\(\begin{aligned}(a^x)’&=\displaystyle\lim_{h\to 0}\displaystyle\frac{a^{x+h}-a^x}{h}\\&=a^x\displaystyle\lim_{h\to 0}\displaystyle\frac{a^h-1}{h}\\\end{aligned}\)

ここで、\(a^h=e^{\log a^h}\)であるから、上式は

\(a^{x} \displaystyle\lim _{h \rightarrow 0} \frac{e^{\log a^{h}-1}-1}{\log a^{h}} \cdot \frac{\log a^{h}}{h}=a^{x} \displaystyle\lim _{h \rightarrow 0} \frac{e^{\log a^{h}-1}-1}{\log a^{h}} \cdot \log a\)

と変形することができます。さらに

\(\displaystyle\lim_{x\to 0}\displaystyle\frac{e^h-1}{h}=1\)

を用いると、上式は

\(a^x\cdot 1\cdot \log a\)

となりました。

2. 対数微分法

① \(y=a^x\)の対数を取る

\(\log y=x\log a\)

②両辺を微分する

\(\displaystyle\frac{y’}{y}=\log a\)

③整理して代入する

\(y’=y\log a=a^x \log a\)

2. 対数関数の積分について

次に対数関数の積分についてです。

2.1 公式

把握しておく公式は以下の一つですが、これは導出に意味を持つものなので、いつでも導出できるようにしておく必要があります。

対数関数積分公式

\(\displaystyle\int \log x dx =x\log x-x+C\)

2.2 証明

上の公式を証明しましょう。今回は2通りのやり方で証明していきます。一つは馴染み深いであろう「部分積分法」を用いた方法、二つ目は「置換積分⇒部分積分」の方法です。どちらも頭に入れておくと良いでしょう。

証明1

部分積分を用いていきます。

 

【証明】 \(\displaystyle\int \log x dx =x\log x-x+C\)について

非積分関数を\((x)’\log x\)と書きなおして、部分積分を実行しましょう。

\(\begin{aligned}\displaystyle\int \log x&=\displaystyle\int (x)’\log x\\&=x\log x-\displaystyle\int x(\log x)’ dx\\&=x\log x-\displaystyle\int 1 dx\\&=x\log x-x+C\end{aligned}\)

これはほとんどの人が知っていると思います。次は置換積分を用いていきましょう。

証明2

【証明】 \(\displaystyle\int \log x dx =x\log x-x+C\)について

\(t=\log x\)と置換すると、\(\displaystyle\frac{dt}{dx}=\frac{1}{x}=\frac{1}{e^t}\)だから、

\(\begin{aligned}\displaystyle\int\log x dx&=\int t e^t dt\\&=te^t-e^t+C\end{aligned}\)

これに、\(t=\log x\)を代入すると

\(x\log x-x+C\)

となります。

3.問題の解き方

基本的な公式と方針を組み合わせるとほとんどの積分計算が行えます。ここではその方針について扱います。

3.1 指数関数

基本的には以下の二つに気を付けていれば十分です!

方針

(計算慣れしていない人)⇒\(e^x=t\)と置換すれば\(t\)のみの積分に帰着する

(計算慣れしている人)⇒微分の形\(\displaystyle\int\{f(x)\}f'(x)dx=\frac{\{f(x)\}^{\alpha +1}}{\alpha +1}+C\)を応用すれば置換せずとも計算可能

どちらも本質的には同じことを言っています。実際の計算例で確認してみましょう。

【例】\(I=\displaystyle\int \frac{e^x}{(e^x+1)^2} dx\)を計算してみよう。

1:置換する

まずは\(e^x=t\)と置換してみましょう。このとき、\(e^x dx =dt\)だから

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \frac{e^x}{(e^x+1)^2} dx\\&=\int \frac{t}{(t+1)^2}\cdot\frac{1}{t} dt\\&=\int \frac{1}{(t+1)^2} dt\\&=-\frac{1}{t+1}+C\\&=\frac{1}{e^x+1}+C\end{aligned}\)

 

2:微分の形を応用

次に微分の形を応用してみます。\(\displaystyle\int\{f(x)\}f'(x)dx=\frac{\{f(x)\}^{\alpha +1}}{\alpha +1}+C\)が使えるように式変形を行います。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\frac{e^x}{(e^x+1)^2} dx\\&=\int\frac{(e^x+1)’}{(e^x+1)^2}dx\\&=-\frac{1}{e^x+1}+C\end{aligned}\)

計算慣れしている人は下の方法でやった方が断然早く計算できます。下の演習問題では計算の訓練のためにも、微分の形を応用して計算行っていきます。

3.2 対数関数

対数の場合、することはいたって明確です。

方針

基本的に用いるのは部分積分と\(\displaystyle\int \log x dx =x\log x-x+C\)

これらが使えるように、対数の性質を用いて、被積分関数をなるべく簡単な形にする。

なるべく簡単な形にするというのがミソです。以下の計算例でそのメリットを確認しましょう。

【例】\(I=\displaystyle\int\log \sqrt{x} dx\)

簡単な形にした場合

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\log \sqrt{x} dx\\&=\frac{1}{2}\int \log x dx\\&=\frac{1}{2}x\log x-\frac{1}{2}x+C\end{aligned}\)

簡単な形にしなかった場合

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\log \sqrt{x} dx\\&=\int (x)’\log \sqrt{x} dx\\&=x\log\sqrt{x}-\int x\cdot\frac{1}{\sqrt{x}}\cdot\frac{1}{2\sqrt{x}}dx\\&=x\log\sqrt{x}-\int \frac{1}{2} dx\\&=x\log\sqrt{x}-\frac{1}{2}x+C\end{aligned}\)

どちらも同じ答えは得られますが、最初に式変形を加えた方が計算が楽になることが分かったと思います。

4. 問題演習

ここまでの知識は身についたでしょうか?それを確認するために、何問か問題を解いてみましょう!

3.1 例題

問題

【問】以下の積分を求めよ。

(1) \(I=\displaystyle\int\frac{e^x(e^x+1)}{e^x+3} dx\)

(2) \(I=\displaystyle\int\frac{e^{2x}}{1-e^x} dx\)

(3) \(I=\displaystyle\int\log(x+2) dx\)

(4) \(I=\displaystyle\int\log(x^2-1) dx\)

3.2 解答

先ほど学んだ方針を基に計算してみましょう。

それでは解答です!

【解答】

(1) \(I=\displaystyle\int\frac{e^x(e^x+1)}{e^x+3} dx\)

微分の形が応用できるように式変形を行います。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\frac{e^x(e^x+1)}{e^x+3} dx\\&=\int\frac{e^x\{(e^x+3)-2\}}{e^x+3} dx\\&=\int \left(e^x-\frac{2e^x}{e^x+3}\right)dx\\&=\int\{e^x-2\cdot\frac{(e^x+3)’}{e^x+3}\}dx\\&=e^x-2\log(e^x+3)+C\end{aligned}\)

 

(2) \(I=\displaystyle\int\frac{e^{2x}}{1-e^x} dx\)

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\frac{e^{2x}}{1-e^x} dx\\&=\int \frac{-e^x(1-e^x)+e^x}{1-e^x} dx\\&=\int \left(-e^x-\frac{-e^x}{1-e^x}\right)dx\\&=\int\{-e^x-\frac{(1-e^x)’}{1-e^x}\}dx\\&=-e^x-\log|1-e^x|+C\end{aligned}\)

 

(3) \(I=\displaystyle\int\log(x+2) dx\)

\(\log\)の中身が\(x+2\)なので、\((x+2)’=1\)を利用しましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\log(x+2) dx\\&=\int (x+2)’\log(x+2) dx\\&=(x+2)\log (x+2) -\int (x+2)\cdot\frac{1}{x+2} dx\\&=(x+2)\log (x+2)-x+C\end{aligned}\)

 

【比較】仮にいつも通り\((x)’=1\)を用いたらどうなるでしょうか。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\log(x+2) dx\\&=\int (x)’\log(x+2)  dx\\&=x\log(x+2) -\int \frac{x}{x+2} dx\\&=x\log(x+2) -\int \frac{x+2-2}{x+2} dx\\&=x\log(x+2) -\int\left(1-\frac{2}{x+2}\right) dx\\&=x\log(x+2) -x+2\log(x+2)+C \\&=(x+2)\log(x+2) -x+C\end{aligned}\)

先ほどと比べて計算が冗長になってしまいましたね。このように部分積分も工夫する必要があります。

 

(4) \(I=\displaystyle\int\log(x^2-1) dx\)

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\log(x^2-1) dx\\&=\int (x)’\log(x^2-1) dx\\&=x\log(x^2-1)-\int x\cdot\frac{2x}{x^2-1} dx\\&=x\log(x^2-1)-\int\left(2-\frac{1}{x+1}+\frac{1}{x-1}\right) dx\\&=x\log(x^2-1)-2x+\log|x+1|-\log|x-1|+C\\&=x\log(x^2-1)-2x+\log\left|\frac{x+1}{x-1}\right|+C\end{aligned}\)

方針さえ頭に入れておけば、基本的にどんな問題にも対処できます!

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