【数学Ⅲ】積分計算の型網羅part5(三角関数)

東大塾長の山田です。

このページでは、三角関数の積分について詳しく説明しています!

基本公式と基本方針を基にして、様々な例題や、発展的な公式について詳しく説明しています。この記事を読むことで、三角関数の積分に関する知識を流れを意識しながら身に着けていくことができます。

ぜひ勉強の参考にしてください!

1. 基本公式

まずは、基本的な三角関数の公式を紹介していきます!

三角関数基本公式

\(\int\displaystyle \sin x dx =-\cos x +C\)

\(\displaystyle\int \cos x dx =\sin x +C\)

\(\displaystyle\int \tan x dx =-\log |\cos x| +C\)

\(\displaystyle\int\frac{1}{\cos^2 x} dx=\tan x+C\)

\(\displaystyle\int\frac{1}{\sin^2 x} dx=-\frac{1}{\tan x}+C\)

三角関数の積分は式変形を行い最終的にこれらの公式が使える形にすることを目的とします。

証明は積分が微分の逆であることを考えると、微分公式について理解すれは良いことが分かります。微分公式については以下の記事で証明付きでまとめられているので、ぜひ参照してみてください。

高校数学の微分公式一覧(例題と証明付き)

2019年7月1日

2. 基本方針とその例題

公式について理解できたところで、次はどのように公式が使える形に持っていくかについて考えてみましょう。基本的には以下の道具を用いてあげれば、うまく変形することができます。

基本方針

① 三角関数の相互関係を利用する

② 倍角公式・和積公式を利用する

③ 三角関数の微分が利用できる形にする

一つ一つチェックしていきましょう。

2.1 三角関数の相互関係を利用する

三角関数の相互関係とは言いましたが、中身はよく見たことのある下の公式です。

三角関数の相互関係

\(\sin^2 x+\cos^2 x=1\)

\(\tan x=\displaystyle\frac{\sin x}{\cos x}\)

\(1+\tan^2 x=\displaystyle\frac{1}{\cos^2 x}\)

\(1+\displaystyle\frac{1}{\tan^2 x}=\frac{1}{\sin^2 x}\)

\(\displaystyle\int\frac{1}{\tan x} dx=\log|\sin x|+C\)

これがどのように応用できるのか、以下の例題で確認してみましょう!

例題

【問】以下の積分計算を行え。

(1) \(I=\displaystyle\int\frac{2}{1-\sin^2 x} dx\)

(2) \(I=\displaystyle\int (\tan x-1)\cos x dx\)

(3) \(I=\displaystyle\int \tan^2 x dx\)

(4) \(I=\displaystyle\int \frac{1}{\tan^2 x}dx\)

基本公式の形になるように意識しましょう!

それでは解答です。

【解答】

(1) \(I=\displaystyle\int\frac{2}{1-\sin^2 x} dx\)

\(\sin^2 x+\cos^2 x=1\)を用いましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\frac{2}{1-\sin^2 x} dx\\&=\int \frac{1}{\cos^2 x} dx \\&=\tan x+C\end{aligned}\)

 

(2) \(I=\displaystyle\int (\tan x-1)\cos x dx\)

\(\tan x=\displaystyle\frac{\sin x}{\cos x}\)を用いましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int (\tan x-1)\cos x dx\\&=\int \left(\frac{\sin x}{\cos x}+1\right)\cos x dx\\&=\int (\sin x+\cos x)dx\\&=-\cos x+\sin x+C\end{aligned}\)

 

(3) \(I=\displaystyle\int \tan^2 x dx\)

\(1+\tan^2 x=\displaystyle\frac{1}{\cos^2 x}\)を用いましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \tan^2 x dx\\&=\int\left( \frac{1}{\cos^2 x}-1\right)dx\\&=\tan x-x+C\end{aligned}\)

 

(4) \(I=\displaystyle\int \frac{1}{\tan^2 x}dx\)

\(1+\displaystyle\frac{1}{\tan^2 x}=\frac{1}{\sin^2 x}\)を用いましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \frac{1}{\tan^2 x}dx\\&=\int \left(\frac{1}{\sin^2 x}-1\right)dx\\&=-\frac{1}{\tan x}-x+C\end{aligned}\)

2.2 倍角公式・和積公式を利用する

次に扱うのが、倍角・和積公式です。逆パターンを頭に入れておくとスッと出てきやすいので、通常とは統合の前後を逆にして紹介します。

倍角・和積公式

倍角公式

2倍角

\(\sin x\cos x=\displaystyle\frac{1}{2}\sin 2x\)

\(\sin^2 x=\displaystyle\frac{1-\cos 2x}{2}\)

\(\cos^2 x=\displaystyle\frac{1+\cos 2x}{2}\)

3倍角

\(\sin^3 x= \displaystyle\frac{1}{4}(3\sin x -\sin 3x)\)

\(\cos^3 x =\displaystyle\frac{1}{4}(\cos 3x +3\cos 3x)\)

和積公式

\( \displaystyle  \sin \alpha \cos \beta= \frac{1}{2} \left\{ \sin (\alpha + \beta) + \sin (\alpha – \beta) \right\}  \)

\( \displaystyle \cos \alpha \sin \beta= \frac{1}{2} \left\{ \sin (\alpha + \beta) – \sin (\alpha – \beta) \right\}\)

\( \displaystyle \cos \alpha \cos \beta= \frac{1}{2} \left\{ \cos (\alpha + \beta) + \cos (\alpha – \beta) \right\} \)

\( \displaystyle  \sin \alpha \sin \beta= – \frac{1}{2} \left\{ \cos (\alpha + \beta) – \cos (\alpha – \beta) \right\}\)

それぞれについての詳しいことは以下の記事でまとめられています。

【数学Ⅱ】三角関数の公式まとめ(加法定理・変換・合成)

2019年1月15日

和積の公式(覚え方・導き方)

2019年1月12日

これがどのように応用できるのか、以下の例題で確認してみましょう!

例題

【問】以下の積分計算を行え。

(1) \(I=\displaystyle\int\sin 2x \cos 2x  dx\)

(2) \(I=\displaystyle\int \sin^3 xdx\)

(3) \(I=\displaystyle\int x\sin x\cos x dx\)

基本公式の形になるように意識しましょう!

それでは解答です。

【解答】

(1) \(I=\displaystyle\int\sin 2x \cos 2x  dx\)

和積公式(加法定理)を用いていきましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int\sin 2x \cos 2x  dx\\&=\frac{1}{2}\int \sin 4x dx\\&=\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{4}\cos 4x\right)+C\\&=-\frac{1}{8}\cos 4x+C\end{aligned}\)

(2) \(I=\displaystyle\int \sin^3 xdx\)

倍角公式を用いていきましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \sin^3 xdx\\&=\frac{1}{4}\int (3\sin x-\sin 3x) dx\\&=\frac{1}{4}\left(-3\cos x+\frac{1}{3}\cos 3x\right)+C\\&=-\frac{3}{4}\cos x+\frac{1}{12}\cos 3x+C\end{aligned}\)

 

(3) \(I=\displaystyle\int x\sin x\cos x dx\)

和積公式(加法定理)を用いていきましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int x\sin x\cos x dx\\&=\frac{1}{2}\int x \sin 2x dx\\&=\frac{1}{2}\int x\left(-\frac{1}{2}\cos 2x\right)’ dx\\&=\frac{1}{2}\{x\left(-\frac{1}{2}\cos 2x-\int \left(-\frac{1}{2}\cos 2x\right)\right)dx\}\\&=\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{2}x\cos 2x+\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}\sin 2x\right)+C\\&=-\frac{1}{4}x\cos 2x+\frac{1}{8}\sin 2x +C\end{aligned}\)

途中では部分積分を用いました。

【数学Ⅲ】積分計算の型網羅part2(部分積分)

2019年8月4日

2.3 三角関数の微分が利用できる形にする

微分の形を応用するとはどういうことでしょうか?これは以下のような関係式を利用するということです。

微分の応用

\(\displaystyle\int\{f(x)\}f'(x)dx=\frac{\{f(x)\}^{\alpha +1}}{\alpha +1}+C\)

ただし\(\alpha ≠-1\)

これが三角関数の積分でかなり効いてきます。これに関しては計算例を見てみた方が早いので、どのように応用できるのか、以下の例題で確認してみましょう!

例題

【問】以下の積分計算を行え。

(1) \(I=\displaystyle\int \sin^3 x dx\)

(2) \(I=\displaystyle\int \cos 2x \tan x dx\)

(3) \(I=\displaystyle\int \frac{1}{\sin^4 x}dx\)

基本公式の形になるように意識しましょう!

それでは解答です。

【解答】

(1) \(I=\displaystyle\int \sin^3 x dx\)

うまく\(\displaystyle\int\{f(x)\}f'(x)dx=\frac{\{f(x)\}^{\alpha +1}}{\alpha +1}+C\)の形を作っていきましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \sin^3 x dx\\&=\int (1-\cos^2 x)\sin x dx\\&=-\int (1-\cos^2 x)(-\sin x)dx\\&=-\int (1-\cos^2 x) (\cos x)’ dx\\&=-\cos x+\frac{1}{3}\cos^3 x+C\end{aligned}\)

 

(2) \(I=\displaystyle\int \cos 2x \tan x dx\)

同様の方針で式変形を行っていきましょう。

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \cos 2x \tan x dx\\&=\int (2\cos^2 x-1)\frac{\sin x}{\cos x}dx\\&=\int\left(2\sin x\cos x -\frac{\sin x}{\cos x}\right)dx\\&=\int\{\sin 2x+\frac{(\cos x)’}{\cos x}\}dx\\&=-\frac{1}{2}\cos 2x+\log|\cos x|+C\end{aligned}\)

 

(3) \(I=\displaystyle\int \frac{1}{\sin^4 x}dx\)

\(\begin{aligned}I&=\displaystyle\int \frac{1}{\sin^4 x}dx\\&=\int \frac{1}{\sin^2 x\cdot\sin^2 x}dx\\&=-\int\left(1+\frac{1}{\tan^2 x}\right)\left(\frac{1}{\tan x}\right)’ dx\\&=-\frac{1}{\tan x}-\frac{1}{3\tan^3 x}+C\end{aligned}\)

3. 発展公式とその導出

ここまでの内容が理解できたら、次は三角関数の発展公式について扱っていきます。公式というよりも頻出の計算例といった方が適当かもしれません。

ここでは公式を暗記するというよりも、基本方針を用いて公式を導出する手順をしっかり確認していきましょう!

3.1 発展公式(暗記の必要なし)

以下が(できれば)覚えておいた方が良い積分公式です!

発展積分公式

\(\begin{cases}\displaystyle\int\frac{1}{\sin x}dx=\frac{1}{2}\log\left|\frac{1-\cos x}{1+\cos x}\right|+C\\\displaystyle\int\frac{1}{\cos x}=\frac{1}{2}\log\left|\frac{1+\sin x}{1-\sin x}\right|+Cdx\end{cases}\)

 

② ウォリスの公式

\(I_n =\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx\)のとき

\(\begin{cases}I_{2n}=\displaystyle\frac{2n-1}{2n}\cdot\displaystyle\frac{2n-3}{2n-2}\cdots\displaystyle\frac{1}{2}\cdot \displaystyle\frac{\pi}{2}\\I_{2n+1}=\displaystyle\frac{2n}{2n+1}\cdot\displaystyle\frac{2n-2}{2n-1}\cdots\displaystyle\frac{2}{3}\cdot 1\end{cases}\)

 

③ 関数の対称性

\(\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} f(\sin x) dx=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}f (\cos x)dx\)

 

④ 三角関数の一周期積分

\(m,n\)が相異なる自然数のとき

\(\begin{cases}\displaystyle\int_0^{2\pi} \sin mx \cos nx dx=0\\\displaystyle\int_0^{2\pi} \sin mx \cos mx dx=0\\\displaystyle\int_0^{2\pi} \sin mx \sin nx dx=0\\\displaystyle\int_0^{2\pi} \cos mx \cos nx dx=0\end{cases}\)

3.2 導出

以上の公式の導出を行いましょう。することは今までと変わりなく、基本方針を適用していくだけです。

①の導出

\(\begin{cases}\displaystyle\int\frac{1}{\sin x}dx=\frac{1}{2}\log\left|\frac{1-\cos x}{1+\cos x}\right|+C\\\displaystyle\int\frac{1}{\cos x}=\frac{1}{2}\log\left|\frac{1+\sin x}{1-\sin x}\right|+Cdx\end{cases}\)

【導出】

計算の指針は同じなので、上の式のみ証明します。

\(\begin{aligned}\displaystyle\int\frac{1}{\sin x}dx&=\int \frac{\sin x}{\sin^2 x} dx\\&=\int \frac{\sin x}{1-\cos^2 x} dx\\&=\frac{1}{2}\int \left(\frac{\sin x}{1-\cos x}+\frac{\sin x}{1+\cos x}\right) dx\\&=\frac{1}{2}\int \left(\frac{(1-\cos x)’}{1-\cos x}-\frac{(1+\cos x)’}{1+\cos x}\right) dx\\&=\frac{1}{2}\{\log|1-\cos x|-\log |1+\cos x|\}+C\\&=\frac{1}{2}\log\left|\frac{1-\cos x}{1+\cos x}\right|+C\end{aligned}\)

三角関数の微分を用いて計算しました、この計算は必ずできるようにしておきましょう!

② ウォリスの公式の導出

これは部分積分を用いてあげれば容易に導出可能です。

【導出】

\(I_n =\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx\)とします。

このとき、部分積分を用いて、

\(\begin{aligned}\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x dx&=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{n-1} x \sin x dx\\&=\left[-\sin^{n-1} x \cos x\right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}+(n-1)\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{n-2} x \cos^2 x dx\\&=(n-1)\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{n-2} x (1-\sin^2 x) dx\\&=(n-1) (I_{n-2}-I_n) \end{aligned}\)

これをまとめて

\(I_n =\displaystyle\frac{n-1}{n}I_{n-2}\)

を得ます。よって、\(I_0=\displaystyle\frac{\pi}{2}\)と\(I_1=1\)を用いて、上の漸化式を何回も適用すると

\(\begin{cases}I_{2n}=\displaystyle\frac{2n-1}{2n}\cdot\displaystyle\frac{2n-3}{2n-2}\cdots\displaystyle\frac{1}{2}\cdot \displaystyle\frac{\pi}{2}\\I_{2n+1}=\displaystyle\frac{2n}{2n+1}\cdot\displaystyle\frac{2n-2}{2n-1}\cdots\displaystyle\frac{2}{3}\cdot 1\end{cases}\)

が得られます。

③の導出

この証明はすぐにできます。

【導出】

\(\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} f(\sin x) dx\)について、\(t=\displaystyle\frac{\pi}{2}-x\)と置換します。

このとき、\(dt=-dx\)であり、\(x:0\to\displaystyle\frac{\pi}{2}\)のとき\(t:\displaystyle\frac{\pi}{2}\to 0\)となるから

\(\begin{aligned}[左辺]=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}} f(\sin x) dx&=\int_{\frac{\pi}{2}}^0 f(\sin(\frac{\pi}{2}-t))(-dt)\\&=\int_0^{\frac{\pi}{2}}  f(\cos t) dt\end{aligned}\)

となり、左辺と右辺が一致します。

④の導出

これは式をそれぞれ暗記するのではなく「異なる三角関数の積を一周期にわたって積分すると0になる」という事実の表れであると解釈しましょう。

実際に計算を行うことで確認してみましょう!どの計算も同じ手法を用いるので、一番上の式に関して証明を行います。

【方針】

三角関数の積を和に変えたいので、和積公式を用いていきましょう。

【導出】

\(\displaystyle\int_0^{2\pi} \sin mx \cos nx dx=0\)について、和積公式

\( \displaystyle  \sin \alpha \cos \beta= \frac{1}{2} \left\{ \sin (\alpha + \beta) + \sin (\alpha – \beta) \right\}  \)

を用いていきます。

\(\begin{aligned}\displaystyle\int_0^{2\pi} \sin mx \cos nx dx&=\frac{1}{2}\int_0^{2\pi} \{\sin (m+n)x+\sin (m-n)x\} dx\\&=\frac{1}{2}\left[-\frac{1}{m+n}\cos (m+n)x -\frac{1}{m-n}\cos (m-n)x\right]_0^{2\pi}\\&=0\end{aligned}\)

これは\(m±n≠0\)だからこそ行える変形です。(∵\(m,n\)は相異なる自然数)

この公式に関しては、これを題材とした入試問題も多く見受けられるので、しっかりと証明できるようにしておきましょう!

 

以上です!しっかりと復習して、自分のものにしてください!

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