状態図とは(見方・例・水・鉄)

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東大塾長の山田です。

このページでは状態図について解説しています。

覚えるべき、知っておくべき知識を細かく説明しています。是非参考にしてください。

1. 状態変化

物質は、集合状態の違いにより、固体、液体、気体の3つの状態をとります。これを物質の三態といいます。また、物質の状態は温度と圧力によって変化しますが、この物質の三態間の変化のことを状態変化といいます。

1.1 融解・凝固

一定圧力のもとで固体を加熱していくと、構成粒子の熱運動が激しくなり、ある温度で構成粒子の配列が崩れ液体になります。このように、固体が液体になることを融解といい、融解が起こる温度のことを融点といいます。逆に、液体を冷却していくと、構成粒子の熱運動が穏やかになり、ある温度で構成粒子が配列して固体になります。このように、液体が固体になることを凝固といい、凝固が起こる温度のことを凝固点といいます。純物質では、融点と凝固点は同じ温度で、それぞれの物質ごとに決まっています。

 

1.2 融解熱・凝固熱

\(1.013\times10^5 Pa\)のもとで、融点で固体\(1 mol\)が融解して液体になるときに吸収する熱量のことを融解熱といい、凝固点で液体\(1 mol\)が凝固して固体になるとき放出する熱量のことを凝固熱といいます。純物質では融解熱と凝固熱の値は等しくなります。

融解熱は、状態変化のみに使われます。よって、純物質の固体の融点では、融解が始まってから固体がすべて液体になるまで温度は一定に保たれます。凝固点でも同様に温度は一定に保たれます。

 

1.3 蒸発・沸騰・凝縮

一定圧力のもとで液体を加熱していくと、熱運動の激しい構成粒子が、粒子間の引力を断ち切って、液体の表面から飛び出し気体になります。このように液体が気体になることを蒸発といい、さらに加熱していくと、温度が上昇し蒸発はより盛んになります。しばらくするとある温度で液体の内部においても液体が気体になる現象が起こります。この現象のことを沸騰といい、沸騰が起こる温度のことを沸点といいます。純物質では、沸点はそれぞれの物質ごとに決まっています。融点や沸点が物質ごとに異なるのは、物質ごとに構成粒子間に働く引力の大きさが異なるからです。

逆に、一定圧力のもとで高温の気体を冷却していくと、構成粒子の熱運動が穏やかになり、液体の表面との衝突の時に粒子間の引力を振り切れなくなり、液体に飛び込み液体の状態になります。このように、気体が液体になることを凝縮といいます。

 

1.4 蒸発熱・凝縮熱

\(1.013\times10^5 Pa\)のもとで、沸点で液体\(1 mol\)が蒸発して気体になるときに吸収する熱量のことを蒸発熱といい、凝縮点で気体\(1 mol\)が凝縮して液体になるとき放出する熱量のことを凝縮熱といいます。純物質では蒸発熱と凝縮熱の値は等しくなります。

蒸発熱は、状態変化のみに使われます。よって、純物質の液体の沸点では、沸騰が始まってから液体がすべて気体になるまで温度は一定に保たれます。凝縮点でも同様に温度は一定に保たれます。ちなみに、一般的には蒸発熱は同じ物質の融解熱よりも大きな値を示します。

 

1.5 昇華

固体が、液体を経由せずに直接気体にかわることを昇華といいます。ドライアイス・ヨウ素・ナフタレンなどは、分子間の引力が小さいので、常温・常圧でも構成分子が熱運動によって構成分子間の引力を断ち切り、昇華が起こります。

逆に、気体が、液体を経由せず、直接固体にかわることも昇華、または凝結といいます。気体が液体になる変化のことを凝結ということもあります。

 

1.6 昇華熱

物質を固体から直接気体に変えるために必要な熱エネルギーの量(熱量)を昇華熱といいます。

 

2. 水の状態変化

下図は、\(1.013\times10^5 Pa\)下で氷に一定の割合で熱エネルギーを加えたときの温度変化の図を表しています。融点\(0℃\)では、固体と液体が共存しています。このとき、加えられた熱エネルギーは固体から液体への状態変化に使われ、温度上昇には使われないため、温度は一定に保たれます。同様に、沸点\(100℃\)では、加えられた熱エネルギーは液体から気体への状態変化に使われ、温度上昇には使われないため、温度は一定に保たれます。

3. 状態図

純物質は、それぞれの圧力・温度ごとに、その三態(固体・液体・気体)が決まっています。純物質が、さまざまな圧力・温度においてどのような状態であるかを示した図を、物質の状態図といいます。下の図は二酸化炭素\(CO_2\)の状態図です。

固体と液体の境界線(\(曲線TB\))を融解曲線といい、この線上では固体と液体が共存しています。また、液体と固体の境界線(\(曲線TA\))を蒸気圧曲線といい、この線上では液体と固体が共存しています。さらに、固体と気体の境界線を(\(曲線TC\))を昇華圧曲線といい、この線上では固体と気体が共存しています。

蒸気圧曲線の端には臨界点と呼ばれる点(\(点A\))があり、臨界点を超えると、気体と液体の区別ができない超臨界状態になります。(\(四角形ADEFの部分\))この状態の物質は、超臨界流体と呼ばれます。

3本の曲線が交わる点は三重点と呼ばれ、この点では気体、液体、固体が共存しています。三重点は、圧力や温度によって変化しないことから、温度を決定する際のひとつの基準点として使われています。

上の図の\(点G~点K\)までの点での二酸化炭素の状態はそれぞれ、

  • \(点G\)では固体
  • \(点H\)では固体と液体が共存
  • \(点I\)では液体
  • \(点J\)では液体と気体が共存
  • \(点K\)では気体

となっています。

 

4. 水の状態図と二酸化炭素の状態図

上図は水\(H_2O\)の状態図と二酸化炭素\(CO_2\)の状態図です。水\(H_2O\)の状態図では、融解曲線の傾きが負になっています。その一方で、二酸化炭素\(CO_2\)の状態図では、融解曲線の傾きが正になっています。状態図は物質ごとに固有の形状をしていますが、ほとんどの物質の状態図では、\(CO_2\)の状態図と同様に融解曲線の傾きは正になっています。

融解曲線の傾きが負になっているということは、\(H_2O\)では圧力が高くなるほど融点が低くなるということを示しています。つまり、氷\(H_2O\)は圧力が加わると融点が低くなり、よろ低い温度でないと凍らなくなり、融けて水\(H_2O\)になるということが図からわかります。これは、\(H_2O\)が水素結合による正四面体構造をもち、\(H_2O\)では、氷(固体)の体積>水(液体)の体積となることが原因となっています。(加圧すると体積が小さくなる方向に状態変化が起こる。)(水と氷の構造に関しては「水素結合まとめ」で詳しく説明しているので参考にしてください。)

\(H_2O\)の状態図では、三重点の位置が大気圧よりも低い位置にあります。その一方で、\(CO_2\)の状態図では、三重点の位置が大気圧よりも高い位置にあります。

これより、大気圧下で固体の\(CO_2\)(ドライアイス)の温度を上げていくと昇華し直接気体の\(CO_2\)に変わることがわかります。

 

5. まとめ

最後に状態図についてまとめておこうと思います。

  • 固体が液体になることを融解、液体が固体になることを凝固、液体が気体になることを蒸発、気体が液体になることを凝縮、固体が液体を経由せずに直接気体にかわることを昇華、気体が、液体を経由せず、直接固体にかわることも昇華、または凝結という。
  • ある温度で液体の内部においても液体が気体になる現象のことを沸騰という。
  • 融解が起こる温度のことを融点、凝固が起こる温度のことを凝固点、沸騰が起こる温度のことを沸点という。
  • \(1.013\times10^5 Pa\)のもとで、融点で固体\(1 mol\)が融解して液体になるときに吸収する熱量のことを融解熱、凝固点で液体\(1 mol\)が凝固して固体になるとき放出する熱量のことを凝固熱、沸点で液体\(1 mol\)が蒸発して気体になるときに吸収する熱量のことを蒸発熱、凝縮点で気体\(1 mol\)が凝縮して液体になるとき放出する熱量のことを凝縮熱、物質を固体から直接気体に変えるために必要な熱エネルギーの量(熱量)を昇華熱という。
  • 純物質が、さまざまな圧力・温度においてどのような状態であるかを示した図を、物質の状態図という。
  • 固体と液体の境界線(\(曲線TB\))を融解曲線といい、この線上では固体と液体が共存している。また、液体と固体の境界線(\(曲線TA\))を蒸気圧曲線といい、この線上では液体と固体が共存している。さらに、固体と気体の境界線を(\(曲線TC\))を昇華圧曲線といい、この線上では固体と気体が共存している。
  • 蒸気圧曲線の端には臨界点と呼ばれる点(\(点A\))があり、臨界点を超えると、気体と液体の区別ができない超臨界状態になる。(\(四角形ADEFの部分\))この状態の物質は、超臨界流体と呼ばれる。
  • 3本の曲線が交わる点は三重点と呼ばれ、この点では気体、液体、固体が共存している。

 

この分野は覚えることが多いですが、何回も繰り返し読みしっかりマスターしてください!

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