酸化還元反応式の作り方

東大塾長の山田です。

このページでは酸化還元反応式の作り方について解説しています。

具体例を用いて作り方を詳しく説明しています。是非参考にしてください。

 

1. 酸化還元反応式の作り方

ここでは、酸化還元反応式の作り方について解説します。

酸化剤と還元剤を用いて酸化還元反応を表した式のことを酸化還元反応式といいます。「酸化数とは(求め方・計算問題)」の記事で半反応式について解説しましたが、酸化剤の半反応式と還元剤の半反応式を組み合わせることによって酸化還元反応式を作ることができます。そのため、酸化剤、還元剤を覚えておく必要があります。以下が覚えておくべき酸化剤と還元剤です。

【酸化剤】

酸化剤名 反応前の化学式 反応後の化学式
二クロム酸カリウム
(硫酸性水溶液中)
\({Cr_2O_7}^{2-}\) \(Cr^{3+}\)
過マンガン酸カリウム
(硫酸性水溶液中)
\({MnO_4}^-\) \(Mn^{2+}\)
過マンガン酸カリウム
(中性・塩基性水溶液中)
\({MnO_4}^-\) \(MnO_2\)
酸化マンガン(Ⅳ) \(MnO_2\) \(Mn^{2+}\)
濃硝酸 \(HNO_3\) \(NO_2\)
希硝酸 \(HNO_3\) \(NO\)
熱濃硫酸 \(H_2SO_4\) \(SO_2\)
オゾン \(O_3\) \(O_2\)
酸素 \(O_2\) \(H_2O\)
過酸化水素 \(H_2O_2\) \(H_2O\)
二酸化硫黄 \(SO_2\) \(S\)
ハロゲンの単体 \(X_2\)(\(X_2:F_2,Cl_2,Br_2,I_2\)) \(X^-\)

 

【還元剤】

還元剤名 反応前の化学式 反応後の化学式
硫化水素 \(H_2S\) \(S\)
シュウ酸 \(H_2C_2O_4\) \(CO_2\)
水素 \(H_2\) \(H^+\)
チオ硫酸ナトリウム \({S_2O_3}^{2-}\) \({S_4O_6}^{2-}\)
陽性の強い金属の単体 \(Na\)
\(Ca\)
\(Na^+\)
\(Ca^{2+}\)
塩化スズ(Ⅱ) \(Sn^{2+}\) \(Sn^{4+}\)
硫化鉄(Ⅱ) \(Fe^{2+}\) \(Fe^{3+}\)
二酸化硫黄 \(SO_2\) \({SO_4}^{2-}\)
過酸化水素 \(H_2O_2\) \(O_2\)

これらの酸化剤と還元剤の反応前、反応後の化学式をもとに半反応式を作ります。このようにして作った半反応式から酸化還元反応式を作ります。

 

それでは、酸化還元反応式を作る手順を説明していきましょう。

【酸化還元反応式の作り方】

①酸化剤、還元剤についてそれぞれの電子の動きを表した半反応式を作る。

求める酸化還元反応に関与する酸化剤、還元剤の半反応式を、「酸化数とは(求め方・計算問題)」の記事で説明した半反応式の作り方に基づいて完成させます。

②酸化剤、還元剤の半反応式を組み合わせ、イオン反応式を導く。

酸化還元反応において、酸化剤が受け取る電子の数と還元剤が放出する電子の数は互いに等しくなります。よって、授受する電子の数が互いに等しくなるように、①で作ったそれぞれの半反応式を整数倍し、それらの式を足し合わせることでイオン反応式を導き出します。

③省略していたイオンを加える。

半反応式では、反応に直接関与しないイオンは省略されます。この省略したイオンを②で導いたイオン半反応式の両辺のそれぞれにそれらのイオンを加え整理することで酸化還元反応の化学反応式が完成します。

 

このようにして酸化還元反応式が完成します。

 

2. 酸化還元反応式の作り方(具体例)

2.1 例1:塩素と硫化水素

塩素と硫化水素が反応したときの酸化還元反応についての化学反応式を書け。

【①】

まず、「酸化数とは(求め方・計算問題)」の記事より硫化水素\(H_2S\)は還元剤であり、反応後は\(S\)に変化するので半反応式は次のようになります。

\(H_2S → S + 2H^+ + 2e^- ‥‥(1)\)

硫化水素が還元剤となるので、塩素は酸化剤となるから半反応式は

\(Cl_2 + 2e^- → 2Cl^- ‥‥(2)\)

このようになります。

 

【②】

①で作った2つの半反応式(1)、(2)において電子の数を比較するとどちらも\(2e^-\)で反応しており電子の数は等しいので、式(1)+式(2)をすると

\(Cl_2 + H_2S →S + 2HCl ‥‥(3)\)

これがイオン反応式です。

 

【③】

最後に、省略されているイオンを加えるのですがこの反応では省略されているイオンはないので②で導いた式(3)が酸化還元反応の化学反応式となります。

\(Cl_2 + H_2S →S + 2HCl\)

 

2.2 例2:二クロム酸カリウムとシュウ酸ナトリウム

硫酸酸性のニクロム酸カリウム水溶液にシュウ酸ナトリウム水溶液を加えたときの反応式を書け。

【①】

まず、「酸化数とは(求め方・計算問題)」の記事より硫酸酸性水溶液中ではニクロム酸イオン\({Cr_2O_7}^{2-}\)はクロム酸イオン\(Cr^{3+}\)へと変化する酸化剤であるので、半反応式は次のようになります。

\({Cr_2O_7}^{2-} + 14H^+ + 6e^- → 2Cr^{3+} + 7H_2O ‥‥(4)\)

また、シュウ酸イオン\({C_2O_4}^{2-}\)は二酸化炭素\(CO_2\)へと変化する還元剤であるので、半反応式は次のようになります。

\({C_2O_4}^{2-} →2CO_2 + 2e^- ‥‥(5)\)

 

【②】

①で作った式(4)と式(5)において電子の数を比較すると、電子の数が等しくないのでこれを揃えます。式(5)の両辺に3をかけると次のようになります。

\(3{C_2O_4}^{2-} →6CO_2 + 6e^- ‥‥(6)\)

これより、式(4)と式(6)の電子の数はどちらも\(6e^-\)となり等しくなるので、式(4)+式(6)をすると

\({Cr_2O_7}^{2-} + 14H^+ + 3{C_2O_4}^{2-} → 2Cr^{3+} + 7H_2O + 6CO_2 ‥‥(7)\)

これがこの反応のイオン反応式です。

 

【③】

最後に、省略したイオンを加えます。

この反応は、「硫酸で酸性にしたニクロム酸カリウム水溶液とシュウ酸ナトリウム水溶液」を扱っています。すなわち、式(7)の左辺の\({Cr_2O_7}^{2-}\)は「\(K_2Cr_2O_7 →2K^+ + {Cr_2O_7}^{2-}\)」の電離によって、\(14H^+\)は「\(7H_2SO_4 →14^+ + 7{SO_4}^{2-}\)」の電離によって、\(3{C_2O_4}^{2-}\)は「\(3Na_2C_2O_4 →6Na^+ + 3{C_2O_4}^{2-}\)」の電離によって生じたものです。したがって、式(7)のイオン反応式の両辺に省略されている\(2K^+\)、\(7{SO_4}^{2-}\)、\(6Na^+\)を加えて整理すると、

\(\begin{align}
K_2Cr_2O_7+7H_2SO_4+3Na_2C_2O_4&→\\
\\
&Cr_2(SO_4)_3+7H_2O+6CO_2+K_2SO_4+3Na_2SO_4\\
\\
\end{align}\)  

このように酸化還元反応の化学反応式を導くことができます。

 

2.3 例3:過マンガン酸カリウムと過酸化水素

過酸化水素水に硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液を加えたときの反応式を書け。

【①】

まず、「酸化数とは(求め方・計算問題)」の記事より硫酸酸性水溶液中では、過マンガン酸イオン\({MnO_4}^-\)はマンガンイオン\(Mn^{2+}\)へと変化する酸化剤であるので、半反応式は次のようになります。

\({MnO_4}^- + 8H^+ + 5e^- →Mn^{2+} + 4H_2O ‥‥(8)\)

また、過酸化水素\(H_2O_2\)水は硫酸酸性の\(KMnO_4\)水溶液を加えた場合には、\(H_2O_2\)は還元剤として働き、酸素\(O_2\)へと変化します。したがって、半反応式は次のようになります。

\(H_2O_2 →O_2 + 2H^+ 2e^- ‥‥(9)\)

 

【②】

①で作った式(8)と式(9)において電子の数を比較すると、電子の数が等しくないのでこれを揃えます。式(8)の両辺に2をかけると次のようになります。

\(2{MnO_4}^- + 16H^+ + 10e^- →2Mn^{2+} + 8H_2O ‥‥(10)\)

また、式(9)の両辺に5をかけると次のようになります。

\(5H_2O_2 →5O_2 + 10H^+ 10e^- ‥‥(11)\)

これより、式(10)と式(11)の電子の数はどちらも\(10e^-\)となり等しくなるので、式(10)+式(11)をすると

\(2{MnO_4}^- + 6H^+ + 5H_2O_2 →2Mn^{2+} + 8H_2O + 5O_2 ‥‥(12)\)

これがこの反応のイオン反応式です。

 

【③】

最後に、省略したイオンを加えます。

この反応は、「硫酸で酸性にした過マンガン酸カリウム水溶液」を扱っています。すなわち、式(12)の左辺の\(2{MnO_4}^-\)は「\(2KMnO_4 →2K^+ + 2{MnO_4}^-\)」の電離によって、\(6H^+\)は「\(3H_2SO_4 →6H^+ + 3{SO_4}^{2-}\)」の電離によって生じたものです。したがって、式(7)のイオン反応式の両辺に省略されている\(2K^+\)、\(3{SO_4}^{2-}\)を加えて整理すると、

\(2KMnO_4 + 3H_2SO_4 + 5H_2O_2 →2MnSO_4 + 8H_2O + 5O_2 + K_2SO_4\)

このように酸化還元反応の化学反応式を導くことができます。

 

3. まとめ

最後に、酸化還元反応式の作り方についてまとめておこうと思います。

酸化還元反応式の作り方

①酸化剤、還元剤についてそれぞれの電子の動きを表した半反応式を作る。

②酸化剤、還元剤の半反応式を組み合わせ、イオン反応式を導く。

省略していたイオンを加える。

 

半反応式、酸化還元反応式はともに解き方を覚えてしまえば最終的な式を覚えていなくても導き出すことができるのでしっかり理解して解き方を覚えてください!

また、半反応式を作ることができないと酸化還元反応式を作ることができないので半反応式をマスターしてから酸化還元反応式に取り組むようにしてください!

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