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関数の連続性と微分可能性に関する知識まとめ

東大塾長の山田です。

このページでは、関数の連続性と微分可能性について詳しく説明しています。

関数の連続性と微分可能性の定義について説明した後、二つの関係について述べ、最後にはどのように連続性・微分可能性を確認するのかを、例題とともに解説しています。

ぜひ勉強の参考にしてください!

1. 関数の連続性について

1.1 連続の定義

まずは関数の連続性について、以下の定義を抑えてみましょう。

関数の連続性

\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=f(a)

が成立するとき、関数f(x)x=aで連続といいます。

また、定義域の任意の点aで関数fが連続の時、fを「連続関数」といいます。

1.2 連続性のイメージと例

それでは大雑把なイメージをつかんでいきましょう。関数が連続というのは、「関数がつながっている、途切れていない」という意味です。

実際の関数で考えてみましょう。

【例】

y=x,y=\cos x, y=2^xはすべて連続関数です。

定義域内での連続も考えてみましょう。

y=\displaystyle\frac{1}{x}x>0)やy=\tan x-\displaystyle\frac{\pi}{2}<x<\displaystyle\frac{\pi}{2})も連続関数です。

次に、連続でない場合についても考えてみましょう。

【例】

以下のようなガウス記号を用いた関数を考えてみましょう。

y=[x]

この関数を図示すると下図のようになります。

このように、xが整数の時に関数が途切れてしまっているものは連続であるということができません。

連続のイメージはついたでしょうか?形があまりわからない関数についての求め方については3章でまとめています!

2. 関数の連続性と微分可能性

連続性について理解できたところで、次は関数の微分可能性について議論していきましょう。

2.1 微分可能性の定義

微分可能性とは、「ある点付近を直線で近似できる(微分係数が存在し、接線の傾きが1通りに定まる)」ということです。微分可能性は、以下のようにして確かめることができます。

関数の微分可能性

ある関数f)において、微分係数

f^{\prime}(a)=\lim _{h \rightarrow 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}=\lim _{x \rightarrow a} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}

が存在するとき、

f(x)は点x=aにおいて微分可能である

ということができる。

2.2 連続性と微分可能性(証明も)

関数の連続性と微分可能性については以下の関係があります。

連続性と微分可能性

微分可能である⇒連続である

が成立する。ただし逆は成り立たない。

逆が成り立たないということに、しっくり来ないかもしれません。以下の例で確認してみましょう。

【例】

y=|x|について考えてみましょう。

y=|x|は任意の点x=aのおいて連続ですが、任意の点で微分可能ということができません。

この関数はx=0において微分不可能です。

微分可能の定義の一つに、その点において接線の傾きが一通りに定まるというのがありましたね。今回の場合、x=0においては、下図のようにたくさんの接線が考えられてしまいます。

これは微分可能の定義に反します。ゆえに「連続である⇒微分可能」は任意の場合で成立しないことが分かりました。

次に、「微分可能である⇒連続である」の証明を紹介します!

【方針】

微分可能:\displaystyle\lim _{x \rightarrow a} \displaystyle\frac{f(x)-f(a)}{x-a}=f^{\prime}(a)が存在

連続:\displaystyle\lim _{x \rightarrow a} f(x)=f(a)

【証明】

x=aにおいて微分可能なら微分係数

\lim _{x \rightarrow a} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}

が存在します。このとき、

\begin{aligned}\lim _{x \rightarrow a}\{f(x)-f(a)\}&=\lim _{x \rightarrow a} \frac{f(x)-f(a)}{x-a} \cdot(x-a)\\&=f^{\prime}(a) \times 0\\&=0\end{aligned}

よって

\displaystyle\lim _{x \rightarrow a} f(x)=f(a)

この証明はできるようにしておきましょう!

3. 連続性と微分可能性の確認方法

関数の連続性と微分可能性については理解できたでしょうか。次は、実際の関数においてそれをどのように確かめればよいかを解説していきます。

そのために必要な概念として「片側極限」を用います。

3.1 片側極限について

xが定数aに限りなく近づくとき、その近づき方には「左側から」「右側から」の二通があります。そのため、関数の極限には「片側極限」という概念があり、近づき方で極限が異なることがあります。

片側極限は以下のように表現されます。

特に、a=0のときは

となります!イメージとしては、定数aに対して、x軸のプラス方向から迫るのか、マイナス方向から迫るのか、という点に注目してあげると良いでしょう!

また、

\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)=\alpha, \displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)=\beta

のとき、\alpha「左側極限」といい、\beta「右側極限」といいます!

例えば、上で用いたy=[x]を用いて考えると

\displaystyle\lim_{x\to -1-0}[x]=-1,\quad\displaystyle\lim_{x\to -1+0}[x]=0 \displaystyle\lim_{x\to -0}[x]=0,\quad\displaystyle\lim_{x\to +0}[x]=1 \displaystyle\lim_{x\to 1-0}[x]=1,\quad\displaystyle\lim_{x\to 1+0}[x]=2

という風に書けることが分かります!

3.2 連続と微分可能の表現

右側極限\alphaと左側極限\betaの関係により以下のことが成り立ちます。

左側極限と右側極限が一致したときのみ、極限値が存在するといえることが分かります。

これを用いると、関数の連続性と微分可能性については以下のように書きなおすことができます。

関数の連続性

\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)=\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)=f(a)

が成立するとき、関数f(x)x=aで連続といいます。

また、定義域の任意の点aで関数fが連続の時、fを「連続関数」といいます。

関数の微分可能性

ある関数fにおいて、微分係数

f^{\prime}(a)=\lim _{x \rightarrow a-0} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}=\lim _{x \rightarrow a+0} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}

が存在するとき、

f(x)は点x=aにおいて微分可能である

ということができる。

これを踏まえて以下の例題を解いてみましょう。

3.3 例題

例題

【問1】次の極限が存在するか調べよ。ただし[x]xを超えない最大の整数を表す。

(1) \displaystyle\lim _{x \rightarrow 1} \displaystyle\frac{1}{(x-1)^{3}}

(2) \displaystyle\lim _{x \rightarrow 1}([2 x]-[x])

【問2】

f(x)=\left\{\begin{array}{ll}{x^{2}} & {(x<2)} \\ {-x^{2}-a x+b} & {(x ≧ 2)}\end{array}\right.

x=2で微分可能になるように、定数a,bの値を求めよ。

それぞれの定義を思い出して解いてあげましょう。

考えてみましたか?

それでは解答です!

【解答】

【問1】

(1) 定石通り左側極限と右側極限を調べていきます。

x\to 1+0のとき、

(x-1)^3\to+0 より \displaystyle\lim _{x \rightarrow 1+0} \frac{1}{(x-1)^{3}}=\infty

x\to 1-0のとき、

(x-1)^3\to-0 より \displaystyle\lim _{x \rightarrow 1-0} \frac{1}{(x-1)^{3}}=-\infty

このとき

\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1+0} \frac{1}{(x-1)^{3}} ≠\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1-0} \frac{1}{(x-1)^{3}}

より、

\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1} \frac{1}{(x-1)^{3}}は存在しません\cdots【答】

 

補足:ちなみにy=\displaystyle\frac{1}{(x-1)^3}は下図のようになります。概形が分からずとも極限が求まることを意識しましょう。

 

(2) 同様に、片側極限を考えていきます。x=1における極限値を調べることに注意しましょう。

1≦x<\displaystyle\frac{3}{2}のとき

[2 x]=2, \quad[x]=1\qquad  ∴\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1+0}([2 x]-[x])=1

\displaystyle\frac{1}{2}≦x<1のとき

[2 x]=1, \quad[x]=0\qquad  ∴\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1-0}([2 x]-[x])=1

このとき、

\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1+0}([2 x]-[x])=\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1-0}([2 x]-[x])=1

より、

\displaystyle\lim _{x \rightarrow 1}([2 x]-[x])=1\cdots【答】

補足:先ほど同様グラフは下図のようになります。すぐにグラフを書ければ一目瞭然ですが、すぐに書くのは難しいです。

【問2】

まずは連続性のチェックです。(微分可能性がある⇒連続であるに着目)

\lim _{x \rightarrow 2-0} x^{2}=\lim _{x \rightarrow 2+0}\left(-x^{2}-a x+b\right)=f(2)

より

2a-b=-8\cdots①

次に、微分可能性のチェックです。

\begin{aligned}\lim _{h \rightarrow+0} \frac{f(2+h)-f(2)}{h} &=\lim _{h \rightarrow+0} \frac{-(2+h)^{2}-a(2+h)+b-(-4-2a+b)}{h}\\&=\lim _{h \rightarrow+0} \frac{-4 h-h^{2}-a h}{h}\\&=\lim _{h \rightarrow+0}(-4-h-a)\\&=-4-a\\\end{aligned}

\begin{aligned}\lim _{h \rightarrow-0} \frac{f(2+h)-f(2)}{h} &=\lim _{h \rightarrow-0} \frac{(2+h)^{2}-(-4-2a+b)}{h}\\&=\lim _{h \rightarrow-0} \frac{4 h+h^{2}+8+2a-b}{h}\\&=\lim _{h \rightarrow-0}(4+h)(∵①)\\&=4\\\end{aligned}

よって

-4-a=4\quad ∴a=-8\cdots②

①②より

b=-8

以上まとめて

(a,b)=(-8, -8)\cdots【答】

上三問からわかるように、計算さえできればこの類の問題は解くことができます!確実に解けるようにしておきましょう。

4. まとめ

お疲れ様でした。最後に今回学んだことをまとめておくので、復習に役立ててください!

関数の連続性と微分可能性

連続性の定義

\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)=\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)=f(a)

が成立するとき、関数f(x)x=aで連続といいます。

また、定義域の任意の点aで関数fが連続の時、fを「連続関数」といいます。

 

微分可能性の定義

ある関数fにおいて、微分係数

f^{\prime}(a)=\lim _{x \rightarrow a-0} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}=\lim _{x \rightarrow a+0} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}

が存在するとき、

f(x)は点x=aにおいて微分可能である

ということができる。

 

二つの関係

微分可能がある⇒連続である

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1件のコメント

質問させていただき増す。
ある関数について微分可能性をしらべよ、と言う設問があるとき、

微分可能性の極限が存在(式の左右の極限が一致) する

連続性ある(極限値と、そのときの関数値が一致)

両方示す必要があるのでしょうか?
微分可能性あれば、連続であるのに
連続性ある(極限値と、そのときの関数値が一致)を示す必要があるか、ということなねですが・・。

どうぞ宜しくお願いいたします。

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