東大塾長の山田です。
このページでは、「離心率」について解説します。
今回は,2次曲線と離心率の関係をわかりやすく解説していくので,ぜひ勉強の参考にしてください!
1. 離心率とは?
まずは「離心率とは何か?」ということについて解説していきます。
放物線は,定点 \( F \) (焦点)と,\( F \) を通らない定直線 \( l \) (準線)からの距離が等しい(1:1で一定)点の軌跡と定義されます。
楕円,双曲線についても,点 \( F \) と定直線 \( l \) からの距離の比が一定な点の軌跡と定義できます。
(放物線・楕円・双曲線の定義や基本事項が曖昧な人は,下の記事で必ず復習してください!!)
下の図のように,点 \( P(x, \ y) \) から定直線 \( l \) に引いた垂線の足を \( H \) とします。
\( PF:PH = \color{red}{ e }:1 (eは正の定数) \)
を満たす点 \( P \) の軌跡は,\( F \) を1つの焦点とする2次曲線であり,この \( \color{red}{ e } \) を 離心率 といい,直線 \( l \) を 準線 といいます。
2 .離心率と2次曲線
この離心率 \( e \) の値によって,2次曲線は次のように分類されます。
・\( \color{red}{ 0 < e < 1 } \) のとき → 楕円 \( \displaystyle \left( e = \frac{\sqrt{ a^2 – b^2 }}{a} \right) \)
・\( \color{red}{ e = 1 } \) のとき → 放物線
・\( \color{red}{ e > 1 } \) のとき → 双曲線 \( \displaystyle \left( e = \frac{\sqrt{ a^2 + b^2 }}{a} \right) \)
以上のようになることを,次で確かめてみましょう。
3. 離心率と2次曲線の証明(確認)
座標平面上で,\( l \) を \( y \) 軸\( (x = 0) \),\( F(c, \ 0) \)\( (c>0) \),\( P(x, \ y) \) とし,\( P \) から \( y \) 軸に引いた垂線を \( PH \) とすると
\( PF:PH = e:1 \) より
\( \displaystyle e = \frac{PF}{PH} = \frac{\sqrt{ (x-c)^2 + y^2 }}{|x|} \)
\( \displaystyle ∴ \ \sqrt{ (x-c)^2 + y^2 } = e |x| \)
両辺を平方して整理すると
\( \displaystyle \color{red}{ (1 – e^2) x^2 – 2cx + y^2 + c^2 = 0 } \cdots ① \)
[1] e=1のとき
\( e = 1 \) のとき,①は
\( \displaystyle -2cx + y^2 + c^2 = 0 \)
\( \displaystyle ∴ \ y^2 = 2c \left( x – \frac{c}{2} \right) \cdots ② \)
曲線②,焦点 \( F(c, \ 0) \),\( l:x = 0 \) を \( x \) 軸方向にそれぞれ \( \displaystyle – \frac{c}{2} \) だけ平行移動して,\( c = 2p \) とおくと
\( \color{red}{ y^2 = 4px } \), \( \color{red}{ F(p, \ 0) } \), \( \color{red}{ l:x = -p } \)
となり,放物線の式になることが確認できました。
[2] e≠1のとき
\( 0 < e < 1 \) のとき,\( \displaystyle \color{red}{ (1 – e^2) x^2 – 2cx + y^2 + c^2 = 0 } \cdots ① \) は
\( \displaystyle (1 – e^2) \left( x^2 – \frac{2c}{1 – e^2} x \right) + y^2 = -c^2 \)
これを平方完成していくと
\( \displaystyle (1 – e^2) \left( x – \frac{c}{1 – e^2} \right)^2 + y^2 = -c^2 + \frac{c^2}{1 – e^2} \)
\( \displaystyle ∴ \ (1 – e^2) \left( x – \frac{c}{1 – e^2} \right)^2 + y^2 = \frac{(ce)^2}{1 – e^2} \cdots ③ \)
曲線③,焦点 \( F(c, \ 0) \),\( l:x = 0 \) を \( x \) 軸方向にそれぞれ \( \displaystyle – \frac{c}{1 – e^2} \) だけ平行移動すると
\( \displaystyle \left\{
\begin{align}
& (1 – e^2)x^2 + y^2 = \frac{(ce)^2}{1 – e^2} \\
& 焦点 F \left( \frac{-ce^2}{1 – e^2}, \ 0 \right) \ \ \ \ \ \ \ \ \cdots ④ \\
& 準線 l:x = – \frac{c}{1 – e^2}
\end{align}
\right. \)
(i) 0<e<1のとき
\( 0<e<1 \) のとき,
\( \displaystyle a = \frac{ce}{1 – e^2} \cdots ⑤ \), \( \displaystyle b = \frac{ce}{\sqrt{ 1 – e^2 }} \cdots ⑥ \)
とおくと,④から
\( \displaystyle \left\{
\begin{align}
& \color{red}{ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1 } \ (a>b>0) \\
& 焦点 \color{red}{ F ( -ae, \ 0 ) } \\
& 準線 \color{red}{ l:x = – \frac{a}{e} }
\end{align}
\right. \)
となり,楕円の式になることが確認できました。
また,このとき,⑤,⑥から \( c \) を消去すると
\( \displaystyle \color{red}{ e = \frac{\sqrt{ a^2 – b^2 }}{a} } \)
(ii) e>1のとき
\( e>1 \) のとき,
\( \displaystyle a = \frac{ce}{e^2 – 1} \cdots ⑦ \), \( \displaystyle b = \frac{ce}{\sqrt{ e^2 – 1 }} \cdots ⑧ \)
とおくと,④から
\( \displaystyle \left\{
\begin{align}
& \color{red}{ \frac{x^2}{a^2} – \frac{y^2}{b^2} = 1 } \ (a>0, b>0) \\
& 焦点 \color{red}{ F ( ae, \ 0 ) } \\
& 準線 \color{red}{ l:x = \frac{a}{e} }
\end{align}
\right. \)
となり,双曲線の式になることが確認できました。
また,このとき,⑦,⑧から \( c \) を消去すると
\( \displaystyle \color{red}{ e = \frac{\sqrt{ a^2 + b^2 }}{a} } \)
4. おわりに
以上が離心率の解説です。
実際の入試問題では
「定点Aからの距離と直線 \( l \) からの距離の比が□:△である点Pの軌跡を求めよ。」
というような問題が出されます。
このような問題がきたときに,離心率の知識が必要となるので,必ずおさえておきましょう!
一番下の双曲線の部分の青でマーカーされている部分は、e>1じゃないでしょうか?確認をお願いします。
ご指摘いただきありがとうございます。
ご指摘箇所は訂正いたしました。