東大塾長の山田です。
このページでは、「正四面体の底面積・高さ・体積・内接球の半径・外接球の半径の公式(求め方)」について解説します。
数学が苦手な人でもわかりやすくイラスト付きで解説していきます。
また、最後には練習問題も用意しているので、ぜひ最後まで読んで正四面体をマスターしてください!
1. 正四面体の公式まとめ
まずは正四面体に関する公式をまとめます。
正四面体の1辺の長さを \( a \) とするとき
\( \begin{align}
\displaystyle & ① \ 底面積: & \triangle ABC = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 \\
\\
& ② \ 高さ: & h = \frac{\sqrt{6}}{3} a \\
\\
& ③ \ 体積: & V = \frac{\sqrt{2}}{12} a^3 \\
\\
& ④ \ 内接球の半径: & r = \frac{\sqrt{6}}{12} a \\
\\
& ⑤ \ 外接球の半径: & R = \frac{\sqrt{6}}{4} a
\end{align} \)
2. 公式の証明(求め方)
なぜ上記のような式になるのか、求めていきましょう!
2.1 ① 正四面体の底面積
底面の \( \triangle ABC \) に着目します。
\( \triangle ABC \) は正三角形なので、高さは上図のように \( \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}a \) となります。
したがって
\( \displaystyle \triangle ABC = a \times \frac{\sqrt{3}}{2} a \times \frac{1}{2} \)
\( \displaystyle \large{ ∴ \ \triangle ABC = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 } \)
2.2 ② 正四面体の高さ
\( BC \) の中点を \( M \) とすると、図形の対称性により、高さ \( OH \) は \( \triangle OAM \) に含まれます。
よって、\( \triangle OAM \) の面積は
\( \begin{align}
\displaystyle \triangle OAM & = AM \times OH \times \frac{1}{2} \\
\\
& = \frac{\sqrt{3}}{2}a \times h \times \frac{1}{2} \ \cdots ①
\end{align} \)
また、\( OM \)は\( \triangle OBC \)の中線、\( AM \)は\( \triangle ABC \)の中線であり、
\( \displaystyle OM = AM = \frac{\sqrt{3}}{2} a \)
上図で、
\( \begin{align}
\displaystyle MH’ & = \sqrt{OM^2 – OH’^2} \\
\\
& = \sqrt{\left( \frac{\sqrt{3}}{2} a \right)^2 – \left( \frac{a}{2} \right)^2} \\
\\
& = \frac{\sqrt{2}}{2} a
\end{align} \)
よって、\( \triangle OAM \)の面積は
\( \begin{align}
\displaystyle \triangle OAM & = OA \times MH’ \times \frac{1}{2} \\
\\
& = a \times \frac{\sqrt{2}}{2} a \times \frac{1}{2} \ \cdots ②
\end{align} \)
①,②のように、\( \triangle OAM \)の面積は2通りで表現することができるので、
①,②より
\( \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}a \times h \times \frac{1}{2} = a \times \frac{\sqrt{2}}{2} a \times \frac{1}{2} \)
\( \displaystyle\displaystyle \large{ ∴ \ h = \frac{\sqrt{6}}{3} a } \)
※ この結果より、
\( \begin{align}
\displaystyle AH & = \sqrt{OA^2 – h^2} \\
\\
& = \sqrt{a^2 – \left( \frac{\sqrt{6}}{3} a \right)^2} \\
\\
& = \frac{\sqrt{3}}{3} a
\end{align} \)
さらに、
\( \begin{align}
\displaystyle MH & = AM – AH \\
\\
& = \frac{\sqrt{3}}{2} a – \frac{\sqrt{3}}{3} a \\
\\
& = \frac{\sqrt{3}}{6}
\end{align} \)
だと分かります。
すると、\( AH:HM = 2:1 \) ということになり、
「点 \( H \) は \( \triangle ABC \) の重心」
であることがわかります。(超重要性質!!!!)
2.3 ③ 正四面体の体積
体積 \( V \)は「底面積×高さ×\( \displaystyle \frac{1}{3} \)」で求めることができるので、
\( \begin{align}
\displaystyle V & = 底面積 \times 高さ \times \frac{1}{3} \\
\\
& = \frac{\sqrt{3}}{4} a \times \frac{\sqrt{6}}{3} a \times \frac{1}{3} \\
\\
& = \frac{\sqrt{2}}{12} a^3
\end{align} \)
\( \displaystyle \large{ ∴ \ V = \frac{\sqrt{2}}{12} a^3 } \)
2.4 ④ 正四面体の内接球の半径
内接円の中心 \( I \) から各面に垂線を下ろすと、その垂線の長さは内接円の半径 \( r \) そのものです。
さらに、正四面体を下図のように4つに分けます。
分けた4つの四角錐は、すべて同じ形をしていて、
底面積は \( \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 \),高さは \( r \)(内接球の半径)となっています。
よって、正四面体の体積は
\( \displaystyle \small{ [O-ABC] = [I-ABC] + [I-OAB] + [I-OBC] + [I-OCA] } \)
\( \displaystyle ∴ \ \frac{\sqrt{2}}{12} a^3 = \left( \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 \times r \times \frac{1}{3}\times4 \right) \)
\( \displaystyle \large{ ∴ \ r = \frac{\sqrt{6}}{12} a } \)
2.5 ⑤ 正四面体の外接球の半径
外接球の中心を\( X \)とします。
「真上から眺めた」とき、3点 \( O, X, H \) は一直線上に位置することが分かります(図形の対称性)。
よって、下図のような切り口を考えます。
(②の高さを考えたときと同じ図で、外接球の切り口が加わった図)
上図で、
\( \displaystyle AH = \frac{\sqrt{3}}{3} a \ \ (②参照) \)
また \( AX= R \)
さらに
\( \begin{align}
\displaystyle XH & = OH – OX \\
\\
& = \frac{\sqrt{6}}{3} a – R
\end{align} \)
よって、\( \triangle AHX \) に三平方の定理を当てはめると、
\( \begin{align}
\displaystyle AX^2 & = AH^2 + XH^2 \\
\\
∴ \ R^2 & = \left(\frac{\sqrt{3}}{3} a \right)^2 + \left(\frac{\sqrt{6}}{3} a – R \right)^2 \\
\\
∴ \ R^2 & = \frac{a^2}{3} + \frac{2}{3} a^2 – \frac{2}{3}\sqrt{6} aR + R^2 \\
\\
∴ \ \frac{2\sqrt{6}}{3} & aR = a^2
\end{align} \)
\( \displaystyle \large{ R = \frac{\sqrt{6}}{4} a } \)
よって、すべて証明することができました。
次は、練習問題で実際に公式を使って値を求めてみましょう。
3. 正四面体の練習問題と解説
1辺の長さが3の正四面体ABCDについて、次の値を求めよ。
(1) 正四面体ABCDの高さ\( h \)
(2) 正四面体ABCDの体積\( V \)
(3) 正四面体ABCDに内接する球の半径\( r \)
(4) 正四面体ABCDに外接する球の半径\( R \)
公式を使ってバシバシ求めていきます。
(1) 正四面体ABCDの高さ \( h \)
正四面体の高さの公式
\( \displaystyle \color{blue}{ h = \frac{\sqrt{6}}{3} a } \)
より(\( a=3 \))、
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ h } & = \frac{\sqrt{6}}{3} \times 3 \\
\\
& \color{red}{ = \sqrt{6} \ \cdots 【答】 }
\end{align} \)
(2) 正四面体ABCDの体積 \( V \)
正四面体の体積の公式
\( \displaystyle \color{blue}{ V = \frac{\sqrt{2}}{12} a^3 } \)
より、
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ V } & = \frac{\sqrt{2}}{12} \times 3^3 \\
\\
& \color{red}{ = \frac{9\sqrt{2}}{4} \ \cdots 【答】 }
\end{align} \)
(3) 正四面体ABCDに内接する球の半径 \( r \)
正四面体の内接球の半径の公式
\( \displaystyle \color{blue}{ r = \frac{\sqrt{6}}{12} a } \)
より、
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ r } = & = \frac{\sqrt{6}}{12} \times 3 \\
\\
& \color{red}{ = \frac{\sqrt{6}}{4} \ \cdots 【答】 }
\end{align} \)
(4) 正四面体ABCDに外接する球の半径 \( R \)
正四面体の外接球の半径の公式
\( \displaystyle \color{blue}{ R = \frac{\sqrt{6}}{4} a } \)
より、
\( \begin{align}
\displaystyle \color{red}{ R } & = \frac{\sqrt{6}}{4} \times 3 \\
\\
& \color{red}{ = \frac{3\sqrt{6}}{4} \ \cdots 【答】 }
\end{align} \)
このように、公式があればあっという間に求められます!
4. おわりに
正四面体の高さ・体積・内接球の半径・外接球の半径の求め方はしっかり理解できましたか?
自力で求める力はもちろん必要ですが、試験は時間との勝負です。
公式を頭に入れておいて、時短できるところは時短しましょうね!
1:2:√3の公式は使えないんですか?