東大塾長の山田です。
このページでは、数学Ⅱの微分の単元で学習する「接線の方程式」について解説します。
接線の方程式の公式とその導出から、接線の方程式の問題も用意しています。
また、接線と関連した「法線の方程式」についても解説をしているので、ぜひ勉強の参考にしてください!
1. 接線の方程式
まずは接線の方程式について解説していきます。
1.1 接線の方程式の公式
曲線 \( y = f(x) \) 上の点 \( \left( a, \ f(a) \right) \) における接線の
傾き \( \displaystyle f’(a) \)
方程式 \( \displaystyle y \ – f(a) = f’(a) (x-a) \)
次は、接線の方程式の導出の解説をしていきます。本質を理解しておきましょう。
1.2 接線の方程式の公式の導出
接線の方程式は、これまでに学習した2つの公式を組み合わせると導出できます。
1つ目は、微分係数の定義です。
微分係数 \( f′(a) \) は,曲線 \( y = f(x) \) 上の点 \( (a, \ f(a)) \) における接線の傾きを表す。
2つ目は、数学Ⅱの「図形と方程式」で学習する「直線の方程式」です。
点 \( (x_1, \ y_1) \) を通り,傾き \( m \) の直線の方程式は
\( \color{red}{ y \ – y_1 = m (x \ – x_1) } \)
これらのことから,曲線 \( y = f(x) \) 上の点 \( \left( a, \ f(a) \right) \) における接線の方程式は
\( \displaystyle \color{red}{ y – f(a) = f’(a) (x-a) } \)
となります。
2. 接線の方程式の求め方(入試問題)
それでは、接線の方程式の問題(入試問題)をやってみて、求め方を確認しましょう。
2.1 基本の問題(接点の座標が与えられた場合)
曲線 \( y = x^3 – 5x \) 上の点 \( (2, \ -2) \) における接線の方程式を求めよ。
【解答】
\( f(x) = x^3 – 5x \) とすると
\( f’(x) = 3x^2 – 5 \)
よって,点 \( (2, \ -2) \) における接線の傾きは
\( f’(2) = 7 \)
したがって,求める接線の方程式は
\( \color{red}{ y \ – (-2) = 7(x-2) } \)
∴ \( \color{red}{ y = 7x \ – 16 \cdots 【答】 } \)
2.2 基本の問題(傾きが与えられた場合)
曲線 \( y = x^3 – 5x \) の接線で,傾きが-2であるものの方程式を求めよ。
【解答】
\( f(x) = x^3 – 5x \) とすると
\( f’(x) = 3x^2 – 5 \)
点 \( (a, \ a^3 – 5a) \) における接線の方程式は
\( \color{red}{ y \ – (a^3 – 5a) = (3a^2 – 5) (x-a) } \cdots ① \)
この直線の傾きは-2なので
\( 3a^2 – 5 = -2 \)
∴ \( \color{red}{ a = \pm 1 } \)
\( a = 1 \) のとき,①は
\( y \ – (-4) = -2(x-1) \)
∴ \( \color{red}{ y = -2x-2 \cdots 【答】 } \)
\( a = -1 \) のとき,①は
\( y \ – 4 = -2 \left\{ x \ – (-1) \right\} \)
∴ \( \color{red}{ y = -2x+2 \cdots 【答】 } \)
この問題のように,接点の座標が与えれていない場合は,接点の \( x \) 座標を \( a \) とおいた接線の方程式をたてて,\( a \) の値を求めていきましょう。
2.3 曲線上にない点から引いた接線の方程式
点 \( (-1, \ 0) \) より曲線 \( y = x^3 \) へ引いた接線の方程式を求めよ。
【解答】
接点を \( (t, \ t^3) \) とおく。
\( y’ = 3x^2 \) より,接線の傾きは \( 3t^2 \)
よって,接線の方程式は
\( \color{red}{ y \ – t^3 = 3t^2 (x-t) } \)
∴ \( y = 3t^2 x \ – 2t^3 \cdots ① \)
この直線が点 \( (-1, \ 0) \) を通るから
\( 0 = -3t^2 – 2t^3 \)
整理すると
\( t^2 (2t+3) = 0 \)
∴ \( \displaystyle \color{red}{ t = 0, \ -\frac{3}{2} } \)
\( t = 0 \) のとき,①は
\( \color{red}{ y = 0 \cdots 【答】 } \)
\( \displaystyle t = -\frac{3}{2} \) のとき,①は
\( \displaystyle \color{red}{ y = \frac{27}{4} x + \frac{27}{4} \cdots 【答】 } \)
3. 法線の方程式
続いて,法線の方程式についての解説です。
3.1 法線とは?
まずは「法線とは何か?」を確認しましょう。
曲線 \( y = f(x) \) 上の点Aを通り,点Aにおける接線に垂直な直線を,点Aにおける曲線の法線といいます。
3.2 法線の方程式の公式
曲線 \( y = f(x) \) 上の点 \( \left( a, \ f(a) \right) \) における法線の
傾き \( \displaystyle – \frac{1}{f’(a)} \)
方程式 \( \displaystyle y \ – f(a) = \ – \frac{1}{f’(a)} (x-a) \)
3.3 法線の方程式の導出
曲線 \( y = f(x) \) 上の点A \( \left( a, \ f(a) \right) \) における接線の傾きが \( f’(a) \) であるから,点Aにおける曲線の法線の傾きを \( m \) とすると
\( m f’(a) = -1 \)
ゆえに
\( \displaystyle \color{red}{ m = \ – \frac{1}{f’(a)} } \)
よって,曲線 \( y = f(x) \) 上の点 \( \left( a, \ f(a) \right) \) における法線の方程式は
\( \displaystyle \color{red}{ y \ – f(a) = \ – \frac{1}{f’(a)} (x-a) } \)
となります。
2直線 \( \displaystyle \begin{cases} y = m_1 x + n_1 \\ \\ y = m_2 x + n_2 \end{cases} \) について
2直線が垂直 \( \Longleftrightarrow \) \( m_1 m_2 = -1 \)
3.4 法線の方程式の求め方
曲線 \( y = x^3 – 5x \) 上の点 \( (2, \ -2) \) における法線の方程式を求めてみましょう。
\( f(x) = x^3 – 5x \) とすると
\( f’(x) = 3x^2 – 5 \)
点 \( (2, \ -2) \) における接線の傾きは
\( f’(2) = 7 \)
よって,点 \( (2, \ -2) \) における法線の傾きは
\( \displaystyle – \frac{1}{f’(2)} = \ – \frac{1}{7} \)
したがって,求める法線の方程式は
\( \displaystyle y \ – (-2) = \ – \frac{1}{7} (x-2) \)
∴ \( \displaystyle \color{red}{ y = \ – \frac{1}{7} x \ – \frac{12}{7} \cdots 【答】 } \)
4. 接線・法線の方程式まとめ
さいごに今回の内容をもう一度整理します。
曲線 \( y = f(x) \) 上の点 \( \left( a, \ f(a) \right) \) において
【接線】
傾き \( \displaystyle f’(a) \)
方程式 \( \displaystyle y \ – f(a) = f’(a) (x-a) \)
【法線】
傾き \( \displaystyle – \frac{1}{f’(a)} \)
方程式 \( \displaystyle y \ – f(a) = \ – \frac{1}{f’(a)} (x-a) \)
以上が接線・法線の方程式の解説です。
接線の関する問題は,センター試験でもよく出題されるほどの頻出問題なので、しっかりと理解をしてマスターしておきましょう!
法線の場合,’()=0となる可能性があることを考慮して,
-’(){-()}=(-)
で覚えることをおすすめします。
法線の場合,f’(a)=0となる可能性を考慮して,
-f’(a){y-f(a)}=(x-a)
で覚えることをおすすめします。
補足の説明、「平行」なら、か、m1×m2=「-1」のどちらかが間違っています。