高次方程式のまとめ(解き方・因数分解)

東大塾長の山田です。
このページでは、高次方程式の解き方」について、例題を解きながらパターンに分けて解説します

また、高次方程式を解くときに重要な「因数定理」に関しての、「因数の見つけ方」や「割り算の簡便法(組み立て除法)」についても紹介しています

ぜひ最後まで読んで、勉強の参考にしてください!

1. 高次方程式の解き方1(因数分解の公式利用)

まずは高次方程式の1番基本の「因数分解の公式利用」で解くパターンの問題です。

例題1

次の方程式を解け。
 (1) \( x^3 = 8 \)
 (2) \( x^3 – 9x^2 + 27x – 27 = 0 \)

例題1は、3次式の因数分解の公式で一発です!

3次式の因数分解の公式が曖昧な人は「3乗の因数分解(展開)公式」の記事でぜひ復習してください。

【解答】

(1) \( x^3 = 8 \)

与式から \( x^3 – 8 = 0 \)

左辺を因数分解すると
 \( (x-2) (x^2 + 2x + 4) = 0 \)

よって \( x-2=0 \)
または \( x^2+2x+4=0 \)

\( x-2=0 \) より \( \color{red}{ x=2 } \)

\( x^2+2x+4=0 \) より \( \displaystyle \color{red}{ x = -1 \pm \sqrt{3}i } \)

したがって
 \( \displaystyle \color{red}{ x=2, \ -1 \pm \sqrt{3}i \ \cdots 【答】 } \)

 

(2) \( x^3 – 9x^2 + 27x – 27 = 0 \)

与式の左辺を因数分解すると
 \( (x-3)^3 = 0 \)

よって \( \color{red}{ x=3 \ \cdots 【答】 } \)

 

3次式の因数分解公式(復習)

\( \begin{cases}
\displaystyle a^3 + b^3 = (a+b)(a^2 – ab + b^2) \\
\\
\displaystyle a^3 – b^3 = (a-b)(a^2 + ab + b^2)
\end{cases} \)

\( \begin{cases}
\displaystyle a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = (a+b)^3 \\
\\
\displaystyle a^3 – 3a^2b + 3ab^2 – b^3 = (a-b)^3
\end{cases} \)

 

2. 高次方程式の解き方2(置き換え&因数分解)

次は「置き換えてから因数分解する」パターンの問題です。

例題2

方程式 \( x^4 – 3x^2 – 10 = 0 \) を解け。

このような「\( ax^4 + bx^2 + c = 0 \)」の形の式を2次式といいます。

複2次式の因数分解は「\( \color{red}{ x^2 = X } \)」とおいて、因数分解をしていきます

【解答】

\( x^2=X \) とおくと、与式は
 \( X^2 – 3X – 10 = 0 \)

左辺を因数分解すると
 \( (X-5) (X+2) = 0 \)

すなわち
 \( (x^2 – 5) (x^2 + 2) = 0 \)

よって \( x^2 – 5=0 \)
または \( x^2 + 2=0 \)

\( x^2-5=0 \) より \( \color{red}{ x= \pm \sqrt{5} } \)

\( x^2 + 2=0 \) より \( \color{red}{ x= \pm \sqrt{2} i } \)

したがって
 \( \color{red}{ x= \pm \sqrt{5} , \ \pm \sqrt{2} i \ \cdots 【答】 } \)

 

3. 高次方程式の解き方3(因数定理の利用)

次は因数定理を利用する因数分解です。この問題が受験数学のメインですね!

3.1 因数定理を利用する問題

例題3

方程式 \( x^3 – 3x^2 – 8x – 4 = 0 \) を解け。

今回のように、公式利用や置き換えで因数分解ができない場合は、因数定理で因数を求めて、因数分解をしていきます

因数定理(復習)

因数定理を忘れてしまった人は「因数定理まとめ(公式・証明・問題)」の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

【解答】

\( P(x) = x^3 – 3x^2 – 8x – 4 \) とすると

\( \begin{align}
P(-1) & = (-1)^3 – 3 \cdot (-1)^2 – 8 \cdot (-1) – 4 \\
& = 0
\end{align} \)

よって、\( P(x) \) は \( x+1 \) を因数にもつ。

ゆえに
 \( P(x) = (x+1) (x^2 – 4x – 4) \)

\( P(x) = 0 \) から \( x+1=0 \) または \( x^2 – 4x – 4=0 \)

\( x+1=0 \) から \( \color{red}{ x=-1 } \)

\( x^2 – 4x – 4=0 \) から \( \color{red}{ x= 2 \pm 2 \sqrt{2} } \)

したがって
 \( \color{red}{ x= -1 , \ 2 \pm 2 \sqrt{2} \ \cdots 【答】 } \)

 

3.2 因数の見つけ方と組立除法

因数定理で因数分解をするときにネックになるのが、\( P(\alpha) = 0 \) になる \( \alpha \)(因数)を見つけることだと思います。

「因数の見つけ方」は次の通りですので、必ず覚えておきましょう

因数の候補

\( P(x) \) について,\( P(\alpha) = 0 \) となる \( \alpha \) の候補は

\( \displaystyle \large{ \color{red}{ \pm \frac{定数項の約数}{最高次の係数の約数} } } \)

例えば、先ほどの例題3の \( P(x) = x^3 – 3x^2 – 8x – 4 \) では、最高次(\( x^3 \))の係数は「1」、定数は「-4」なので、\( P(\alpha) = 0 \) となる \( \alpha \) は、±1±2±3±4のどれかになります。

 

闇雲に因数を探すのではなく、「これらの候補の中から探せばよい」と知っていれば、かなり時間短縮になります!

 

また、[多項式÷多項式]は筆算でも割り算はできますが、面倒くさいし、時間もかかります。これを簡単に時間短縮で行う方法が組み立て除法です。

  1. 割る式 \( x+1 \)(\( =x-(-1) \)) の「-1」と,割られる式 \( x^3 – 3x^2 – 8x – 4 \) の係数1,-3,-8,-4を書く。
  2. 最初の1をそのまま下に下ろして1と書く。
  3. 下ろした 1×(-1)=-1 を -3 の下に書き,-3+(-1)=4 を下に書く。
  4. さらに -4×(-1)=4 を -8 の下に書き,-8+4=-4 を下に書く。
  5. -4×(-1)=4 を-4 の下に書き,-4+4=0 を下に書く。
  6. 結果より、商は \( x^2-4x-4 \),余り0 となる。

 

「因数の見つけ方」「組み立て除法」については、「因数定理まとめ(公式・証明・問題)」の記事で、証明など含めてさらに詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

 

4. 高次方程式の解き方まとめ

さいごに今回の内容をもう一度整理します。

高次方程式の解き方まとめ

  • 高次方程式の解き方3パターン
    1. 因数分解の公式利用
    2. 置き換え+因数分解(複2次式)
    3. 因数定理の利用
  • 因数の見つけ方\( \displaystyle \cdots \color{red}{ \pm \frac{定数項の約数}{最高次の係数の約数} } \)
  • 組み立て除法\( \cdots \)「(多項式)÷(1次の多項式)」の簡便法。

以上が高次方程式の解き方の解説です。

因数定理を使う場合は、「因数の見つけ方」「組み立て除法」の知識は必須なので、必ず覚えておきましょう。

それではお疲れさまでした!

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1件のコメント

N:=(1,2,3…n){縦表示?}の様に
N:をn行1列の自然数行列とすると
x^n=-1の解は
x=cos(2N:-1)π/n+isin(2N:-1)π/n
=e^i(2N:-1)π/n
に成りますか?
(高次方程式も単純な物なら解法が有る様な…)

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